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非情のライセンス 第2シリーズ #97
#149「兇悪の殉職・坂井刑事」(1976年・S51・9月2日OA)

青年実業家・太田(村上幹夫)がライフルで狙撃され死亡した。彼が嫁さんの遠縁に当たることから、メンツに賭けても事件を解決したい捜査一課の橘(渡辺文雄)は、かつてライフル射撃で鳴らした坂井(宮口二郎)に応援を要請するのだが、すげなく断られた上、呼んでないお邪魔虫(=会田:天知茂と浮田:松山英太郎)まで現れて渋い顔。

とある出来事の後、二度とライフルは握らないと心に決め、その手の事件を避けてきた坂井だが、狙撃犯人に心当たりがあった。もしや、大学射撃部の後輩・羽島宏文(和崎俊哉)では――しかも羽島の前妻・光子(二本柳俊衣)は、死んだ太田と再婚しようとしていた。ところが単独で調べを進めるうち、羽島が事件前日にライフルを盗まれ、事件当日から姿をくらましていることが判明、彼の無実を確信する。

犯行に使われたライフルが決め手となり、羽島は指名手配されてしまった。そんな折、坂井あてに彼から電話が掛ってくる。「やっと、あのときの先輩(=坂井)の気持ちが分かりましたよ……」
――あいつは俺を裏切った女だ。死んだからって許せるものか。
坂井の妻は、彼が射撃大会に行っている合間に男と間違いを犯し、心中を図った挙句に自分だけ命を落としたのだ。そのときに放った坂井の言葉をなぞる羽島。彼は、光子とその父・徳永(増田順司)が邪魔な自分をワナにかけたのだと信じ込んでいた。2〜3日したらすべてを清算します、そう言って電話は切れた。

一方、私情が絡んで危うい状況にある坂井をバックアップしようと、会田たちも行動を開始。光子がライフルを扱えることを調べ上げ、尾行の末に真相を聞き出した。父の命で太田と政略結婚することになっていた光子は、土壇場で太田に拒まれ、家にあったライフルを、羽島の物と知らず持ち出し射殺したのだという(そう仕向けた元凶は父親)。

自白した光子を連行しようとしたその時、ライフルを持った羽島が徳永邸に押し入ったとの知らせが入った。急ぎ駆けつけた会田は、坂井が中に入ったと知り、自暴自棄になった羽島の弾丸を避けながら(1発当たりつつ)自らも侵入する。

「俺は先輩と同じことをしようとしているんです、止めないで下さい!」
光子を呼べと叫ぶ羽島を、自分の過去を見るようで制圧しきれないでいる坂井。だが橘の命令でライフルを持ってきた警官をふっとばした彼は、それなら俺が行くという会田を制すと、拳銃を手渡し、丸腰で羽島に対峙しようとした。そこへ投げ込まれる催涙弾。パニック状態になった羽島のライフル弾は、坂井の胸を貫いた。駆け込んだ会田が見たものは、「(彼女を)許してやれよ…」そう呟いて後輩の胸の中に崩れ落ちる坂井の姿だった。

「ヤツは立派に任務を果たしたよ」坂井の亡骸を前にした矢部(山村聡)の足元に、会田は警察手帳を投げつける。「その代償は何です、何が残りました…? 警視総監賞ですか、特進ですか! ……俺は辞める! こんなもののために、命を捨てる馬鹿はいませんからね!」

ひとり道を歩く傷心の会田の前に、坂井がふと現れた。
――会田さん、何渋い顔してんですか、気楽にやらなきゃあ、気楽に!
幻は、朗らかに笑って消えた。

あっちへ行きかけそうな会田を呼び止めたのは浮田だった。
「俺は辞めません、絶対に。辞めたら坂井さんに悪いです」
いっちょう仕込んで下さい、そう言って頭を下げる浮田の手から、会田は逡巡の後に手帳を受け取るのだった(昭和ブルースは1番)

*これまでも殉職した刑事は何人かいたが(大門・四方・江沢)、これほど丁寧に見送られた果報者は坂井さんが初めてだろう(そもそもタイトルからして気合が入っている)。一番の黒幕(=光子の親父)や実行犯(=光子)は無傷で、弱い立場の人間がいっそう救いようのない悲劇を導く展開もさることながら、ラストの会田の取り乱しっぷりが哀しさを助長していた。でも最後に手帳持ってきたのが(#99で殉職する)右田じゃなくて良かった・・・。

*半泣きになって「俺は辞める!」と駄々(?)をこねた会田に「いいだろう」とあっさり了承し、後からさりげなく使いを遣る矢部さんは懐が深いなあとあらためて実感(そしてあそこで反対されたり殴られたりすることを期待していたのか、肩透かしをくらってちょっと「え?」な感じになっていたような会田もかわいらしい)

*一課の橘さんは彼なりにベストを尽くしていた、と思う(いつもは下手に出るのに、珍しく矢部さんとも真っ向対立)。「強硬手段をとったのは、銃声を聞いて君たちが危ないと判断したからだ!」と、アカンというのに飛び込んだ無鉄砲な男(=会田。しかも玄関先で撃たれて派手に倒れてたし)を心配してのライフル渡しや催涙弾作戦だったろうに(←想像)、結局裏目に出てしまい焼き殺されそうな目つきで睨まれていたのがちょっぴり可哀想でもあった。

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:34 PM | comments (x) | trackback (x) |
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