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『憲兵とバラバラ死美人』
『憲兵とバラバラ死美人』(1957年・S32)

暗い夜道を歩く男女。後ろ向きの憲兵服の男に結婚を迫る女。彼女を捨てて金持ちの娘と一緒になりたい男は、草むらでの愛撫の後、彼女の首に手をかけて・・・。

冒頭のシーンからしばらく経ったある日。憲兵隊舎の井戸から異臭がして、妊娠している女の胴体が発見された。

残りの部分はどこに? 彼女は誰なのか? そして犯人は?

思うように捜査が進まない中、東京から応援として小坂曹長(中山昭二)が派遣されてきた。それが面白くない地元の憲兵曹長・萩山(細川俊夫)は独自の聞き込みから、事件当夜、井戸の近くでこっそり荷物を運んでいる姿を目撃されていた恒吉軍曹(帽子を脱ぐと兵隊ヅラが不自然:天知茂)が犯人ではと目星をつけ、女遊びの激しい彼(『なにしろ男前でありましたから、女にモテたのであります』下士官談)が馴染みの女を殺したのだと決め付けた。また時を同じくして、恒吉と深い仲だった芸者が謎の失踪を遂げていたこともあり、萩山は否定する恒吉を拷問にかける。

一方、恒吉は物資の横流しをしていた小悪党にすぎないとみた小坂は地元警察との連携を図り、一歩一歩真相に近づいていくのだった・・・。

ヒントが順々に示されていく、非常に丁寧な作りのサスペンス映画。ただアマチスト(造語)には冒頭の後姿が別人だとすぐ分かってしまい、いかにも悪人面で怪しい挙動の天っちゃんを配してミスディレクションを狙った(と思われる)製作サイドの思惑通りとはいかなかったようだ。しかし捜査と小坂の言動が実にスローテンポなので、早くしないと恒吉軍曹、拷問で死んじゃうんじゃないか?と別のところでハラハラした。生死が重要ポイントの馴染みの芸者・文子さんってば、痴話喧嘩しただけで北海道まで旅に出たせいでなかなか帰ってこないし。

*テーブルにうつ伏せ、はたまた逆さ吊りにされてムチでビシバシしばかれ、水をぶっかけられ・・・と散々な目にしか逢っていない天っちゃんだが、いつもながら一生懸命。原作名は「のたうつ憲兵 : 首なし胴体捜査68日」(ちなみに原作者は「小坂慶助」氏。←「憲助」にあらず)。文字通り(拷問で)のたうってるのは恒吉軍曹(=天っちゃん)しかいなかったので、もしや原作では彼が主役なのかと思ったりもして(国会図書館にしかないようだが、読んでみたい)。

*(2007.3.12)国会図書館で読んでみた<原作
「です・ます」調で書かれている上に会話が多いせいか、えらくのんびりした胴体発見シーンや小坂憲兵と周囲の人々の交流など、映画のスローペースとマッチしていて意外にもほのぼのと読みやすかった。ちゃんと亡霊が首のありかを教えてくれるシーンまであるし、あれでもあの映画は原作を重視した丁寧なつくりだったのかと感心。

さて肝心の恒吉軍曹(=天っちゃんが演じた容疑者第一号)は、田舎にいたときから軟派の不良青年だっただの、日活の沢田清に似て女にモテモテだの(さすがに沢田氏がどんな顔なのかは判らないが)、なにやら胡散臭い人物に描かれていて、馴染みの女が行方不明なあたりもイイ感じ(?)に怪しいのだが、なんと彼は事件直後に満州へ出兵してしまっており、そのうち小坂憲兵がガイシャの身元を洗い出しちゃうこともあって、あっというまに容疑が晴れることが判明した。例のビシバシの拷問シーンは映画ならではで、要するに名前(と悪評)だけで出てもこない人物なのだ。膨らませまくっているじゃないか。

もっとも、原作を改変してくれたおかげで天っちゃんに陽の目(・・・か?)が当ったともいえるので、ここはひとつ映画スタッフに感謝すべきかもしれない。

*捜査が進まずに「のたうつ(小坂)憲兵」という意味合いのタイトルだったらしい。
「私はこの主役をやりたい」というサブタイトルの序文を池部良さんが書いている(昭和32年3月15日付)
*かなり状態が悪いらしく、目の前で「禁複写」シールが貼られて手渡された。(よって国会図書館ではコピーはできませんのでお気をつけください)

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| 映画::新東宝 | 10:13 PM | comments (x) | trackback (x) |
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