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『殺すまで追え 新宿25時』
『殺すまで追え 新宿25時』(1969年・S44:松竹)

(シネマアートン下北沢にて鑑賞)

水も滴るいい男(←OPから文字通り雨に濡れての張り込み中)、新宿署の桧健作(天知茂)は徹夜明けの空に銃声を聞いた。先輩刑事の安西が拳銃自殺を図ったのだ。未亡人の玲子(原知佐子)の証言や周囲の状況から自殺に間違いないと思われたが、桧は几帳面な安西が遺書も残さずに死ぬはずがない!犯罪の匂いがする!とひとり眉間を険しくして主張、上司の坂上課長(高野真二)と対立する。やがてその一本気な正義感が仇となり、ある朝車に仕掛けられた爆弾で妻を失ってしまう。

自分の手で犯人を殺すことで頭がいっぱいの桧は刑事を辞め、同僚の捜査に割り込んで「生ぬるいぞ!」と会田@非ライばりのバイオレンス(元)刑事ぶりをみせるのだが、いつも惜しいところで犯人サイドに先回りされ証人を消されてしまい、真相までなかなか辿りつけない。それでもようやく大滝(佐藤允)という新宿界隈の顔役を突き止める。

一方、大滝の愛人でクラブのナンバー2歌手(ナンバー1は青江三奈)のさとみ(香山美子)は桧の猪突猛進ぶりにクラッときたらしく、部屋におしかけた挙句に彼を押し倒すのだが、「奴らのものには一切触れたくないんだ」と拒絶される。その潔癖さに完全に参ってしまった彼女は、うっかり大滝の前で桧を贔屓、ジェラシーに燃えた大滝に煮え湯を浴びせられる羽目に。おまけにさとみは桧の元に逃げこんだため、大滝は桧の娘・ジュン(仕事ばかりで遊んでくれない嘘つきのパパが大嫌い)を人質にとり、交換条件としてこれからお前は記憶喪失になれと迫る。

カーチェイスされる桧! 眉剃りヒットマン・天童(でもポスターみたく上半身は脱いでなくて残念:川津祐介)の一発で車は爆発炎上!だが桧は服をちょっと焦がしただけで無事だった!そして砂浜でスローな肉弾戦を繰り広げるふたり! …という新東宝&美女シリーズテイストのアクションに眩暈がしつつも話はクライマックスに突入。

さとみの目撃情報から、坂上課長が大滝とつるんでいることを桧は知った。さらに安西未亡人が遺書を隠して利を貪っていたことに怒り沸騰の彼は、割れた(割った)ビン片手に彼女が泣いて許しを請うまで物凄い形相で脅し、遺書を隠した貸し金庫の鍵をもぎ取った。

岩場でライフルを構える大滝に丸腰で対峙する桧。「俺はお前に惚れたらしい。どうだ一緒に働かんか」とリクルートをすすめる大滝(先刻のジェラシーの出所はそっちか!と思わず邪推しかけた)を鼻であしらい、ライフルの弾はいつか無くなる、それまで俺は死なん!と逃げ回る桧だったが、回り込まれて大ピンチ。とそのとき、桧を追ってきたさとみのライフルが火を噴き、大滝を倒した。だが瀕死の大滝に撃ち返され、さとみは桧の腕の中で死んでいく。またまた怒り沸騰、恐らく天っちゃん史上最強の部類に入る殺気立った顔でさとみのライフルを構えて大滝を睨みつける桧だったが、引き金を引くまでもなく、大滝は動かなくなった。

応援が駆けつけ、救い出されたジュンを抱きしめた桧は(ところどころブツ切れ部分があるのでよくわからないが)今までの熱が冷めたように「いったい何人を殺してしまったのだろう……」と遠い目をするのだった。

*「一匹狼」や「夜の主役」など、もっともスマートでカッコいい時代のテレビ作品がほとんど見られない中、その流れを汲んでいるであろう天っちゃんの男前ぶりが存分に堪能できる作品。映ればいつも正面アップ、という映画ではめったに拝めない至福が味わえる。(やさぐれていても組織の一員なので)行動に限界がある会田よりもアグレッシブ、一方で私生活は理解のある奥さんと娘に囲まれ充実している(いた)桧健作。とにかく、怒らせたら彼の右に出るものはいないだろう。

*ただ、途中までかなりハードな展開だったのに、天童との対決シーンくらいから「いや、それはナイから」と突っ込みたくなるいつものノリが飛び出してくるのと(脚本のひとりは宮川一郎さんだしなあ)、新聞記事などで散々「フォール寸前の天知茂」だのなんだのと、二人の美女相手にラブシーンをこなしたとあるその場面がひとつもなかった(さとみに押し倒されるシーンは、コーデュロイのジャケット着たままだし)のがちょっとばかり期待外れ。眼力で大量殺戮、そのくせ行いは清廉潔白、というあたりが天っちゃんキャラらしいといえばらしいとはいえ、ひと華咲かせるには押しが足りなかったのかもしれない(私は好きだが)

*桧の同僚で家族ぐるみの付き合いをしているらしい杉江刑事に、これが映画デビューの広川太一郎さん。声に聞きほれた(合掌)。そのほか、名無しだけれど桧や杉江刑事に密着してる刑事役に北町嘉朗(史朗)さん。

*原作はウィリアム・マッギヴァーンの「ビッグ・ヒート」。1953年にはグレン・フォード、リー・マービン出演の映画も製作されている(邦題は「復讐は俺に任せろ」)

*音楽はあの美女シリーズの鏑木創さん。Jazzyで映像よりもビートが利いて洗練されている雰囲気(←失礼)

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| 映画::松竹・他 | 01:25 PM | comments (x) | trackback (x) |
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