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『地獄』
『地獄』(1960年・S35)

教授の娘・ユキコ(三ツ矢歌子)と結婚間近の大学生・清水四郎(前髪が大学生?:天知茂)。勝ち組の割に顔色が冴えないのは、怪友・田村(沼田曜一)と起こした偶然の事故でチンピラ・恭一(泉田洋志)を轢き殺してしまったからだ。良心の呵責に耐えきれずユキコに相談、自首しようとする四郎だが、乗ったタクシーが衝突してユキコが死亡。自暴自棄となって寝た女・洋子(小野彰子)は恭一の情婦で、復讐に燃える恭一の母(津路清子)と彼女に命を狙われる羽目に。

ハハキトクの電報で故郷に帰ってみると、胡散臭い養老院を経営している父(林寛)は病の床に伏せる母の隣で二号(山下明子)とよろしくやっている。絵描きの父と暮らす、ユキコにそっくりなサチコ(三ツ矢さん二役)という娘の存在だけが清涼剤だが、娘の死で狂った妻を抱えた教授、田村、そして洋子たちが乗り込んできて芋蔓式に不幸が四郎に覆いかぶさり、運命が狂い始める……。

……このあと登場人物すべてがばったばったと死んでゆき、めくるめく地獄ツアーへと話が展開していくさまは圧巻かつ強引すぎて笑いがこみあげてくるほど。とりあえずどこの世界にいてもビクつきながら「俺が悪かった、許してくれ〜!」と謝りまくっている四郎は、死んでなお「殺してやる!」と首を絞められる上に「四郎、俺と一緒に来い!」だの「四郎さん、助けてー」「もう離さないわ〜」だのと男女関係なく迫られる人気モノだった。

*地獄で長丁場のキスシーンをやってのけるツワモノでもある<四郎

*この映画のメフィストフェレス・田村を演じた沼田さんの恐るべき怪演はトラウマ必須。

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| 映画::新東宝 | 11:16 PM | comments (x) | trackback (x) |
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