■ADMIN■
ADMIN ID:
ADMIN PW:
■CATEGORIES■
■POWERED BY■
BLOGN(ぶろぐん)
BLOGNPLUS(ぶろぐん+)
■OTHER■

『ごろつき犬』
『ごろつき犬』(1965年・S40)

紀州に流れていた鴨井大介(田宮二郎)は、謎のキャデラック美女・三沢葉子(水谷良重)から、夫の仇の一六組幹部3人(稲取・川勝・辺見)をやっつけてほしいと言われて大阪(天王寺)へ。通天閣周辺で前回つぶした蒲生組と天地会の残党に絡まれるが、なぜか彼らは途中で逃げてしまう。鴨井の背後に、彼の帰阪を知りニヤニヤと尾けていた木村刑事(天知茂)がいたからだ。

「なんや、しょぼくれ刑事やないか!」いきなり初出のニックネーム(以後定着)で呼ばれても怒る訳でなく(むしろ嬉しそう)、しょぼくれはうどんの汁をダシに、同僚刑事を射殺した凄腕、一六組の稲取を探ってほしいと鴨井に頼む。お前よりハジキがうまいかもしれん、と対抗心に火をつけられた鴨井は一六組のアジトに向かうが、川勝(成田三樹夫)と辺見(山下洵一郎)の姦計により銃を奪われ倉庫に監禁されてしまう。“組長”の命でまもなく放免、組の女・まゆみ(江波杏子)から銃を返されたものの、その銃は同じく監禁されていた会社重役の射殺に使われていた。

まゆみと恋仲だった実行犯の辺見が殺され、鴨井自身も葉子との逢瀬の最中に狙撃された。黒幕は稲取か――。鴨井の脳裏に、冒頭温泉で遭遇した、自分と同じ拳銃痣(というのかどうか知らないが、肩についた疵)を持つ男(根上淳)が浮かんだ。警察に来た彼にしょぼくれは「俺は胸をやられていてもう長くないんや」と軽く咳込んでみせ、その男のモンタージュ作成に協力させる(もちろん、胸の病はウソ)。出来あがった写真をみて、まゆみは稲取に間違いないと断言した。

警察を出た鴨井は拉致され、川勝たちと銃撃戦を展開。しょぼくれに「あの男のそばにいると危ないよ」と標準アクセントで止められたにもかかわらず後を追ってきたまゆみが負傷し、川勝は稲取に消されてしまった。警察の目をかいくぐり(というか、わざと逃がしてくれたしょぼくれのおかげで)、稲取と今まで謎だった“組長”を追いかけて再び紀州入りした鴨井は、組長=葉子であったことを知る。大金を独り占めしたかった葉子は、邪魔な幹部の抹殺を鴨井に頼んだのだ。

稲取とサシの勝負に挑んだ鴨井だが、銃を持った葉子に狙われた。そこへわらわらと現れた連中とのドンパチの最中に葉子が被弾、鴨井は稲取以下を“かすり傷”で射止めると、しょぼくれからの要請で彼を「鴨井警部」として援護にきた警官たちに気をよくして帰っていくのだった。

最後はおやじさん(中田ラケット)の遺骨を抱いて故郷に帰るまゆみを天王寺駅で見送った後、紀州から追いかけてきた玉子ちゃん(坂本スミ子)をしょぼくれに押しつけてトンズラする鴨井、苦笑しつつやっぱり嬉しそうなしょぼくれが映ってエンドマーク。

*うどん好きのしょぼくれ刑事こと木村刑事、再登場。「俺がうどんを好きなんはな、人生観につながっとんじゃ。叩いて伸ばして細長く、な」「その上にこう、つかみどころがない」鴨井の返しが漫才並みでナイス。モンタージュの時といい、いっぺん勝負しよやないか!と向かった先が将棋クラブ、という流れといい、鴨井にどつかれて逃げられても笑顔で手を振ってみせたりするしょぼくれの余裕と、口ではボロクソに云いながら彼に懐いている鴨井のコンビが実に楽しい。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=15 |
| 映画::大映with田宮二郎 | 11:46 PM | comments (x) | trackback (x) |
『坊ぼん罷り通る』
『坊ぼん罷り通る』(1958年・S33)

化粧品会社を営む父の旧友、大友(由利徹)を訪ねて東京へやってきた大阪の坊ぼん・水島光一(高島忠夫)が、持ち前の傍若無人な坊ぼん気質で恋に仕事に歌にとハッスルする青春映画。

光一の機転で売り出された新製品・シロクナールの人気はうなぎ上りだが、何者かによって大量に横流しされ安価で出回っていることが判明した。腰が低くて実直な倉庫主任の田村さん写真)は知らないと言うのだが、どうやら最近、増田という怪しい男(天知茂)と羽振りよく遊んでいる姿が頻繁に目に付く販売課長の佐々木(並木一路)が怪しい。

佐々木の脅しに屈せずに調べを進めた光一は、たまたま田村さんの留守中に机に入っていた老眼鏡を掛けてみて、それが伊達メガネであることを発見。そして帳簿を見て確信する。田村さんと佐々木はグルだ!

「おい水島、おめえのガン付けしたとおりよ」
詰問された田村さんはガラッと態度を変え、おもむろに口髭を取り眉を取りカツラを外す。そこにいたのはなんと増田。乱闘の末、ナイフや銃を持ってる連中を素手でノックアウトした光一は会社を救い、社長令嬢のみゆきさん(高倉みゆき)とゴールインするのだった(という部分はどうでもいい)。

*あまりに地味な登場シーン(写真)と極上の爺さん演技にまんまと騙された。見た目の風格はともかくセリフ回しがまだ軽い増田より、田村さんの喋くりの方が自然に思えたくらいだ。

*子分たちから“おやっさん”と呼ばれ、おねーちゃんたちを従えてワルの貫禄十分な増田だが、自分で変装して横流しを指示しているマメさがいかにもで微笑ましい。

*いけてる(?)増田の画像集:
おねーちゃんにネクタイ直してもらってる図
バレそうで焦る佐々木の小物ぶりを鼻であしらう図
「俺はね、涙もろいんだぜぇ?」椅子に逆向きに座り、泣きの入った佐々木を眺める図
ワルですと言わんばかりの顔でピストルを構える図

(おまけ)この身長差で殴り合っておりました

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=106 |
| 映画::新東宝 | 04:08 PM | comments (x) | trackback (x) |
『宿無し犬』
『宿無し犬』(1964年・S39)

ハジキと喧嘩は滅法強いが、女に弱いお調子者の一匹狼・鴨井大介(田宮二郎)は、高松にある母の墓地をゴルフ場に変えた大興組とひと悶着。そこを彼らのライバル、沼野観光社長(佐々木孝丸)に見込まれ神戸にやってきた。

沼野の店が火事になり、その保険金を受け取った帰り道、鴨井の前に奇妙な不精髭男(天知茂)が現れた。「君のボディガードや」抜け抜けとそう宣言した不精髭は彼の後を尾けてくる。ちょうどその時、高松で出会った大興組と訳ありの美女・麻子(江波杏子)に遭遇するのだが、不精髭はなぜか彼女と関わり合いになるなと言い「そのうち火事見舞いに行くからな」と不可解な台詞を残して消えた。

そんな折、鴨井がナイスバディの柳子(坂本スミ子)と働いていた沼野所有のモーテルが放火された。予告通り焼け跡に、しょぼくれたコートの不精髭が姿を見せる。沼野の保険金詐欺をほのめかした彼は、飯場にいた鴨井を銃器不法所持で引っ張ろうとした。「お前、デカやったんか!」

捜査一課の刑事・木村準太(改めて天知茂)は鴨井に、(うどんと麻子の居場所をエサにして)沼野と青井(水島道太郎)の線を洗ってくれと持ちかける。青井というのは沼野の片腕で、鴨井の良いハジキ仲間だったが、モーテルの保険金を持ち逃げして大興組に匿われた男(それはすべて沼野との策略だったのだが、大興組は青井をゲットすると沼野を射殺し、結局寝返った形になっているややこしい男)。同僚を青井らしい男に消された木村は、なんとしても青井の身柄を確保したいのだと言う。鴨井は麻子会いたさに渋々協力することに。

鴨井がホの字の麻子は、大興組の康市(五味龍太郎)の女とみられていたが実は彼の姉だった。康市は姉の身の安全のためそれをひた隠しにしていたものの、お前には出来すぎた女だから青井に譲れと組長の佐伯(須賀不二男)に命じられて苦悩。麻子を連れて逃げようとしたところを組員の瓜生(デビュー作?:成田三樹夫)たちに襲われ、ついでに事情を知らない鴨井にも追われて海へドボン。翌日浮かんだときには死体になっていた。

実際は組員たちのドスを喰らっての刺殺だったが、鴨井の前以外では俄然キレものぶりを発揮する(しかも標準語に切り替わる)木村は、沼野の出方を探ろうと“水死”として発表させた。おかげで自分が麻子の大事な男を殺してしまったと落ち込む鴨井。しかし、連れて逃げた麻子と木村の言葉から真相を知った彼は、康市の骨でひと儲け企んでいた沼野から骨を奪い返すために、青井とのサシの勝負を決意する。

サシのはずなのに沼野やらミッキー瓜生やらが押しかけ乱戦になり、青井は味方サイドにやられて死亡。残りを単身でやっつけた鴨井の背後から、パトカーのサイレンが聞こえてきた。逃げて、と抱きつく麻子を「アイツ(=木村)の月給あげたらなイカン」と諭した鴨井は、木村の手錠を潔く受けるのだった。

*“犬シリーズ”第1弾ゆえか、途中から妙にシリアスで湿っぽい展開になってしまい、鴨井のあっけらかんとスカした魅力が花開いていないのが残念。とはいえ、“しょぼくれ”(とは1作目では呼ばれていないが)こと木村刑事の懐深いキャラは最初っから全開である。ふらりと姿を見せて「俺は君(=鴨井)より色男やと思ってるんやが」(ほんとにそう思う←贔屓目)なんて言いつつ鴨井をやんわり手玉に取り、タイヤを頭から被らされて逃げられてもヤンチャ坊主を見る優しい目で見送っていたかと思うと、本業では眼光鋭くキレ者。刑事としては会田@非ライより優秀なんじゃないかとさえ思えてしまうその余裕のある態度が、ルックスと相まって実に魅力的だ。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=14 |
| 映画::大映with田宮二郎 | 11:45 PM | comments (x) | trackback (x) |
『毒蛇のお蘭』
『毒蛇のお蘭』(1958年・S33)

京都の料亭「菊水」の一人娘・志乃(小畑絹子)は、掏られた密書入り財布を届けた縁で勤皇の志士・安川(中村竜三郎)とほんのり良い仲に。だが江戸へ行かねばならぬ安川と涙で別れた夜、料亭が新撰組に急襲され両親惨殺。奉公人のお梅(山下明子)と二人で安川を頼って江戸(もう東京)へ向かったはいいが、箱根山中で親切ごかして近づいてきた口元と髪型が胡散臭い色男・ざんぎり源次(天知茂)の毒牙にかかり、お梅は馬車で輪姦、志乃は源次に青姦され隠れ家に連れ去られてしまう。

オレは蛇のような女が好きだから、こいつの体に毒蛇を彫ってくれ、との源次の命を受けた彫辰(沢井三郎)によって、背中一面に“源次の情婦”としての烙印を余儀なくされる志乃。だが泣く泣くそれを承諾した途端、スリ、美人局、賭場荒しなどなど、どこぞのスイッチが入ってしまったかのように「毒蛇のお蘭」として悪事に手を染めてゆく。

警察に追われ、源次と離れ離れになった後も、かつて騙した大館(林寛)の囲い者になり若い書生をたぶらかすなど毒婦ぶりに拍車がかかっていたお蘭は、書生をそそのかして主人と相討ちさせ、金庫の中身をごっそり頂戴しようとしたところでふたたび源次(こちらもちゃっかり後家さんをたぶらかしジゴロ状態)と再会。冷血爬虫類同士で意気投合、大館が保管していた銀座の宝石商のご落胤の証拠品を武器に大金をせしめようと画策する。しかし源次がお蘭とよりを戻した事に激しく嫉妬した後家のお信(若杉嘉津子)が「うらめしや伊右衛門どの〜」と(違)土壇場ですべてを暴露、とうとう源次とお蘭は大乱闘の末、逮捕された。そして取り調べにきた警察署長は、なんとあの愛しの安川だった…。

*可憐な京娘から魔性の姐御に変貌する小畑さんを愉しむ作品。彫辰さんの刺青が凄かったからかもしれないが、よっぽど源次の調教が効いたとみえる。

*いわば色悪版ヒギンズ教授な源次。初めはお蘭に対してクールな態度を崩さなかったものの、思っていた以上の変貌を遂げた彼女に驚き、クライマックスでは「お前だけでも逃げろ!」と命綱の拳銃を手渡してしまったあたりに敗因をみた。生脚をちらつかせて一生懸命抗っていたが、やっぱりあのあと死刑になっちゃうんだろうなあ。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=105 |
| 映画::新東宝 | 04:07 PM | comments (x) | trackback (x) |
『女間諜(スパイ)暁の挑戦』
『女間諜(スパイ)暁の挑戦』(1959年・S34)

なかなかの美男子ゆえに特務機関「むらさき機関」に配属され、“岸井隆”の変名で中国でスパイ活動をすることになった元陸軍中隊長(天知茂)。重慶側のスパイと目される京劇スター林晃彩(リン・コウサイ:三原葉子)に接触を図り、彼らの組織を一網打尽にするのが彼の任務である。「いいな、女におぼれてはイカンぞ!」出発前にそう忠告され、北京で直属上司の“三津井雪”(高倉みゆき)から具体的な指示を仰いだ岸井はここでも「晃彩におぼれてはいけません!」ときつくダメ出しされる。

晃彩に近づいた岸井はすぐさま彼女と仲良くなるが、憲兵の怒りを煽って逮捕された。岸井にああ言いながら自分が彼におぼれかけている雪は上司の大佐(竜崎一郎)に即時釈放を願い出るが、これも作戦の一つだと却下される。事実、激しい拷問(バケツの水ぶっかけとか、半逆さ吊りでビシバシとか)を10日ほど受けた後で部屋に転がり込んできた岸井の姿に晃彩は胸キュン、二人の親密度は急上昇。中隊長時代を知る部下に出くわす小ピンチもあれど、思惑通りに進んでいることに岸井は不遜にニヤつくのだった。

京劇の研究会に出かけるからお部屋で待っててネ、と鍵を託して外出した晃彩を追った岸井は、彼女がアジトで日本人参謀の暗殺計画に加担している姿を目撃。急ぎ雪に連絡を入れるも相手はなかなか出てくれず、そうこうするうちに晃彩が帰ってしまい、やむなく電話を切り部屋へダッシュで戻った。ところが岸井が通報しなかったせいで参謀は殺されてしまった。あいつ(=岸井)は役に立たんと言う大佐に雪は必死に彼を弁護、私はキミを信じてるから、と再チャンスを与える。そんな二人の密会を、重慶側のスパイ・謝天成(江見俊太郎)がじっと見つめていた。

再びアジトで、大将を列車もろとも爆破する計画を盗み聞きする岸井。アジトの場所を雪に知らせた彼だったが、晃彩からもらったライターをうっかり落としたおかげで謝の疑惑を決定的なものにしてしまう。憲兵たちを引き連れた雪がアジトへ駆け付けるともぬけの殻、おまけに時限爆弾がセットされていて、多数の死傷者が出た。すべては岸井が晃彩の色気に迷って裏切ったせいとされ、雪は彼を殺せと命じられた。

だが岸井に(一方的に)ゾッコンな雪には彼が殺せない。逃がそうとしてくれた彼女に、ボクを信じてくれているなら、大将が列車に乗る時刻を教えてほしいと頼む。岸井はその情報をネタに、自ら敵の懐に飛び込む策を打ち明けた。必ず助けに行くから待っていてほしい、雪は自分のペンダントを託し、彼が重慶側スパイたちに連行されるのを見送った。

岸井のネタに食いついたスパイ一味は、雪たちによってほぼ全滅。だが隠れ家に逃げ帰った謝は岸井を射殺しようとし、それを庇った晃彩が死亡。雪が駆け付けたときには岸井もまた銃弾に倒れていた。「雪さんすまない、ボクは晃彩を…」と呟き絶命した岸井の手を、雪はそっと、傍らに倒れている晃彩の手の上に重ねてやるのだった…。

*……で「完」にはならず、スパイをやめて日本へ帰国する雪が思い出のペンダント(ロケット仕様だからもしかしたら岸井の写真でも入ってたかもしれない)を海へ投げ捨てるシーンでエンドマーク。やはり主役は「女間諜=雪さん」だったらしい。

*特務機関の若き切り札・色仕掛け要員の岸井クン。葉子ねえさんとはむちゅーむちゅーとキスしまくってるし、高倉さんには(『東支那海の女傑』同様、やはり苗字を呼び捨てにされていたが)ひたすら可愛がられてるし、天っちゃん実に役得。特に上官である雪さんの恋心を知ってか知らずか「雪さんは、ボクを信じてくれているんですか…」などとかすれ声で俯き加減に囁いちゃったりするあたりの妙な色気に往年の年上キラーぶりを垣間見た(高倉さんは年下なんだけども)

*ただ、最初の方、晃彩をたらし込み、彼女の見ていないところでニヤリと笑う顔がいかにも悪人面なので、ラストの純愛展開が唐突に思えなくもなかった。今までこっちのほうが本職(?)だったから仕方ないか。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=104 |
| 映画::新東宝 | 04:05 PM | comments (x) | trackback (x) |
『青葉城の鬼』
『青葉城の鬼』(1962年・S37)

伊達騒動の顛末を家老・原田甲斐メインで描いた山本周五郎原作「樅の木は残った」の映画化。伊達六十二万石存続のためにひたすら独りで耐えて堪えて、逆臣の汚名を着てまで身体を張って藩を守った甲斐の生きざまは原作でもひたすらかっこいいのだが、演ずるは長谷川一夫御大だけあって、いろいろ辛い立場に立たされても、たとえ山で野性児のように暴れていても、めいっぱい二枚目路線で迫ってくれていた。

尊敬する長谷川御大と初の共演を果たした天っちゃんは、お家騒動に便乗してひと儲けしてやれと腹黒いことを考えるイケメン浪人・柿崎六郎兵衛役。剣の腕は相当のものらしいのだが、職にあぶれ酒におぼれて妹・みや(藤原礼子)の厄介になっている(そのくせ鬼畜なDV兄貴)、絵にかいたような色悪である。

みやが拾ってきた金づるをネタに、伊達藩潰しを画策する大ボス・酒井雅楽頭(柳永二郎)に「寄らば大樹の陰といいますからな」と取り入り、原田甲斐を含む伊達藩の面々の刺客として雇われた六郎兵衛。悪い奴だが何しろイケメンなので(くどいがほんとに)、長谷川御大にまさに斬りかからんとする相当イケてるスチール(なんとポスターにも使用されている*画像拝借失礼します)があるものの、実はそういう美味しい場面は本編には存在しない。御大にたどり着く前に、酒井邸に潜入していた原田子飼いの中黒達弥(成田純一郎)に阻まれて、「こいつは俺が始末する」と言って(一応相討ちだが)逆に始末されてしまう、あっけない最期を遂げていた。

もっとも、原作の六郎兵衛は、仲間とのいざこざで眼つぶしを喰らい盲人になってしまい、酒井邸の刺客メンバーですらないので、少しは目立たせてもらったというべきか(そんな悲惨な状況も見てみたかったが)。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=7 |
| 映画::大映with長谷川一夫 | 11:36 PM | comments (x) | trackback (x) |
風雲金比羅山
『風雲金比羅山』(1950年・S25)

妹夫婦に会うため、5年ぶりにこっそり帰郷した凶状持ちの渡世人・すっ飛びの安(阪東妻三郎)。様変わりした故郷では性悪網元の長右衛門(山路義人)がシマを仕切っており、安が惚れていた元親分の娘と所帯を持った与助(黒川弥太郎)は、気弱な性格と安への劣等感が災いしてか長右衛門の言うなり。偶然、安と知り合った長右衛門の妾おしん(山田五十鈴)は彼への気持ちを募らせてゆくが、安は愛する弟を殺した張本人なのだった…。

さて、松竹下加茂でエキストラとして奮闘中のノボル君19歳(「日本映画人改名・別称事典」によれば、芸名は「天知茂松」←後の「天知茂」が公募で採択された名前であることを考えると少し眉ツバな気もするが)は、“子供中”と書かれた灯篭の横で友人と盆踊りを見ていて(その左側に五十鈴ねえさんがいる)、長右衛門の子分たちがわらわらと乗り込んできたときに「やべっ、ヤクザが来ちゃったよ」ってな顔でそうっと場所を移動していたほっかむりの見物人。ワイズ出版の写真集にちゃっかり映ってるスチールがあったおかげで探しやすい上に、右端ながら画面の一番手前にいるので分かりやすかった。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=1 |
| 映画::清水次郎長 | 12:00 AM | comments (x) | trackback (x) |
『のんき裁判』
『のんき裁判』(1955年・S30)

悩殺罪だとかハート窃盗罪だとかで新東宝のスタアたち(高島忠夫、小林桂樹、丹下キヨ子、森繁久弥etc)が続々と実名で法廷に担ぎ出され、裁判長(藤田進&大河内伝次郎)や検事(田崎潤、田中春男、堺駿二)、弁護士(笠置シヅ子、曉テル子、坊屋三郎)たちと喧々ゴウゴウたる騒ぎを巻き起こす、新東宝8周年を記念してのオールスター映画。

撮影が忙しくて出廷できないという若山富三郎さんたちを訪ねて「移動裁判」としゃれこんだのんき裁判所の面々は、時代劇(次郎長シリーズ)のセットでスタアと喋ったり自分が出演したり(←大河内さん)やりたい放題。ちゃっかり大立ち回りまでやってのけた大河内さんに監督(三浦光子)と助監督(江川宇礼雄)はカンカン。(本来の役者の)鳥羽陽之助くんはどこだ、呼んで来い!って話になって、三浦さんがコワいんで女優さんたちと歓談していた鳥羽さんを「鳥羽さあん、出ですよぉ。あんたがいないんでみんな大騒ぎですよぉ〜」と弱り顔(と声)で呼びにきたのが助監督(クレジットでは一応役名はそうなっていた)の天知茂クンだった(こんな感じ)。

高島さんはもてもてスタア役、久保菜穂子さんはニューフェースに憧れる藤田裁判長の娘、宇津井健さんは撮影所でムーディーな場面の真っ最中と、同期の面々はけっこういいシーンをもらっていて、そんな中ではちょっと寂しい出番ではあったが、裏方さんもまずまず似合っていた。

*gooでは助監督=和田孝さんとなっているが、和田さんは出てなかった気がするなあ。あと、三原葉子ねえさんがどこにいたかが分からなかったのが残念(舞妓さんのシーン?)

*スタアが実名で隠し芸大会(?)を繰り広げる大映の『スタジオはてんやわんや』(1957年)も面白かったが、こちらもみんなすごく楽しそうで、現場の良い雰囲気が漂っていた。大河内さんの横でボケてツッコんでコケてる田中春男さんのキャラがいい!

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=103 |
| 映画::新東宝 | 04:04 PM | comments (x) | trackback (x) |
『初笑い寛永御前試合』
『初笑い寛永御前試合』(1953年・S43)

綺麗どころと踊り三昧の家光公は、ご意見番の大久保彦左(古川ロッパ)に諌められ、免許皆伝のツワモノたちを募って御前試合を催すことに。

免許がないがズル賢さは人一倍ある穴沢玄達(益田キートン)は、試合に勝って生駒一心斉(江川宇礼雄)の道場と一人娘・弥生(光岡早苗)をゲットするために策略を巡らせ、小柄勝負で一心斉の右手を使えなくしたほか、上京してきた侍・竹内直人(森川信)の免許状をスリの勘八(堺駿二)に狙わせた。

ところが竹内の免許状は、ひょんなことから一心斉の愛弟子・布袋市兵衛(花菱アチャコ)の手に。人の難儀を放っておけない市兵衛は竹内捜しに奔走、それを追う玄達一味やら竹内と訳アリの女スリ・お浜(藤間紫)、そして勘八の母(清川虹子)などが入り乱れ、むちゃくちゃでござりまするがな〜な展開が幕を開ける…!

一心太助がマイク持って宣伝カーに乗ってたり、ジンギスカンVS猿飛佐助なんていう試合があったり、時代考証そっちのけのストーリー展開に脱力(でも面白い)。

ところで柳生役で出ているらしい天っちゃんだが、確かにクレジットのほぼ最後あたりに名前が出てきたものの(こちら)、試合のジャッジ・柳生飛騨守(こちら)はどう見ても別人だ。それではと目を凝らしてみたところ、応援団の中にそれらしい姿を発見した(ほとんど同じショットだが、とりあえず3枚: その1その2その3)。

しかし、クレジットされてて出番がコレだけというのも解せないのでもう一度見直してみると、どうやら冒頭で「殿、大久保様がおみえになりました」と告げに来る家来がそうなのではないかという気がしてきた(その1その2)。顔はほとんど分からないが、ちょっぴり胡散臭げな鼻にかかった声がそれらしいなあと。

どちらにせよ、まだまだ仕出しクンなのであった。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=102 |
| 映画::新東宝 | 04:02 PM | comments (x) | trackback (x) |
『南郷次郎探偵帳 影なき殺人者』
『南郷次郎探偵帳 影なき殺人者』(1961年・S36)

麻薬王・神崎(晴海勇三)が出所直後に殺害された。「先生早く来て下さい。私も殺される…!」弁護を担当していた青年弁護士・南郷次郎(天知茂)は、彼の情婦・東野文江(吉田昌代)からの切羽詰まった電話を受けてホテルへ直行するが、時すでに遅く、文江は冷たい躯となっていた。

彼女の遺した切符とヤクの原料がどっさり入っていた黒い鞄(カラ?)を持ってロマンスカーに乗る南郷。隣りに乗り込んできて鞄を交換した怪しい青年(文江の弟:鳴門洋二)はタクシーの男(=麻薬王をバラした沖竜次)に襲われ、「芦ノ湖でボートに乗って」と告げた謎のグラサン女性(宮田文子)の言に従った南郷は、暴走モーターボート(運転は沖竜次)に手漕ぎボートをひっくり返され大ピンチ。その窮地を救ってくれた女性(三原葉子)と実にムーディーな関係(チークダンス有)になりかけるが、彼女は名前も告げぬまま去ってしまった。

文江の勤め先のバーに出向いた南郷は、自分をハメたグラサン女がマダムだと知り問い詰めたところ、背後から(沖竜次に)殴られ、マダムと下っ端の殺人犯に仕立て上げられた。それでもマダムの黒革の手帳をこっそり拝借、事務所に戻るとそこも荒らされ、秘書の金丸京子(水原ユカ)が転がされていたのだが、卑劣な相手に憤ると同時に、俄然ファイトを燃やすのだった。

捜査一課の板チョウさんこと板津部長刑事(坂本武)と仲がよいとはいえ一応コロシの参考人で足止めを食らった南郷は、手帳にあった“女性にしか金を貸さない”「宝城寺商会」を京子に探らせる。まだ少女っぽさが残るが物怖じしない京子ちゃんは、借金の代償として下着を新しくして来いだのというクラブへ向かい、そこで手袋の男(沖竜次)から会員証を渡され小部屋へ案内されかける。それが死んだ青年が持っていたのと同じ会員証だったことから急ぎ南郷に連絡を入れる京子ちゃん。駆け付けた南郷は、手袋男がシメシメとほくそ笑んでいるのも知らず、代わりに麻薬取引と売春が横行する秘密クラブへと潜入した(下着を新しくしたのかは不明)。

鍵付きの小部屋には、なんと芦ノ湖の女性――宝城寺竜子が。偶然の再会の驚く南郷。これ以上関わらないで、と心底彼の身を案じているらしい竜子(またまたムード全開)。だが彼女の足止め策も空しく、後を追いかけた南郷の車は追突され崖から真っ逆さま。にもかかわらず左腕を折った程度で済んだ彼は、竜子と死んだ東野姉弟の故郷へと向かった。

そこで竜子に会った南郷が浜辺でいちゃついているのをじっと眺める双眼鏡の男、彼こそが、一連の麻薬事件の黒幕代議士・本田(細川俊夫)である。本田に恩義があるらしい竜子は、ほとぼりが冷めるまで香港に潜伏しろとの彼の命令に素直に従おうとするが、変装した板チョウさんにより阻止され逃亡、本田の別荘に潜んだところへ、南郷が訪ねてきて心が揺らぐ(またいちゃいちゃ再開)。

拳銃を持った本田に脅されピンチに陥る二人だったが、南郷の機転と板チョウさんの登場で、汚れ仕事を一手に引き受けていた沖竜次(役名は地味に佐藤)ともども黒幕は無事捕縛。板チョウさんの粋な計らいで竜子と二人きりの時間を持った南郷は、罪を悔いる竜子とまたまた熱い抱擁を交わすのだった。

*シリーズ化を見越して作られたにも関わらず新東宝倒産により潰えてしまった(2作目の撮影に取り掛かっていたとかいなかったとか)、珍しく爽やか系の天っちゃん主演映画。彼が主演、それだけで例によって話の筋はどうでもよくなってしまうのだが、事件が(というよりワル担当の沖竜次が)ノンストップで押し寄せてきて飽きさせない作りになっていた。

*ヒロインは、こちらも珍しく影のある女性を演じている三原葉子ねえさん。天っちゃんとはとにかく会うたびにキスドールかあんたらは、ってなくらいにいちゃいちゃしてくれるカップルだ。

*まだ南郷先生のロマンス対象ではない(けれど憎からず思っている)秘書の京子ちゃんの朗らかなキャラもいい感じ。

| http://www.amachi.info/blog/index.php?e=101 |
| 映画::新東宝 | 04:00 PM | comments (x) | trackback (x) |
PAGE TOP ↑