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『怪談本所七不思議』
『怪談本所七不思議』(1957年・S32)

本所といえば夜な夜な黒装束(帰りはお経柄の白装束か)の物騒な冥土の使者4人が出没する場所だと思っていたが@江戸の牙、それとは別に「片穂の葦」だの「消えずの行灯」だの「足洗い屋敷」だの「置いてけ掘」だのといった七不思議(ぜんぶタヌキの仕業?)があるらしい。

危ないところを優しい老旗本・小宮山左膳(林寛)に救われたタヌキ姫(橘美千子)。恩返しを誓うのだが、左膳は後妻・さわ(山下明子)と、偶然にもかつて彼女とねんごろだった飲む・打つ・買うの極道な甥・権九郎(色悪ぶり炸裂:天知茂)の姦計によって殺されてしまった。屋敷で我が物顔の権九郎、さわさんといちゃいちゃの一方で、修行に出た左膳の一人息子・弓之助(明智十三郎)の帰りを待つ許嫁(松浦浪路)にちょっかい出してみたりと好き放題。と、そこへ弓之助が帰って来た! が、怪しげな祈祷師の力で、その正体はタヌキ姫だと判明、権九郎たちは調伏しにかかる。そこへ本物の弓之助が現われて・・・。

まあ、最後はタヌキ姫の喜びの狸囃子でほんわか終わるような映画なわけだが、こういったノリの作品でいかにも作り物でございな一本足の傘だとか大入道だとかに対峙した時の悪人の妥当な対応としては、腰を抜かすほど驚いてベソをかきながら「許してくれえ、俺が悪かった~」と泣き叫んでこそ調和が取れるんじゃなかろうかと思うのだが(それを望んでいるようなライトなBGMもかかっていたのだが)、「いつかはオレも伊右衛門役を」PRに余念がない彼は、ケレン味たっぷりの狂乱ぶりをこれでもかと見せ付け、周囲の人間を皆殺しにしてくれた(もしかすると「四谷怪談」より長丁場かもしれない)。相手はたかがタヌキだよ、落ち着けよ天っちゃん! ただひとり別方向に情熱を迸らせていた彼のおかげで、笑っていいのか感心していいのか、見終わるとなにやら不思議な気分だった。

*凛々しい顔(睫バチバチ)なのに口元がとにかく悪人。だが、「足洗え~」と妖怪に言われて実際に足(古傷)を洗ったらしく、悪化させて医者に「片足を切らねばならぬかも知れませんなあ」と言われちゃうあたりの素直さ(バカさ)が笑える

*「とんだところへ北村大膳!」などの歌舞伎調のセリフにも受けた

*映画館でみた生涯2度目(ただし1度目『二百三高地』は出番の記憶なし)の天っちゃん映画。出てきた瞬間に嬉しいやら気恥ずかしいやらで笑いがこみ上げた。

*(2008.7.10追記)たまたま1990年のシネ・ダイアリー(当時愛読していた「スクリーン」製。何を見たのかメモったもの)を読み返していたら、同年8月にこの映画のことが書いてあった。まさか10年以上前に見てたとは! …まったく記憶なかったなあ。
そのときのメモ:
どうしてこういう笑えるタヌキ話を見たかというと天知茂が出てるからである。しかし彼は金と女にあけくれる悪役をキワめていた…。時代モノだしメイクは濃いしおまけに若いので誰かわかりにくかった。いい役やってる彼がみたい気がする。
・・・まだ天っちゃんといえば明智センセイか左門さまくらいの年代しか知らない頃らしいコメントである

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| 映画::新東宝 | 01:57 PM | comments (x) | trackback (x) |
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