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非情のライセンス 第2シリーズ #117
#169「過去」(1977年・S52・2月3日OA)

こころもちやさぐれた歩調で馴染みの薬局に向かった会田(天知茂)。「来るだけで何を買いに来たか分かるのは、会田さんとあの男だけですよ」主人の田口(大塚明夫)によれば、その男は(会田のような二日酔い薬ではなく)強力な睡眠薬をここしばらく毎日買いにくるのだという。噂をすればなんとやらで、山岡修治(川地民夫)は今日もまたふらっと現れて睡眠薬を買っていった。そして、彼を見る田口の妻・洋子(原田英子)の顔色はなぜか青い。

ひとりは釣り(=たぶん浮田さん)、ひとりはドライブ(=たぶん滝さん)、それからひとりは焼鳥屋(=絶対堀さん)、おまけに残るひとりは二日酔い、というノンキな連中に手を焼く矢部部長(山村総)のお小言もなんのその、山岡が気になる会田は「犯罪を未然に防ぐのもデカの仕事」と身辺調査を始める。偶然にも、彼は堀刑事(財津一郎)の焼鳥屋の常連だった。

そんな矢先、田口の娘が何者かに誘拐された。知らせを受けた会田が駆け付けたところ、風邪気味だった娘を心配する夫妻の前に再び山岡が姿を見せ、今日に限って睡眠薬ではなく風邪薬を求めた。誘拐犯は山岡ではないか――。渋る堀に山岡の過去を洗わせた会田は、エリート社員だった山岡が7年前、自分のフィアンセと愛人関係にあった部長の渡部を刺殺して最近まで服役していたことを知る。そのフィアンセとは、現・田口夫人の洋子だった。

そのころ洋子は山岡を訪ね、娘を返してくれと懇願していた。なんでもするから、と土下座せんばかりの彼女に山岡は今まで購入した睡眠薬を渡し、だったらそれを飲んでみろと迫った。洋子は飲めない。7年前も、朱に染まった渡部の側でお前はそう言いながらすぐに俺を警察に売ったではないか、もう騙されないぞと詰る山岡。だが洋子は、貴方に娘は殺せないわと反撃に出た。なぜならあの子は貴方の娘なのだから――その言葉を聞いて驚く山岡。だがもう一人ショックを受けた男がいた。洋子が心配で後を付けてきた田口である。

堀に連行されたものの、山岡は沈黙を続ける。会田は彼が娘を渡部の未亡人・昌江(槇ひろ子)に託したことを突き止めた。加害者と被害者の遺族ではあるが、彼らは互いの理解者でもあった。洋子が許せない昌江は「娘は死体で返す」と物騒な電話を田口家に掛けはしたが、約束を守って少女を連れてきた。だが、母を見るなり道路に飛び出す少女。咄嗟に彼女を庇った山岡は、そのまま還らぬ人となってしまった。

「あなた(=田口)の娘に決まってるじゃない!」と断言していたにも関わらず、血液検査を敢行しようとする夫に「もしあなたの子じゃないとしたら…?」とほのめかし始める洋子。山岡の死を目の当たりにし、ようやく過去の行いを悔いた洋子は、最後まで自分の言葉を信じて逝った彼に報いようとしていた。

洋子は娘を連れて故郷へ帰り、傷心の田口だけが残された。薬局休業の貼り紙を憂い顔で眺めると、会田は静かに踵を返すのだった(昭和ブルースは4番)

*結局、娘のミカちゃんの父親は我々には分からないままエンディング。過去に戻れないと知っていながら、過去の幻影を求める山岡。過去にとらわれたままの昌江。そして過去を捨てて生きてきた洋子。「過去」というキーワードが織りなす哀しい人間模様が印象的な回だった。特捜部屋で二人で窓見ながら「父親は哀しい」と呟く矢部さんに、母も子も、人は皆哀しいものだと言う会田のシーンもいい。

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:09 PM | comments (x) | trackback (x) |
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