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狼男とサムライ (DVD)
『狼男とサムライ』 (DVD版)

本国スペインでリリースされた正規のDVDを入手してから3か月ほど放置していたが、ようやく鑑賞。
ベースは完全版(字幕なし)、しかも画像がクリアで、医者なのにやたらと強い貴庵さんのこれでもかという華麗な殺陣やらムチムチお肌やらをじっくり堪能できる仕様になっていた。またスペイン語吹替も、それっぽい渋めの声の人を充てているせいか、なんだか分かったような気になれる。日本語版を入手した方ならぜひ(まだeBayなどで入手できるはず)

完全版なのでラストにはちゃんと「絆」が流れるが、フルコーラス収めて画面が先に暗転してしまっていた完全版とは違い、クレジット表記が済んだところで(中途半端なフレーズにも関わらず)ぶちっと切れていた。

*その代り、と言ってはなんだが、「絆」は映像特典のギャラリー部分のBGMになっている(ありがたいんだかどうなんだか)。

*当サイトでのその他『狼男…』情報はこちら

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=558 |
| 映画::松竹・他 | 11:38 PM | comments (x) | trackback (x) |
「空白の起点」より 女は復讐する
『「空白の起点」より 女は復讐する』(1966年・S41)

(神保町シアターにて鑑賞)

冬の曇り空のような(原作の描写引用)寡黙な保険調査員・新田純一(天知茂)は、同業のベテラン塚本(美川陽一郎)と新田をライバル視する佐伯初子(原知佐子)と共に顧客の偽装を暴いた帰り道、駅のホームで少々杜撰な髪型をした女性・鮎子(川口小枝)に目を留めた。秘書のくせになんとかならんのかその髪(想像)、とチラ見しているうち、鮎子がおもむろに悲鳴を上げた。崖から人が落ちるのを見たのだという。ところがその被害者、小梶美智雄(加藤嘉)はなんと鮎子の父だった。

ありえない偶然に眉間のセンサーが作動した新田が調査を進めると、保険金の受取人は小梶の長女・美子(富永美沙子)でも長男・裕一郎(露口茂)でもなく(長女の婿・北町さんでも勿論なく)、後妻の子の鮎子ただ一人らしい。仕事上気になるのか、それとも彼女に惹かれるからか…心を持て余しながら深入りしていく新田。

そんな新田の抜け駆けが許せない初子は刑事の高良井(中谷一郎)と共に行動、容疑者・国分(菅井一郎)の存在を突き止めた。意気揚々と新田に対峙する初子だったが、強引に押し倒されてネタをあっさり話してしまう(実は新田にゾッコンの初子、最初からそうなることを望んでいたようだ)。

そんな折、「国分が自殺した」との報が舞い込む。被害者に金を無心しており、遺書まで遺していた国分を警察は犯人と断定。他社が保険金を出す中で、新田だけが釈然としないでいる時、アパートに鮎子が訪ねてきた。好意を露わにして押し倒しにくる彼女に抗いきれず、一線を越えてしまう新田。裏があるのではないか、と疑いながら豊満ボディの虜になっているところへ女の勘が働いた初子が現れ、モテ男はビンタを食らうのだった。

ジェラシー半分、職業意識半分で鮎子の生い立ちを調べた初子は、彼女が小梶の子ではなく、国分の子だったことを知り、新田に告げる。処女ではなかった鮎子の背後に男の存在を嗅ぎ取り、心穏やかでない新田は裕一郎を疑うがシロ。しかし、小梶の愛人・志津(岩崎加根子)の口から衝撃的な事実を知らされる。小梶は血の繋がっていない、愛した女の娘である鮎子と関係を持っていたのだと。

鮎子は(今でいうサスペンスのクライマックス定位置・崖の上で)新田にすべてを打ち明けた。小梶との関係を知った実父・国分を利用して小梶を突き落させたこと。その彼を豊満ボディで圧死、じゃなく溺死させたこと。でも貴方を愛したことだけは本当なの――泣き崩れながらもひとりで去ってゆく彼女の後ろ姿を見送りながら、これが自分の「空白の起点」になることを新田は感じていた…。

『殺すまで追え 新宿25時』のときもそうだったが、おそらくもっともクール・ビューティな時代の主演映画というだけで脳味噌が溶けてしまい、客観的につっこめないのが痛い。

独白ナレーションで渋く語る天知茂!いつも以上にアンニュイに構える天知茂(実は浮気嫁に殺されかけた過去のせい)!情報を聞き出すために同業者の女性を押し倒す天知茂!葉子ねえさんも脱帽のヒロインの豊満ボディに押し倒される天知茂!そしてどっちのラブシーンも(相変わらず相手のふくらみを律儀に避け)とても礼儀正しくダンディな天知茂!もちろん挿入歌(主題歌)「空白のブルース」を歌うのは天知茂!アップでわかる吹き出物まで微笑ましい天知茂!

なにしろ同時上映は眼鏡マスクだ(『悪魔の囁き』参照)、すべてが愛しく見えて当然である。あまり良くないフィルム状態のせいとは言い切れない話のぶち切れ方でも許してしまう。あんな調査員おらへんやろ、でも許してしまう。困ったものだ。

*弥七が山さんを取り調べる、などという面白い場面もある(北町さんをはじめ、池田さんや宮口さんもしっかり脇を固めている)

*ヒロインの小枝ちゃん、確かにあっさり脱ぎすぎ(記事より)というか、ちょっと髪の手入れの悪いがさつな女の子、のイメージ。原作では新田の鏡のような存在なだけに、配給元から彼女をあてがわれた時はさぞ困惑しただろうなと思う。ラブシーンや殺人シーンなど、ボリュームを生かした使われ方に苦労がしのばれた。

*加藤嘉さんの方が揉み方が念入り。ああでなくっちゃなあ(どこをみとる)

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=557 |
| 映画::松竹・他 | 11:36 PM | comments (x) | trackback (x) |
『いも侍・蟹右衛門』
『いも侍・蟹右衛門』(1964年・S39:松竹)

道場破りの浪人集団とのいざこざ、ひょんなことから預かった坊やとの触れ合い、宿を提供してくれたお嬢さんやスリの姐さんとの友情以上恋未満、などを経ながら従兄弟の道場へ向かう、おっとり型だが実はめっぽう腕の立つ“いも侍”こと泡島蟹右衛門(長門勇)の図らずも武勇伝になってしもうたがなもし、なお話。

冒頭から狼藉を働き放題の浪人集団(江見俊太郎さん等)の中でただ一人、ニヒルかつクールにたたずむ淵上甚兵衛(天知茂)は、かつて道場の師範代にと見込まれ、道場主・夏目玄々斎(龍崎一郎)のお嬢さん(小畠絹子)ともいずれ…という出世コースを辿っていたにも関わらず、星野金次郎(宗方勝巳)との試合において玄々斎先生から「お前の剣は邪剣だ!」と言われ道場を破門されてしまった男。金次郎にすべてをかっさらわれた彼は剣の鬼となり、浪人集団のリーダー格で多少は良識ありそうな大垣惣左衛門(堀雄二)の元へ身を寄せていたのである。

ふざけた男のくせに剣の腕はキレる蟹右衛門の従兄弟というのが憎き金次郎である事実を偶然知った甚兵衛は、リベンジを果たすために単身で道場へ出向き、病気療養中の玄々斎をその邪剣(「無宿侍」チックな逆手斬りの構え)で打ち破ると、金次郎に果たし状を突き付ける。

義父の仇、と受けて立った金次郎と対峙する甚兵衛。助っ人に来た蟹右衛門が浪人たちのせいで足止めくらっている間に死闘を繰り広げた結果、金次郎の利き腕を傷つけ勝利を確信した甚兵衛は、止めを刺すことなく剣を下ろした。これで思い残すことがなくなった彼は、最後に蟹右衛門(浪人全員撃退済み)と刀を交えることを選択して果てるのだった。

邪剣とくれば天知茂なのか(むしろ邪眼?)、『剣に賭ける』っぽい役柄で、トメ位置で松竹映画に返り咲いた第1作。2作目の『抜き打ち御免』よりずいぶん人物の心理描写まで掘り下げられていて見ごたえがあった。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=56 |
| 映画::松竹・他 | 01:28 PM | comments (x) | trackback (x) |
女は復讐する
あっさり脱ぎすぎた川口小枝
圧倒された相手役・天知茂の反省

松竹映画『女は復讐する』で武智鉄二の娘・川口小枝(さえだ)が題名通り男に復讐する主人公役で二度目の映画出演をしている。

前作『白昼の通り魔』で、暴行シーンを大胆にやってのけた女優という彼女の知名度を、会社が買っての配役だったが、結果は失敗に終わったようだ。

天知茂は今度の相手役だが、この作品は彼が設立した「A&Aプロモーション」の初の企画作品(テアトル・プロ及び松竹と提携)でもある。その天知も川口起用の失敗を反省している。
「撮影第1日からのベッド・シーンにぜんぜん臆することなく、ごく自然に裸になり、濃厚な場面にとりくんで来たのには感心しました」
と彼女の女優根性を認めながらも、
「しかし、愛欲場面に、あれほどこだわらずに入れるのは、まったくのおぼこ娘か、男を知りすぎた女ということになりますね。この作品の女主人公は、男は知っているものの、男の味を知りつくしたという女ではないのです。策を抱いて男に身をまかせるのですが、そこには男に対する恥じらいや抵抗感が表現されなくてはいけないわけです。その点で不満が残りますね」

試写の後、こう批判したが、「でも演技をしている間は、そんなことを観察分析しているゆとりはありませんでした」というから、圧倒されていたのはベテラン天知のほうということ。

(以上、週刊現代 1966・S41年10月27日号より引用 *資料提供:naveraさん)

男泣かせる超グラマー
「女は復讐する」のヒロイン 川口小枝
とまどう原作者笹沢氏 天知、長谷監督も驚く

松竹「女は復讐する」(監督長谷和夫、テアトルプロダクション・A&Aプロモーション製作)に出演中の川口小枝。「白昼の通り魔」につづいて二度目の映画出演だが、本人もいうとおり「わたしは女優じゃありません」―身分は女子大生(共立女子大文芸学部2年)だが、こんどの映画出演をめぐって3人の男が泣いている。彼女のつかみどころのない“女”のために―。

“憂愁夫人”には程遠い
原作と違ったイメージだが素質を生かす

まず真っ先に泣いたのは原作者の推理作家笹沢佐保氏。映画の原作は7年前に氏が書いた「空白の起点」だが、保険金をめぐる殺人事件の犯人が実は「“憂愁”の影を持った」若い女性という推理小説。「これはサスペンス・メロドラマ」(共演の天知茂)「原作は単なるナゾ解き小説じゃなく、ロマンがある」(長谷監督)というように、主人公はあくまでもやせ型の影を持つ“憂愁”を帯びた女のはずだった。ところがこの女を演ずる川口は、バスト99、ウエスト65、ヒップ98、体重57キロという超グラマーである。メロドラマとはほど遠い女だ。笹沢氏の好みの女のタイプは、やせて影を持った女という評判どおり、氏の作品の女主人公はすべてこのタイプだ。「原作と映画化は別物」とは常識論だが、あまりにもイメージとかけ離れた主役の出現には笹沢氏もアッケに取られ「仕方がないですな」とあきらめている。

次にびっくりしたのは共演の天知茂氏。彼が驚いたのもムリはない。この映画の企画提出者はもともとA&Aプロの主宰者であるこの天知だったからだ。彼にとっては、ことしA&Aプロを作ってから第1作の映画企画。笹沢氏の小説が好きで、この原作の発表当時から映画化をねらっていた。いわば念願の映画化である。
「1プロダクションが映画を作るというのはたいへんな苦労がいるものです。配給元から主演女優を指定されれば、ぜいたくな注文はつけられない。配給会社だって商売になるように女優を選んだのですから」と、イメージの違いには、商売になる映画を、ということで“妥協点”を見出している。

苦労しているのは、この映画の全責任を負った長谷監督も同じである。外注作品の常として、極度に制限された製作費とスケジュール。川口が決まったのも撮影日程がギリギリになって、これ以上延びれば封切りに間に合わないというときだ。
「台本にも“憂愁夫人”と形容されているように、たしかにイメージは違います。からだはごらんのとおり。セリフはまだまだ甘くて舌足らず。でもね」と語る長谷監督のことばは、せっぱつまって登場した主演女優のイメージの違いにはとまどいながらも、立場上、川口を弁護する。
「川口君という女は、いつか突然大女優になるといった可能性を持った女だと思う。僕の役目はその可能性を引き出して、見て損はしない映画にすることです。川口君の持っている素材を生かして、原作とは逆のイメージを使ってもおもしろい」
逆のイメージとは「せっぱつまった女の生き方」(長谷監督)だそうだが、こういう抽象的なことばを使うところに長谷監督の“とまどい”が表れているようだ。

ところで3人の大の男をあわてさせている当の川口小枝のことばを最後に紹介しておこう。
「出演交渉のあったとき、おとうさん(武智鉄二氏)に相談したら、“普通のメロドラマならダメだが、こういうヒロインなら出てもよい”といわれたので出ることにしたの。楽しいわよ、この仕事は」
“こういうヒロイン”とは養父に犯され、養父を殺す殺人犯である。

(写真キャプション)
・イメージの違いに、びっくりしている原作者の笹沢氏と主役の川口と天知(ロケ現場の神奈川県・舞鶴で)
・父親に許されて上半身もあらわにベッド・シーンを展開する川口と天知(*抱き合いながらきょとんとしてる天っちゃん。たぶん撮影指示待ちか)

(以上、デイリー 1966・S41年9月30日号より引用 *資料提供:naveraさん)

*初の企画映画だというのに、未だにお目にかかる機会がない幻の作品(2010年6月現在)。先日、原作を読んでみたところ、「冬の曇り空」と称されるような、とある暗い過去ゆえに翳を背負う主人公・新田が“自分と同じ翳を持つ”部分に惹かれるその該当女性が、葉子ねえさんもビックリなダイナマイト・ボディーの物怖じしない小枝チャンに変わっているわけだから戸惑うのは無理はないと思った(週刊現代での天っちゃんのコメントが大いに頷ける)。…しかし原作では彼女とはベッド・インしないんだけど、やっちゃったのか? それともまた(「新宿25時」のように)宣伝だけなのか? そのあたりも含めて気になる作品である。

*(2011.6.20追記)映画をようやく鑑賞できた。

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| 映画::松竹・他 | 12:05 AM | comments (x) | trackback (x) |
『殺すまで追え 新宿25時』
『殺すまで追え 新宿25時』(1969年・S44:松竹)

(シネマアートン下北沢にて鑑賞)

水も滴るいい男(←OPから文字通り雨に濡れての張り込み中)、新宿署の桧健作(天知茂)は徹夜明けの空に銃声を聞いた。先輩刑事の安西が拳銃自殺を図ったのだ。未亡人の玲子(原知佐子)の証言や周囲の状況から自殺に間違いないと思われたが、桧は几帳面な安西が遺書も残さずに死ぬはずがない!犯罪の匂いがする!とひとり眉間を険しくして主張、上司の坂上課長(高野真二)と対立する。やがてその一本気な正義感が仇となり、ある朝車に仕掛けられた爆弾で妻を失ってしまう。

自分の手で犯人を殺すことで頭がいっぱいの桧は刑事を辞め、同僚の捜査に割り込んで「生ぬるいぞ!」と会田@非ライばりのバイオレンス(元)刑事ぶりをみせるのだが、いつも惜しいところで犯人サイドに先回りされ証人を消されてしまい、真相までなかなか辿りつけない。それでもようやく大滝(佐藤允)という新宿界隈の顔役を突き止める。

一方、大滝の愛人でクラブのナンバー2歌手(ナンバー1は青江三奈)のさとみ(香山美子)は桧の猪突猛進ぶりにクラッときたらしく、部屋におしかけた挙句に彼を押し倒すのだが、「奴らのものには一切触れたくないんだ」と拒絶される。その潔癖さに完全に参ってしまった彼女は、うっかり大滝の前で桧を贔屓、ジェラシーに燃えた大滝に煮え湯を浴びせられる羽目に。おまけにさとみは桧の元に逃げこんだため、大滝は桧の娘・ジュン(仕事ばかりで遊んでくれない嘘つきのパパが大嫌い)を人質にとり、交換条件としてこれからお前は記憶喪失になれと迫る。

カーチェイスされる桧! 眉剃りヒットマン・天童(でもポスターみたく上半身は脱いでなくて残念:川津祐介)の一発で車は爆発炎上!だが桧は服をちょっと焦がしただけで無事だった!そして砂浜でスローな肉弾戦を繰り広げるふたり! …という新東宝&美女シリーズテイストのアクションに眩暈がしつつも話はクライマックスに突入。

さとみの目撃情報から、坂上課長が大滝とつるんでいることを桧は知った。さらに安西未亡人が遺書を隠して利を貪っていたことに怒り沸騰の彼は、割れた(割った)ビン片手に彼女が泣いて許しを請うまで物凄い形相で脅し、遺書を隠した貸し金庫の鍵をもぎ取った。

岩場でライフルを構える大滝に丸腰で対峙する桧。「俺はお前に惚れたらしい。どうだ一緒に働かんか」とリクルートをすすめる大滝(先刻のジェラシーの出所はそっちか!と思わず邪推しかけた)を鼻であしらい、ライフルの弾はいつか無くなる、それまで俺は死なん!と逃げ回る桧だったが、回り込まれて大ピンチ。とそのとき、桧を追ってきたさとみのライフルが火を噴き、大滝を倒した。だが瀕死の大滝に撃ち返され、さとみは桧の腕の中で死んでいく。またまた怒り沸騰、恐らく天っちゃん史上最強の部類に入る殺気立った顔でさとみのライフルを構えて大滝を睨みつける桧だったが、引き金を引くまでもなく、大滝は動かなくなった。

応援が駆けつけ、救い出されたジュンを抱きしめた桧は(ところどころブツ切れ部分があるのでよくわからないが)今までの熱が冷めたように「いったい何人を殺してしまったのだろう……」と遠い目をするのだった。

*「一匹狼」や「夜の主役」など、もっともスマートでカッコいい時代のテレビ作品がほとんど見られない中、その流れを汲んでいるであろう天っちゃんの男前ぶりが存分に堪能できる作品。映ればいつも正面アップ、という映画ではめったに拝めない至福が味わえる。(やさぐれていても組織の一員なので)行動に限界がある会田よりもアグレッシブ、一方で私生活は理解のある奥さんと娘に囲まれ充実している(いた)桧健作。とにかく、怒らせたら彼の右に出るものはいないだろう。

*ただ、途中までかなりハードな展開だったのに、天童との対決シーンくらいから「いや、それはナイから」と突っ込みたくなるいつものノリが飛び出してくるのと(脚本のひとりは宮川一郎さんだしなあ)、新聞記事などで散々「フォール寸前の天知茂」だのなんだのと、二人の美女相手にラブシーンをこなしたとあるその場面がひとつもなかった(さとみに押し倒されるシーンは、コーデュロイのジャケット着たままだし)のがちょっとばかり期待外れ。眼力で大量殺戮、そのくせ行いは清廉潔白、というあたりが天っちゃんキャラらしいといえばらしいとはいえ、ひと華咲かせるには押しが足りなかったのかもしれない(私は好きだが)

*桧の同僚で家族ぐるみの付き合いをしているらしい杉江刑事に、これが映画デビューの広川太一郎さん。声に聞きほれた(合掌)。そのほか、名無しだけれど桧や杉江刑事に密着してる刑事役に北町嘉朗(史朗)さん。

*原作はウィリアム・マッギヴァーンの「ビッグ・ヒート」。1953年にはグレン・フォード、リー・マービン出演の映画も製作されている(邦題は「復讐は俺に任せろ」)

*音楽はあの美女シリーズの鏑木創さん。Jazzyで映像よりもビートが利いて洗練されている雰囲気(←失礼)

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| 映画::松竹・他 | 01:25 PM | comments (x) | trackback (x) |
『黒幕』
『黒幕』(1966年・S41:松竹)

おそらく35歳にして初めての、そしてもうあと2~3本ほどしかない単独主演映画をラピュタ阿佐ヶ谷にて鑑賞。(新東宝はアラカンさん以外は主演級は複数クレジットだし、前年の『孤独の賭け』はトメ位置だった)。

東京・赤玉製薬の社長直属の特殊工作員(=プロパー)、利根五郎(天知茂)。他社の製品を倉庫から盗ませ(報酬をケチって喧嘩沙汰になったりしながらも)安く売り飛ばして蹴落としを図る彼は、かつてクラブで用心棒をしていたらしいがバンドをバックにムード歌謡も披露できる、履歴書のない男。ヌケ作の後輩(坂上栄一)や敵か味方かよく分からない“不思議な女(同僚)”・静香(野川由美子)に翻弄されつつ、ライバル社の精力剤(「王精」)をちゃっかり愛飲するような社長にも一宿一飯の恩義とやらでこまめに尽くし、「王精の秘密を探ってこい」「九州で(秘密の材料の)ユリを取ってこい」だのといった厄介払いめいた指令に対しても黙って従う義理堅い奴である。

そんな人柄と切れるルックスに惹かれてかどうか、会社の受付嬢やら事務員さん、オツムの弱い後妻さん(扇町京子)、それから同性の鴨井(@犬シリーズ)チックな運び屋・三次(ハンサムタワーズ:高宮敬二)にまでモテモテの利根。そして、ライバル社の社長(原作者:佐賀潜さん)の囲い者である静香もまた、彼への愛に目覚めてゆくのだった。

あらすじは下記リンクに譲るとして(そもそも天っちゃんが主演というだけで筋なんてどうでもよくなってしまうのがファンの哀しさである)、殴る・蹴る・迫られる・迫る・ヤる・車と格闘する・歌う・ドラム缶に詰められる・などなど、旬ともいえる時期の天知茂プロモーション映像がこれでもかと堪能できるお得な作品であることは間違いない。

ただ、いろんな姿を一度に見られるせいで、意外にセックスアピールに欠ける(恋愛下手である)事実が図らずも露呈。野川さんとのラブシーンはたしかに端麗だったものの、佐賀潜さんに揉まれているときの彼女の方がエロティックだし、扇町さんを愛撫する年長の旦那・殿山泰司さんのテクの巧みさと比べると「兄さん(=利根)、ヨワおますなあ」と扇町さんに言われてしまうのもむべなるかな、であった(“王精”飲まなきゃダメというわけか?)。本人はラブシーンに大いにテレているそうで(「おしゃべりジャーナル」参照)、そのテレが微妙なぎこちなさを生んでいるかにみえた。

ラブシーンよりもむしろ、ドラム缶詰めの直前、後ろ手に縛られ床に転がされながら片膝を立ててキッと相手を睨む表情に強烈な色気を発散させていた天っちゃんは、お色気メインの作品であれなんであれ、常にベストは尽くしていた。その姿は和製ジェームズ・ボンドというよりは、子供向けの特撮ヒーローに近いものがある。スタッフがそれを望んでいたかどうかは別として。

*佐賀潜さんの原作(シリーズになっている模様)はいったいどんな感じなのか、近々読んでみたい。

*そもそも自分は上半身すら脱がないのも色気の無さを助長していたと思う。おっさんになってからの方がしょっちゅう脱いでるってどうなのか。

*殿山さんの息子で「おとうちゃ~ん」とフニャけていたのが左とん平さん。天っちゃんとの絡みはないが、純朴そうな(!)警官を師匠に良く似た真面目っぷりで演じていた宮口二郎さんとのやり取りはあって、のちの右田&坂井両刑事@非ライを想像すると楽しい。

*クレジット時にバックコーラスつきでカッコよく流れる主題歌「影」はファーストLP「昭和ブルース」でも聴ける曲だが、アレンジがかなり違っていた(映画の方が“じっくり聴かせます”系)

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| 映画::松竹・他 | 01:21 PM | comments (x) | trackback (x) |
狼男とサムライ・完全版
あの『狼男とサムライ』(1984年・S59)の完全版を、ご好意で見せていただいた。

完全版といっても、残念ながら「天知茂のアフレコ版」が存在するわけではなく、日本人キャストが華麗にスペイン語を喋っている(=吹き替え)上に字幕がギリシャ語、という国際色豊かなバージョンで、日本でビデオ化された作品(=日本版と呼ぶことにする)よりも約20分ほど多くの映像が含まれているものである。追加シーンは狼男(バルデマル:ポール・ナッシー)がらみの部分が多いものの、天っちゃん演じる貴庵が夢の中で暴徒相手に立ち回るシーンがあったりで、少しばかり得をした気分になれる。

しかし特筆すべきはなんといっても音(BGM)。舞台がスペインの時には日本版と同じBGMだが、いざバルデマル一行がお江戸に着くと、越天楽のようないかにもガイジンさん好みのニホンの音色が(たとえシリアスなシーンでも)賑々しく奏でられていて、ちょっとしたカルチャー・ショックを受けること請け合いだ。

・・・もっとも、エンディング曲が天っちゃんと池波志乃さんのデュエット「絆」(しかもフルコーラス)だという最大級の驚きが待ち受けていることは前にも書いたが( 「恋酒」参照)、貴庵の妹・茜(朝比奈順子)とバルデマルのラブラブな逢瀬シーンでもこのムード歌謡(もちろん歌の部分)が唐突に流れ始めるという、そのめくるめく選曲センスには正直脱帽(or脱力)。何もかもこじんまりとまとまっていた日本版よりもいろいろと楽しめる作品だった。

*後から日本版を見直したところ、「絆」のインストバージョンはこちらでも流れていたことが判明。つまりこれが例の「映画のために作った歌」と考えていいのかもしれない(でもその場合なぜ池波さんなのか、という疑問は残るのだが)。

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『いも侍・抜き打ち御免』
『いも侍・抜き打ち御免』(1965年・S40:松竹)

「献上牛を巡る地元の権力者と牛飼いたちの争い」「横行する辻斬り」「お姫様誘拐騒動」の三本柱を、岡山弁と自己流剣法でま~るく治めるいも侍・淡島蟹右衛門(長門勇)の武勇伝。

トメの位置にクレジットされていた天知茂の役柄は藩内の検見役・所俊二郎。献上牛に関する上役たちの悪事を薄々察しているが、弟がこともあろうに辻斬り仲間のひとり(真っ先に蟹右衛門に斬られて死亡)だった事実をじわじわ突っ込まれ苦しい立場にいる歌舞伎調メイクのお侍だ。

ただ肝心なところでなかなか登場しないうえ、献上牛争いで殺された鑑定人の久左衛門(細川俊夫)の死に不審を抱き、颯爽と馬に乗り久左衛門宅へ向かうも娘に話をちょこっと聞いてまた颯爽と馬で去って行くとか、颯爽と馬を駈っているときに蟹右衛門と出会い、「お前も辻斬りかなもし」と言われてUターンするふりをして蟹右衛門を鞭でしばきつつまた颯爽と馬で駆けていく、とか、何をしに来たのか(何をしたかったのか)いまひとつ意味不明の馬上のひとイメージばかりが印象に残った。ちなみにクライマックスの、お姫様(18年後には明智センセイを蝋燭で責め立てる鰐淵晴子)を救うための大立ち回りシーンでも最後の最後で馬で颯爽と登場し、ちょっとだけイイトコ取りをしていた(でも相手が弱すぎ)。

*馬には乗れるがギャロップは無理なんじゃないのか、と思っていたが、スタントなしでパカラッパカラッと軽快に馬を走らせていた模様(スマン天っちゃん)。

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『紅夜夢』
『紅夜夢』(1983年・S58:にっかつ)

にっかつとアマチフィルムの配給で製作されたロマンポルノ(おそらくこれが第一弾?)。

愛する男の為に人を殺し、首斬りの刑に処された実在の人物・高橋お伝(親王塚貴子)の話で、クレジットのどこにも天知茂の名前は無く(変名らしきものもない)当然姿は見えないものの、ラストシーンで彼女に罪状を伝える短いナレーションはまさしく天っちゃんの声、という嬉しいオマケがついていた(情報ありがとうございました>naveraさん)

お伝にまつわる映画化の話は1975年の記事(人間再発見)にあったので、アマチフィルムの総帥(=天っちゃん)もいろいろと陰で協力をしていたのではないかと思われる。

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『獣(けだもの)の剣』
『獣(けだもの)の剣』(1965年・S40:松竹)
安政四年十月、飯富宿に浪人平木弦之助がやって来た。彼は人材登用藩政改革の藩論を覆えせると判断し、城代家老山岡監物を斬った。だがこれは次席家老星野頼母の策略であった。……
(goo映画あらすじ より)

弦之助(平幹二朗)ら下級武士のいる家屋にふらりと雨宿りに立ち寄り、他所では下積みの若い衆が藩論を改革しているそうだ、うちもお前たちが奮起して城代家老さえ黙らせれば改革が進むだろう、などと暗に家老抹殺をそそのかしたにも関わらず、口車に乗って家老を斬ってしまった弦之助に「馬鹿なことを。城代家老ひとりを殺しても藩論は覆るまい」と無情に言い放つ冷徹な策士・星野頼母(天知茂)。進退窮まっている弦之助とは裏腹に、のんびりお茶など点てながら顔色ひとつ動かさず知らぬ存ぜぬを決め込むあたりの冷血漢ぶりが実に絵になっていて、出番はあっという間なのに妙なインパクトがあった。

監督は五社英雄氏(シナリオも共同執筆)。弦之助メインの話に加え、藩のために働きながら藩に殺される薄幸の武士夫婦(加藤剛&岩下志麻)たちのエピソードも挿入されているのだが、弦之助がピュアな瞳を燃やして彼らの仇を討つあたりなどはどこか「無宿侍」を髣髴させてくれた(あれの原型か?)。主演が天っちゃんでも面白かったかもしれない。

*三原葉子ねえさんも十八番のお色気を取り混ぜながら熱演していた(天っちゃんとの絡みは無い)

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