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『火線地帯』
『火線地帯』(1961年・S36)

競馬場で梶川組の上前をはねていた伸一(吉田輝雄)と健次(鳴門洋二)はヤーさん達に追われ、逃げきれた、と思った瞬間、先程サクラのような行為で売上に貢献(?)した、水玉リボンを巻いた黒いハットと黒シャツがイカす“黒の男”(←予告編より)・黒岩(天知茂)に呼び止められて分け前を要求され、もっとでっけえ勝負をしろよとお前が言うかな諭され方をする。

そんな折、ナイスカーに乗ったナイスバディー・ゆみ(三原葉子)と知り合い意気投合したふたりは、彼女のパトロン、重宗(田崎潤)の子分になった。最初の仕事は、梶川組が落札した100丁のハジキを強奪すること。腕自慢の伸一がブツを運ぶ車のタイヤを撃とうとした時、なぜか車はパンクして急停止、伸一たちはなんの苦労なくブツを手に入れた。しかし、パンクさせた張本人で一部始終を目撃していた黒岩(=自分の商品をちゃっかり取り返すつもりだったハジキのバイヤー)は当てが外れて憤慨、梶川組の存在をちらつかせながら重宗に談判する。

一方、重宗の子分・中本(成瀬昌彦)は、伸一と健次が梶川と共謀して裏切ったと決め付け、ふたりを狙った。追われる原因を作った男ながら、黒岩と組むことになった伸一は、南米で牧場主になるという(黒岩の)夢の実現に向けてハジキを取り戻そうとするのだが、弟分の健次が中本に捕まってしまう。重宗の後釜を密かに狙う中本はボス殺しを要求、さらにはホの字のゆみに、重宗を誘いだすよう圧力を掛ける。伸一を愛し始めていたゆみは「みんな殺されちゃえばいいのよ!」と梶川組に電話を掛け、重宗たちと梶川(大友純)の共倒れを願った。

割に合わない、と乗り気ではない黒岩だったが、ゆみのために突っ走った伸一に付き添い取引場所へ。かくして巻き起こる銃撃戦の後、ゆみが凶弾に倒れ、重宗らは梶川組に皆殺しにされた。そして乗るはずの南米行の貨物船は、無情にも出港してしまう。黒岩にとってはやはり割に合わなかった最後の仕事――しかし、健次の妹で最初から伸一命の幸子(佐々木孝子)には、嬉しい結末だったようだ――。

*仕草と服装がこれ以上ないくらいキマっている黒岩、ねっ転がっておでこにグラスを乗っけていてもカッコ良さに満ち溢れていた。残念なことにセリフ回しだけはどうにも軽すぎてトホホな具合なのだが、それに目を塞げば(耳を、か)、弟分のバックアップに回りながらその実自分が一番おいしいとこどりしている天っちゃんの颯爽たる姿が拝める作品である。

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| 映画::新東宝 | 10:40 PM | comments (x) | trackback (x) |
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