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非情のライセンス 第3シリーズ #26 (終)
#202「あゝ兇悪! さらば会田刑事」(1980年・S55・12月4日OA)

引退まであと6日と迫った矢部警視(山村聡)から、女子中学生・真山百合子(小野はるみ)が幸せに暮らしているかを調べろとの単独指令を受けた会田(天知茂)。「もし不幸せだったら、俺が引き取る」と言う矢部の真意を図りかねつつ彼女を尾行すると、物々しいボディガードに囲まれて百合子が帰宅した豪華料亭から、思いがけない人物が姿を見せた。15年前に1度だけ会った女(第1シリーズ初回参照)・真山由比(加賀まりこ)――かつて見逃してやった彼女が、百合子の母親だったのだ。

ボディガードは公安の連中だと矢部に聞かされ、おまけに「あの子はお前の娘だ」と言われて会田は驚く。あの時お前が由比を逮捕していれば生まれるはずはなかった、だから百合子は俺とお前の責任で生まれてきた子なのだと矢部は続けた。そんなとき、ボディガードの一人が事故死に見せかけて殺される。遺体安置所になぜか公安局長と共に姿を見せたのは、由比のパトロンで近頃羽振りの良い総会屋・秋山(田中明夫)だった。非常に胡散臭いものを感じ取った会田は「間接的な父親としてあの子を守る義務がある」と由比に会い事情を問い質す。由比はしらばっくれたものの、会田を本当の父かと問い「18歳になる3年後(1983年11月2日)、本当のお父さんからプレゼントが贈られてくるの」と無邪気に言う百合子は、なぜだか化学式を落書きしていた

会田が忠実に暗記して帰った百合子の化学式(核酸)は、15年前に自殺した化学者・早崎の癖を踏襲していることが判明。“生化学者からみた食糧問題”をテーマにしていた早崎は突如蒸発、見つかった時は廃人同様で、ある夜夫婦で死んでいるのが見つかったのだという。以来、夫妻の8か月になる娘・真理子は行方不明になっていた。もしや百合子は「早崎真理子」なのではないか、そして「廃人」というキーワードから、かつてジャンキーだった由比が関わっているのではと推理した会田の元へ、またしても百合子のボディガードがディスコで刺殺されたとの報せが届く。

現場には捜査一課の橘(渡辺文雄)らがいた。“グレーの背広を着た目つきの鋭いがっしりした体格の60くらいの男が娘を連れて行った”との目撃者情報を聞き、会田はそれが矢部であると直感。はたして矢部は、会田のマンションに百合子を保護していた。少女の寝顔に安堵した会田だが、傍らの直筆メモを見て顔色を変えた。

「あの娘を守るために秋山と刺し違えるつもりだ
俺の身に万一のことがあったら
後はたのむぞ会田
真山百合子はお前の娘で 俺の娘だ
しっかり育ててくれ
矢部」

尾けてきたらしい橘に百合子を託し、秋山邸へ急ぐ会田。しかし、一足遅く矢部は連れ去られた後だった。総理から真相を聞き、秋山に銃を突き付けた矢部だが、秋山と由比のどちらか一方でも死ねば事が公になると脅され、百合子を想って断念したのだ。会田のマンションでは押しかけた公安相手に橘が頑張っていたが、会田は由比から矢部の居場所を聞くために百合子を手放した。

明け方近くになって、河原に放置された車内に縛られている矢部をようやく会田は発見。だがドアを開けた途端、時限爆弾が時を刻み始めた!
「俺のせいだ…俺がドアを開けたからスイッチが!…俺がそのスイッチを!」
「違う、しっかり聞いてほしかったからドアを開けさせたんだ」
パニック状態の会田を諭すように静かに真相を語って聞かせた矢部は、それでも「イヤだ! 俺はイヤだ!」と駄々っ子のように繰り返す会田を「責任をとるんだ、会田!」と蹴とばして前へ進めさせる。放心状態で頷き、踵を返した会田の背後で、矢部を乗せた車は轟音とともに炎に包まれた。

白昼、公衆の面前で自己紹介するなり秋山を襲った会田は、書類のキーを手に命乞いする彼の額に弾をぶちこむと、その足で由比の元へ。15年前、真理子が貰うはずの“遺産”欲しさに早崎夫妻を殺し、真理子を百合子として育てたのは彼女と秋山だった。
「会田さん、今度こそ…本当に捕まえてよ」
百合子を母親として愛していた由比の気持ちに応えることを約束し、会田は彼女に銃を向ける。そして閑静な邸宅に、銃声が一発響きわたった。

矢部が死んだ場所で、「真理子=百合子」である証明書類を灰にする会田。真理子宛の父の遺産とは、食糧問題を解決する人間改造計画(腸を半分にして人間を小型化)のあらまし。人類を二分化しようと画策した秋山のような人物を出さないためにも、唯一の遺産相続者「早崎真理子」はこの世にいてはいけない。いたいけな15歳の少女に、そんな重荷を背負わせるわけにはいかなかったのだ。

「部長は事故死、秋山と由比を殺したのは、現職警官の三角関係のもつれ…」

橘は“会田の娘なら自分が面倒をみる”と百合子を預かった。西井刑務所の門前で、手錠姿の会田に「母さんを返してよ! あんたなんか…あんたなんか死刑になればいい!」と叫ぶ何も知らない百合子だが、ただ黙って頷いてみせた橘に微かな笑みをこぼし、会田は兇悪の門へと入ってゆくのだった(昭和ブルース新録1番の終了と同時に門が閉ざされ、「完」マーク)

「この俺に、悲しみを引きずりながらどこまでもさまよい歩けというのか――」(予告の台詞)
部長と会田、会田と橘の愛と友情ここに極まれりといった感の最終回。第2シリーズの最終話同様、橋本脚本はどこのSFドラマなんだ、ってな壮大な(荒唐無稽ともいう)スケールのテーマを扱っているものの、ぐいぐい引き込まれてしまった。

*ただ、この3人がやたら良い味を出す一方、あとの特捜部メンバーが完全に蚊帳の外。非ライは群像ドラマではないとはいえ、あんなぞんざいな扱いされるなら出てなくてもよかったんじゃなかろうか。というより、部長ったら可愛い会田さえいてくれればそれでよかったのねと思えばよいのか?(二人の子供も出来たし! ←茶化すな)

*しかし、あのまま6日後に矢部さんが円満退職したら特捜部はどうなる予定だったんだろう…まさか会田が昇進? (ってことだけはなさそうだが)

*(2010.12.8)本文中の「凶悪」を「兇悪」に変更しました(ご助言ありがとうございます)

*(2010.12.9)秋山を襲ったのは「白昼」でなく「夜」ではないか、との質問をいただきました。株主総会が行われていたビル(ホテル?)内での出来事でしたが、射殺直前の画面で窓の外が明るいことを確認しました。矢部さん爆死が明け方、秋山射殺後に由比の所へ行った時もまだ明るかったので、時系列上からみても「白昼」の記述のままでも良いと判断します。
*(2010.12.9)矢部さん退職の日、カレンダーには「4」に○がついていた記憶があるので4日後では?との質問をいただきました。確認したところ、浦川(左とん平)が丸を付けたのは12月「8」日、そこから「いち、に、さん…」と「ろく」まで(12月2日まで)遡って数えていましたので、6日後ということにしました(放送日は12月4日なんですけども)。



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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス3 | 03:08 PM | comments (x) | trackback (x) |
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