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『雪の喪章』
『雪の喪章』(1967年・S42)

金沢の老舗金箔商・狭山家に嫁いだ妙子(若尾文子)は、少しトロそうだが人の良い夫・国夫(福田豊士)や姑に気に入られ、幸せな生活を営んでいた。しかし、実家が没落したという知らせに追い討ちをかけるように、下働きの女中・せい(中村玉緒)と国夫が以前から姑公認で関係を結んでいることが判明。ショックを受け憔悴する彼女に、先代からの番頭・日下群太郎(天知茂)は仕事に専念しているような顔をしつつも気遣わしげな視線を密かに投げかけていた。

せいとは別れると約束した国夫だったが、やがてせいが身籠ったことを知った妙子は、耐え切れずに家を飛び出した。雪山で倒れていた妙子を発見、(彼女の素足を顔にスリスリしたりして)必死に介抱、近くの宿までおぶって行ったのは群太郎だった。持ち直した彼女を前に、自分の身の上話、そして妙子への募る想いを切々と語り、一緒に大阪へでも逃げて欲しい、と真剣に訴える群太郎。彼がせいと結婚したいと言い出し国夫の不興をかった頃から、妙子も彼の気持ちに薄々気づいていた。ところが妙子が頷いた途端、宿の主人から連絡を受けた国夫が慌てて駆け込んできたため、群太郎は涙を堪えて独りいずこともなく去ってしまう。

十数年後。妙子とせい、互いに出産・せいの子が不慮の事故で死亡・家が全焼し姑が焼死・金沢へ残るというせいを残し家族3人で大阪へ、という出来事が怒涛のように押し寄せたあと、国夫に召集令状が届く。息子を抱え途方にくれる妙子に、大阪で軍需会社を経営する羽振りの良い群太郎が救いの手を差し伸べた。久しぶりに会った二人。だが無器用な国夫を心から大切に想うようになっていた妙子は、群太郎が勧める彼の会社での職を断った。

しばらくして胸を患った国夫が帰ってきた。今では旅館を切り盛りしているせいを頼り、家族は再び金沢へ戻る。そこには、以前の狭山家を買い取った群太郎(とその妻子)の姿もあった。そして終戦の喜びに沸く中、妙子は国夫とせいが再び枕を共にしているのを目撃してしまう。まもなく病に伏したせいは、旅館の名義は国夫になっていること、そもそも旅館は群太郎が世話してくれたことを告白し息を引き取った。その後を追うように、国夫もまた喀血し帰らぬ人となった。

義父母。せいの息子。せい。そして国夫。
狭山家ゆかりの人間は、大雪の日にみまかる――。

数年後。ムスコビョウキの電報を妙子が受けたのも大雪の日だった。急いで駆けつけると、彼はすっかり元気になっていた。しかし安堵する妙子の耳元に「若奥様・・・」との声が響く。帰宅した妙子を待っていたのは、群太郎急死の報。 約束の金屏風(狭山家にあったもの)を届けた帰りに倒れた群太郎のため、妙子はせめて華やかな花の数々を手向けるのだった・・・。

*長い年月、ひたすらプラトニックに若奥様・妙子を想い続ける群太郎。妙子の指輪がするっと抜ける気配に「おやつれに・・・なりましたな」と背中を向けたまま呟く冒頭から、雪山で気絶した妙子への懸命の介抱(足をさすっても気が付かないので抱き寄せたら胸元がちらっと見えてしまい、ハッと動揺して取り落とす純情さんぶりがナイス)、そして計3度のふたりきりの(邪魔が入ったり、お互いの気持ちが微妙にズレていたりするせいでプラトニックにならざるを得ない)逢瀬と、しみじみと味わい深いシーンがちりばめられていた(三隅監督ありがとう)。ただ妙子の人物像がいまひとつ掴みきれなかったのと、群太郎サイドの話をもう少し掘り下げて欲しかったなあという思いが残った。

*穏やかに歳を重ねていた矢先に脳出血で急死、ってのはいろいろとコタエる展開だ。

*しかし妙子さんが彼の葬儀用に真っ先に注文した花が「バラ」だったのにはウケた。やっぱりバラが似あうのか!

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| 映画::大映(その他) | 01:00 PM | comments (x) | trackback (x) |
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