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水戸黄門 第2部 #19
「浪人街の決斗・諏訪」(1971年・S46・2月1日OA)

太鼓の音が湖に心地良く響く諏訪にて。祭りの準備にいそしむ若人の輪にフレンドリーに加わるひとりの浪人がいた。沖山船十郎(天知茂)と名乗るこの侍、信濃屋に投宿してからどうやら20日も宿賃を滞らせているらしいのだが、俺は一刀流の免許皆伝だから用心棒をしてやろうと豪語、自ら呼び込みをかって出て隠居連れの3人組(東野黄門様&杉良助さん&横内格さん)を引っ張りこんでマメに働くそぶりをみせる。事実、財政を助けるためと称して賭場を公然と開き賄賂を取り込む地元藩のせいで、胡散臭い輩がたむろする“浪人街”と化していることに憤懣やるかたなかった領民たちは、彼に浪人の一掃を依頼する。一方、国家老は、江戸の若殿が放った殿直属の隠し目付が既に諏訪入りしていると知り、もしやアイツが…?と船十郎に疑いの目を向け始めていた。

賭場に行ったまま帰ってこない弟を心配する信濃屋の女中・おひさ(二本柳俊恵)に自慢の三味線とノドを披露、良い仲になりかけの船十郎は、彼女が借金のカタに賭場の元締に連れ去られようとするところを助け「俺が行ってやる」と請け負った。♪沖山〜船十郎は〜良い〜オ〜ト〜コ〜、と確かにそうだけど自分で言うな、な歌を披露しながら歩いていると、隠し目付かどうか確認にきた藩士たち(北町嘉朗さんら)が斬り込んでくるのだが、へっぴり腰でオタオタする船十郎を見て「んなワケないよな」と笑って去る(それを見ていた領民たちの評判もガタ落ちに)。

ただ、江戸からの密書第2弾で隠し目付の名前が「カク・ヨシロウ」だと知らされた彼らは、船十郎を助太刀にきた2人組(=助&格)の一人が「カクさん」と呼ばれていたことを思い出し、もしやあれがそうか!と今度は格さん懐柔作戦に出て、面白がった御老公もノリよく対応。

おひさの弟・仙太がすった五十両を取り返すんだ、俺は名人だから心配するなと、賭場でサラシふんどし姿(なぜ脱ぐのか)になって大小だけでなく命まで賭けて張り切る船十郎だが、名人どころかド素人ゆえ借金を倍に増やして敗北。だが負けてもちっとも動じない彼は、「鬼頭七十郎(漢字は当て字:天津敏)という浪人が借金を払ってくれるはずだ」と平然と言い放つ。賭場の用心棒である当の鬼頭は知らぬと言うが、船十郎は鬼頭がここにいると知っただけでなぜか満足するのだった。

懐柔を拒んで消されかけた格さんを逃がす船十郎。そんなとき、戻らぬ彼らが心配だったおひさが自ら元締めのところへ出向き、お蔭で仙太と船十郎も救われた。実はあの格さんは本当のカク・ヨシロウなんだぜ、と元締めに嘘八百をチクる船十郎に、自分さえ助かったらそれでいいのかとビンタをくらわせたおひさは、自分の男運の無さを嘆く。

だが、宿に戻った船十郎は何やら書状をしたため、「私が死んだら江戸の諏訪屋敷に届けてほしい」と御老公に手渡した。その裏書きには「加来輿四郎」の文字が――本物の隠し目付である彼には、どうしても斬らねばならない相手がこの諏訪にいたのだ。格さんめがけて押し寄せた連中を、助さんに借りた脇差で片っぱしから斬り倒す船十郎(助さん格さん、見てるだけ)の前に、その相手・鬼頭七十郎が姿を見せる。「鬼頭、貴様に犯された妻はな、膝をくくって自害した…!」仇討ちのため、同じ道場で3度挑戦してその都度敗れた宿敵に挑んだ船十郎は、やはり強い鬼頭に刀を飛ばされながらも真剣白羽取りで耐え抜き、相手の脇差を奪って見事初勝利をあげた。

身分を明かして(第2部当時は印籠なし)国家老にお灸を据えた御老公一行の出立の日。船十郎から江戸行きを誘われていたおひさは、妻の仇を討つためにここへ来て、念願を果たしたばかりの彼に着き従う自信がないと宿に残っている。街道で御老公に別れを告げた途端、一目散に信濃屋へと戻ってゆく船十郎の後ろ姿を、一行は微笑ましく見守るのだった。

*後にも先にもこれ1話だけの水戸黄門出演回の脚本は宮川一郎さん。淡野右近@大江戸捜査網、新堂左馬之助@柳生十兵衛と合わせてこの時期に前後しているお気楽浪人キャラ3人組(勝手に命名)のひとり(実は同時期の一学さん@大忠臣蔵も浪人時はそれっぽいキャラだと思う)。お人よしでちょっとおっちょこちょい、でも実は誠実なデキる男、という役柄をのびのびと演じているのが面白い。歌うし脱ぐし(脱ぐのは余計)、ペタンとお尻を降ろして刀を振り回すヘタレな殺陣や、同じくほぼ倒れながらの最後の真剣勝負など見どころ多し。

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| TVドラマ(時代劇)::その他(ゲスト) | 08:11 PM | comments (x) | trackback (x) |
桃太郎侍 #133
「千代田の濠に咲く友情」(1979年・S54・5月6日OA)

修復間近だった江戸城の外堀が崩れ、多数の死傷者が出た。現場を仕切る松平備前守(高橋英樹・二役)は「工事を長引かせてたんまり賄賂をもらうためだろう」などとイヤミな老中・本多(田口計)とその取り巻きに責められて顔面蒼白、思わず刀に手を掛けたところで、只一人の味方・脇坂摂津守(天知茂)に止められた。身に覚えのないことながら、結果は結果だと切腹を辞さぬ覚悟の備前守を心配した脇坂は、自ら彼の双子の弟である桃太郎にコンタクトをとり、事件の背後を探るよう依頼する。

何者かが火薬を用いたことを既に突き止めていた桃太郎は、本多と癒着する石問屋たちと密談する侍が、かつての旧友・酒井仙十郎(森次晃嗣)だと知って驚いた。病身の母と幼い弟を抱えた酒井は、母の治療代のために本多の言うなりになって爆破事件の片棒を担いでいたのだ。

備前守を閉門蟄居に追いやったものの、事故の究明が先だと正論をぶいぶい押し通すコワモテ脇坂のせいでうまい汁が吸えない本多たちは、今度は脇坂を消してしまおうと画策。彼が上様の名代で日光へ代参する機会を狙って、「行列ごとぶっ飛ばせ!」と酒井に命じる。母と弟を人質に取られ仕方なく本多の部下たちと先回りに向かう酒井。しかし、陰謀を聞きつけて馬を飛ばした桃太郎によって計画は阻止され、酒井は友を庇って銃弾に倒れた。

怒りに燃えた桃太郎は本多たちを根こそぎ鬼退治。備前守がよろしく言っていたと、脇坂も顔をほころばせるのだった。

*ヨロキン版「赤穂浪士」の脇坂淡路守と同時期の脇坂摂津守、堂々たる正義漢ぶりが頼もしい。が、「桃太郎を頼らずに自分で全部解決しそうな主演オーラ」や「邪魔者が全員いなくなって、これから天下は思い通りに動かしてやるぜな黒幕オーラ」が出ていないこともなくて、普通すぎてちょっと勿体無い友情出演だった。でも一応、タイトルの「友情」ってのは備前守&脇坂のことなのか? それとも桃太郎&脇坂?(桃太郎&仙十郎が濃厚かもしれない)

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新・日本剣客伝 #3
「伊藤一刀斎」 (1969年・S44・2月19日〜3月12日:全4回) NET 21:00-21:56

(読売新聞 1969年2月19日号より引用)
【一刀流無想剣の伊藤一刀斎】
日本剣客伝の第13話で4回にわたり放送する。一色次郎原作の「孤雁」を宮川一郎が脚色、鈴木敏郎が監督するもので、伊藤一刀斎は、秘剣といわれた一刀流無想剣をあみ出し、剣ひと筋に孤独な生涯を送った戦国中期の剣客。
第1回の今夜は、剣に生きるべく島抜けした流人の子伊藤弥五郎(天知茂)が、中条流開祖富田勢源(嵐寛寿郎)に師事して剣の修行に励むうち、あや(河村有紀)と将来を誓うようになり、宿敵土山彦四郎(川合伸旺)を倒して、江戸へ旅立つまでをえがく。
(2月26日あらすじ)
伊藤弥五郎は神道流諸崎一角、殺人剣を誇る兵藤陣之助らと一本松ヶ原での決闘にのぞむ…。
(3月5日あらすじ)
奉納試合で強敵の鎖ガマの吉岡を倒した伊藤一刀斎は、新流派一刀流をうちたてていくのだった。
(当日の新聞広告文句:画像
にくい!
父を殺した島役人がにくい!
俺を“流人”とあざける世の中がにくい!
“島破り”剣豪の激しい怒りと復讐が
一刀流無双剣を生んだ!

*風で揺れてる寛プロさん(ワイズ出版「天知茂」の奥様インタビュー参照)との共演時代劇。一色次郎さんの原作(「孤雁〜一刀流対柳生新影流の決闘〜」弘済出版社)では、副題のとおり、ことのほかえげつなく描かれた柳生一族(おもに石舟斎・宗矩父子)との宿命の対決がメインで、剣の師匠も別人、将来を誓いあう女性も設定がずいぶん違うが、そこは宮川先生が天っちゃん仕様にまとめているんだろうなと推測。資料が新聞記事くらいしか見当たらないが、映像は残っていないのだろうか?

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| TVドラマ(時代劇)::その他(シリーズ) | 08:06 PM | comments (x) | trackback (x) |
赤穂浪士(1979) #13
「城明け渡し」(1979年・S54・7月9日OA)

赤穂城明け渡しは4月19日卯の刻と決定、既に到着している収城使の軍勢が城を囲む中、名残りを惜しむように城に残って最後の夜を過ごす藩士たち。副使・木下肥後守サイドの酔っぱらった武士たちが外から罵倒を浴びせて神経を逆なでするが、内蔵助(萬屋錦之介)はキレかける藩士たちに忍耐を説く。

一方、内匠頭(松平健)と懇意にしていた正使の脇坂淡路守(天知茂)は、領民たちに最後の別れの場を提供してやるなど好人物ぶりをさりげなく演出、明け渡し当日も、何もかも完璧に用意してのけた内蔵助にねぎらいの言葉をかけ、赤穂を一望できる櫓へと案内させた。

内蔵助と二人きりになったとき、高潔な内匠頭は悪法や賄賂の横行への憤りが半端ではなかったこと、その悪業の権化ともいえる上野介に対して刃傷に及んだのは決して短慮ではなく、止むに止まれぬ刃傷であったことを打ち明ける淡路守。そして、「余に仕えぬか?」と誘ってみるのだが、ここからが本領発揮な内蔵助が首を縦に振るわけはなかった。それでも固辞した態度が立派だと相手を誉めた淡路守は、もう二度と顔を合わせることはないと思うが堅固で暮らせよ、と優しく声をかけるのだった。(そしてたぶんその言葉どおり二度と出番はない模様)

*ずいぶん長い間すったもんだあったようだが、使者がどこまでも善い人だったおかげで城明け渡しすんなり完了、な回。感情を押し殺して冥府魔道を行く(←違う)ヨロキンご城代と十分対抗できるオーラは持ちあわせているはずの天っちゃんだが、毒気の欠片もない役柄(「ああ忠臣蔵」の岡田淡路守でも、御城代が本懐を遂げることを暗に期待する発言をしていたのにそれも無し)では少々分が悪そうでもあった。

*ご城代の隣に控える吉田忠左衛門役で細川俊夫さん。殺し殺されを繰り広げていた新東宝時代の僚友の前での凱旋(?)はさぞ気分が良かった?

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| TVドラマ(時代劇)::赤穂浪士(1979) | 12:45 AM | comments (x) | trackback (x) |
雲霧仁左衛門 #13(終)
「大波乱! 処刑の日」(1979年・S54・9月25日OA)

弟・伊織(=雲霧仁左衛門:天知茂)の身代わりとして自ら“仁左衛門”を名乗って捕縛された辻蔵之助(根上淳)。白洲に引き出された彼は眉根を寄せて淀みなく質問に答えるが、火盗改め方長官・安部式部(田村高広)は一目見ただけで別人と確信(それまでのお頭の露出が多すぎたせい)、5年前に病死したという弟こそが首領ではないかと推測するのだが、何も言わなかった。

一方、保土ヶ谷(=待ち合わせ場所)にいなかったお千代(大谷直子)の消息を気にかけながらも箱根で腕の刀傷の治療に手間取っていた当のお頭は、熊五郎(谷隼人)から兄を侍として厚遇してくれている式部の様子を聞いた。そんな折、#10で火盗改めに惨殺された鳩栗の大五郎の弟たちが、雲霧引き回しを先導するはずの式部の暗殺を計画していることが判明。兄上の最後を汚す行為は許さない、と怒りに燃えたお頭は暗殺阻止を決意、「何もかも、終わりに近づいたようだな…」と思わせぶりなセリフを吐くと、忠吉(立花正太郎)や熊五郎(谷隼人)を連れて再び江戸へと向かう。

引き回し一行の休息ポイントを一望できる旅籠の一室には、既に思いがけない先客、お千代たちがいた。“雲霧捕まる”の報を聞き矢も盾もたまらず江戸に舞い戻った彼女は、お頭救出計画を実行せんとしていたのだ。お頭はお千代が作った竹筒火薬を利用して、暗殺者たちを炙り出そうとする。

引き回し当日。先導には身代わりを立てよ、とのお頭の投げ文に従った式部の姿はなかったが、鳩栗残党が頼った“仕事人”元締・吉田の菊右衛門(梅津栄)子飼いの暗殺者たちは気付かない。やがて一行が到着、末期の水を貰った蔵之助は柄杓に書かれた合図で旅籠の二階に目を投じ、弟と“会話”を交わす。この二十年のことは忘れろ、藤堂藩への恨みは忘れてお千代と二人で生きよ――そう言い残して背を向ける兄。復讐を自分に託して身代わりになってくれたのだと信じていたお頭は兄の真意に衝撃を受ける。

行動を起こしかけた暗殺者たちを火薬で攪乱、喧騒に紛れて斬り捨てるお頭。逃げのびた一人が菊右衛門の元へ戻ったが、深編傘の浪人=安部式部本人が尾けていたため元締めごとご臨終、暗殺は未遂に終わった。

蔵之助の処刑が始まる時刻、感情が高ぶったのか側まで行くこと叶わず、お頭は離れた場所で正座して涙ながらに最期を見送った。兄の遺言を尊重したい、だが復讐心を忘れることが出来そうにないのが天知キャラの悲しい性。熊五郎たちには実質暇を出し、たとえ5年、10年かかっても必ず復讐を成し遂げてみせる…!と侍マインドを取り戻して誓うお頭に、お千代だけはどこまでも付き従おうとするのだった。

式部を襲った暗殺者を斬ったのは雲霧では、と口にした政蔵(草薙幸二郎)に取り合わなかった式部は、雲霧仁左衛門は死んだと公言しながらも、再び「彼」と相見える日のために闘志を燃やす。

だがこの日から4年余り、藤堂藩の金蔵が襲われたという知らせはまだない――。

*こんなクライマックスに第三者(=鳩栗残党その他)が絡んでくるとは予想外だったが、それによって侠気溢れるお頭と、立場を超えてそれに共感した安部式部の「友情」がうまく表されていた。この路線で(1話完結の通常の時代劇として)続いていればそれはそれで面白かったと思う。

*ただ、面白い要素を取り入れながら、要所で原作の展開はきちんと押さえるという堅実な作りのせいか、原作通りとはいえ最終目的の達成がうやむやのままで完、になってしまったのは正直なんとも物足りなかった(この後味の悪さ、何かに似ていると思ったら「闇を斬れ」と同じだ)。…とはいえ、天知ファンとしてはいついかなる時もお頭がカッコいいというだけで13回楽しめたので良しとしよう。

*画面の向こうに消えたお頭、1週間後には本所で大活躍(それは「江戸の牙」)。

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| TVドラマ(時代劇)::雲霧仁左衛門 | 11:59 PM | comments (x) | trackback (x) |
ああ忠臣蔵 #37
「吉良邸討入り」(1969年・S44・12月13日OA)

討入り当日。愛妻・お艶(広瀬みさ)と質素ながら出陣祝いの膳を囲んでいた毛利小平太(トメ位置:天知茂)は寺坂吉右衛門(高橋昌也)の訪問を受けた。集合時刻の変更を伝えにきた吉右衛門と、2年間の忍耐の日々がようやく報われることを喜び合う小平太だったが、彼が帰るなり咳の発作に見舞われ、その場に倒れ込んでしまう。

安兵衛(梅宮辰夫)馴染みの女将・おたか(森光子)が切り盛りする集合場所の蓮月庵には、次々と浪士たちが集まってきていた。伝達と偵察を終えた吉右衛門が遅れて入ると、小平太の姿だけが見えない。彼の指摘で不在に気づいた内蔵助(山村聡)も心配顔に。

その頃かろうじて意識を取り戻した小平太は、焦燥感に突き動かされながら家を出ようとするものの三和土で喀血。それでも「行かねば俺は、同志たちを裏切った臆病者になる、毛利小平太の武士が廃るのだ…!」と必死な彼に、お艶は約束の時間(丑の下の刻)がとうに過ぎていることを言い難そうに告げた。ショックを受けた小平太だが、それなら吉良邸に直接向かうから装束を着けさせてくれ、と諦めない。

出発時刻が迫り、準備を整えた内蔵助が「毛利は来ないか…」と憂えていた時、討入り装束に身を包んだ(月代も整えた)小平太は今度こそ玄関を出たのだが、数歩も行かぬうちに再び血を吐いてしまった。「俺はもう…駄目だ…」身体の限界を悟らざるを得なくなった彼は自刃を決意、ご城代や同志たちの大願成就と武運を祈りながら、魂魄となって先に吉良上野介の屋敷へ向かうことを誓うと、ご一緒に参りますとけなげに頷いたお艶に刃を向けるのだった。

「小平太には小平太の道がある…結局、四十七士…」諦めた内蔵助たちが店を出て、吉良邸に向かって行進を始めた時刻、小平太とお艶は手を取り合って死出の旅路についていた――。

*小平太さん、(魂魄で)吉良邸討入りに向かうの巻。きっと映画『忠臣蔵外伝 四谷怪談』のお岩さん並みのパワーで皆を導いてくれそうな強烈な魂魄には違いないが、皆と行けなくてさぞ無念だったろう。…無念といえばご城代の最後の台詞、小平太さんが自主的に来なかったように捉えているふうだったのが悲しかった。彼の体調が悪いことは周知の事実みたいだったのになあ。吉右衛門も「咳いてらっしゃいました」とかフォローしてあげればいいものを。

*最後まで「毛利小平太の妻」を貫いた気丈なお艶さん。大事を控えて喀血しまくる夫を「しっかりして下さい、情けない!」なんて叱咤しそうな雰囲気もあり(さすがにそれはないが#8の印象が強いせい)、同志の頼もしさをも併せ持つ女性だった。彼女が一緒に来てくれる(死んでくれる)と知ったときの小平太さんの安心したような表情が印象的。たいてい、奥方は離縁したり遠ざけたりして生かす、或いは奥方の頼みで心中する、というパターンだったので、このカップルは異色である。

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| TVドラマ(時代劇)::ああ忠臣蔵 | 12:46 AM | comments (x) | trackback (x) |
ああ忠臣蔵 #29
「毛利小平太は死なず」(1969年・S44・10月18日OA)

刃傷事件から1年半余り、じっと時が熟すのを待つ金銭的に余裕のあるご城代や、副業がそこそこ繁盛している一部浪士とは裏腹に、蓄えがとうに底を尽いてしまった浪士もいた。9話ほど御無沙汰な間に顔色が一層悪くなった毛利小平太(OPクレジットからプロモ映像ですかな目立ち方:天知茂)もそのひとり。「俺は病などではない!」と強がってはいるものの食が細くなる一方の小平太に、愛妻・お艶(広瀬みさ)も心を痛めていた。実は彼女には他にも悩み事が。料亭「川梅」を辞め、岡場所まがいの場末の飲み屋で働くようになっているお艶は、それを夫に言えないでいたのである。

二人の住まいに、古本屋に化けた早水藤左衛門(砂塚秀夫)らが歌道大全を抱えて飛び込んできた。国学の大家・荷田春満(かだのあずままろ:堀雄二)が江戸入りしたのだという。荷田の門下には上野介もいるため、入門すれば何か情報が得られるはずだと、唯一国学の素養がある(お艶さんを詩歌で射止めたと評判の)小平太に白羽の矢が立ったのだ。ご城代の後押しもあったと知り、張り切って荷田の逗留先の呉服屋に向かう小平太だったが、身元が胡散臭い(水原武右衛門という変名使用)上、黄金色の土産もないために主人から門前払い。それでもしのつく雨の中、勝手口で一晩中待ち続けたその甲斐あって、赤穂浪士ではないかと気がついてくれた赤穂シンパの荷田に入門を許された。だが無理が祟って高熱を出した小平太はその場にくずおれる。

うわ言を呟きながら寝込む小平太。高麗人参が効くかも、と医者に言われたお艶は飲み屋の女将に前借りを頼んだ。快く五両貸してくれた女将の背後には、お艶にホの字の客・相馬国助(梅津栄)が。相馬は吉良の間者で、何かと邪魔な(#8#20参照)毛利小平太を消すためにお艶に接近中だった。そして、小林平八郎(戸田晧久)から相馬を手伝えと指示されたおぬい(土田早苗)は、毛利の名前を聞いて顔色を変えた。

ひとまず回復した小平太が早速荷田の元へ向かうと、彼は父の急死で江戸を立った後だったものの、上野介が病かもしれないという手紙と共に、元吉良邸お抱え医師への紹介状を残してくれていた。医師・林順斎(実はおぬいの父親だがその話は次回:佐々木孝丸)は昨今の吉良については何も知らない様子だった。診察の結果、労咳が相当進んでいるとはっきりと告げられ、おまけに早水たちから「お艶が怪しげな飲み屋で働いている」と聞かされた小平太は動揺を隠せない。

その頃お艶は、五両の出所が相馬であり、身体で返す約束になっていることに愕然としていた。あわやという時におぬいに救われ、乱れた格好のまま家に逃げ帰ったお艶は夫の前で泣き崩れる。すべては暮らしのためであり、妻として貞操を守り抜いたと知った小平太は彼女を抱き寄せた。

その時、外に人の気配が。主税(三田明)に会いたい一心のおぬい――彼女にとって、山科で主税と一緒にいた小平太だけが頼りなのだ。だが吉良の間者であるおぬいに主税の居所を知らせる訳にもいかず、逡巡しつつも追い返そうとする小平太。そこに、お艶を追ってきた相馬が姿を見せ、五両の返済を迫る。彼もまた吉良の間者だと見抜いた小平太は、身体を案じるお艶の制止を振り切って相馬と対峙した。飛び道具を取り出した相馬に飛びかかったのはおぬいだった。降ってわいた刺客たちを倒し、最後に相馬を斬って捨てた小平太を、喀血が襲う。おぬいの心を理解した小平太は、主税の居場所を告げると、咳の発作に身を折り曲げた――(「毛利小平太は今日は生きても、明日は死なねばならない…」という非情のナレーションが流れる中、夫を必死に看病するお艶、水面を漂う赤い血が映ってエンド)

*大変です小平太さん、の巻(脚本は宮川一郎先生)。命がけの苦労があまり報われなかった上に(荷田先生、退場早すぎ)不治の病をあっさり告知され、愛妻は暮らしのせい(というかほぼ小平太さんのせい)で貞操の危機、そして明日の命を否定するような喀血。それでも相変わらずそんなてんこもりの受難が似合ってしまう天っちゃんであった。

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雲霧仁左衛門 #12
「惨殺! 雲霧一党」(1979年・S54・9月18日OA)

最後のつとめ・越後屋襲撃の日。兄の蔵之助(根上淳)を川崎に待機させる手はずを整えた仁左衛門(勝負の侍髷・天知茂)は、つとめに参加しないお千代(大谷直子)にも落ち合う場所を指示した。何やら心細うて…とお頭の胸を噛み、いつになく躊躇う彼女を優しく諭して出てゆくお頭。だが寂しさが募った故なのか、お千代は珍しく六之助(江藤潤)をねぎらい、抱擁を許すのだった(背中限定か)。

一方、金と地位を約束してくれた善右衛門(伊沢一郎)の言葉によろめき、前夜に仕掛けを外せなかった富の市(荒井注)は悶々としていた。しかも今夜は来なくていいと女中に言われて進退極まり、女房のおかね(弓恵子)に告白。小頭(財津一郎)に相談せねば、と家を後にしたおかねだが、火盗改めの密偵・政蔵(草薙幸二郎)と同心・高瀬俵太郎(三浦洋一)に尾行され捕まってしまう。拷問に屈したおかねは、盗人宿の所在を自白、同じく捕らえられた富の市に「もういけませんよう」と泣き崩れた。

夜、火盗改めの面々と雲霧一党は互いに越後屋を取り囲んでいた。尾張の失敗で学んだ高瀬はお京(宮下順子)と二人だけで越後屋裏の寺を探索、そこに小頭以下黒装束たちが集っているのを発見するが、単独行動が裏目に出て共に斬り殺されてしまう。

だがその頃、越後屋内部では、善右衛門のボンクラ息子・由之助(森下哲夫)が勘当されたのを恨んで父親を惨殺するという恐ろしくタイミングの良い(悪い)事件が起きていた。突如屋敷内であがった叫び声に、火盗改めと雲霧一党は騒然となる。

お頭を乗せた小舟が岸に着いた途端、鳴り響く呼び子。両者入り乱れての死闘に駆け付けたお頭だが、自分が切り抜けるのに精一杯。重傷を負った小頭は最後までお頭を案じつつ、山田藤兵衛(高松英郎)の眼前で腹をかっさばいて果てた。

川にも捜索の手が伸びているため、川崎まで猛ダッシュしたらしい手負いのお頭。追手は間近に迫っていた。兄を逃がし、六之助と二人、切り死にを辞さない覚悟だった彼に蔵之助は、逃げるのはお前だと言い、六之助に「お頭のために死んでくれ」と刃を向けた。敬愛してやまないお頭の積年の悲願(=兄を陥れた藤堂藩への復讐)を想い、自らその刃で身を貫く六之助。子供の頃から可愛がってきた部下の殉死、そして兄の覚悟に涙しながら、お頭は隠し部屋へ。後に残った蔵之助は、なだれ込んできた火盗改めに自分が雲霧仁左衛門だと名乗り、両手を差し出すのだった――。

*ボンクラ息子の衝動殺人で段取りが狂うのまでは原作通りだが、「お頭が戦闘に参加」「割腹してのけるのが熊五郎でなく小頭」(そういえば谷隼人さんがいなかったなあ)「六之助は蔵之助に殺されたのではない」というあたりの演出が心憎い。特に六之助は、原作では雲霧の顔を知るが故に身代わりの兄上に問答無用で殺される、という最後までツイてない男だったが、ちゃんと泣ける見せ場をもらって男が上がっていた(良かったなあ、六)。

*「惨殺」というのは高瀬とお京のような気がするが…(タイトルは「惨殺!(したのは)雲霧一党」という意味なのか?)

*お千代姐さんが控えめな分、ボンクラの嫁が先週・今週とお色気要員。

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雲霧仁左衛門 #11
「恩は仇で返せるか?」(1979年・S54・9月11日OA)

越後屋を最後のつとめと定めた雲霧仁左衛門(今回は町人髷:天知茂)の命に従い、準備を着々と進めてゆく部下達。しかし、屋敷内から仕掛けを外すという大役を仰せつかっている富の市(荒井注)は、自分に全幅の信頼を寄せている越後屋主人の善右衛門(伊沢一郎)を騙すに忍びなく、おまけに善右衛門から検校の地位まで約束され、板挟み状態で悶える日々である。

そんな折、忠吉(立花正太郎)が火盗改めの密偵に感づかれ、盗人宿・桔梗屋で立ち往生。ピンチの彼を救ったのは、辻蔵之助(根上淳)と名乗った初老の浪人だった。実はお頭の実兄である蔵之助は、大事を前に弟を訪ねてきたのだ。ようやく遺恨の藤堂藩に一矢を報いる時がきた、と語り合う兄弟。彼らの悲願は、越後屋襲撃の成功にかかっている。

一方、面が割れているために大事な役目を任せてもらえないと悩んでいた六之助(江藤潤)は自ら片頬を焼き、その心意気に負けたらしいお頭から愛用のキセル(兄上とおそろい)を貰い受けて上機嫌だが、「あいつは六之助…!」と早速お京(宮下順子)にバレてしまい(火傷の意味ほとんど無し)、あろうことかキセルを掏られてしまった。上等のキセルの出所を調べさせた安部式部(田村高広)は、それがかつて藤堂藩にいた辻蔵之助という人物が購入した2点のうちの1点だと知る。

狭まる火盗改めの包囲網。お頭とお千代(大谷直子)は、以前名古屋で仕事の邪魔をした櫓の福右衛門(大前均)を地獄に送り、最後のつとめに向けて準備万端だが、果たして越後屋襲撃は成功するのか? 富の市はどちらの恩を仇で返すのか? すべては第三の男(=善右衛門のボンクラ息子)が鍵を握る!

*クライマックスに必要不可欠なお頭の兄上、初登場。お頭がどんどん派手になっている分、地味さが際立っていた。

*あんなタコ入道を絞め殺すとはたいした腕力ですお頭。

*六之助はちょっとはおとなしくなったかと思っていたが、やっぱりか

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ああ忠臣蔵 #20
「主税と女間者」(1969年・S44・8月16日OA)

身請けした浮橋太夫(久保菜穂子)が去り、人を恋することの苦しさを共に噛みしめていた大石内蔵助(山村聡)&主税(三田明)親子のもとへ、おぬい(土田早苗)が再び姿を見せた。会うたびにおぬいへの恋心が疼く主税は、彼女が小林平八郎(戸田晧久)から「大石下向の時期を探れ」との命を受けた間者だとは知る由もない。だがおぬいもまた、主税を心の底から愛するようになっていた。

そんな折、おぬいと同じ日に江戸を出たはずだが諸事情により遅れを取っていた(推定)毛利小平太(トメ位置:天知茂)が山科に到着した。月末には江戸へ向かうつもりだ、との心強い言葉を貰っただけで慌てて踵を返そうとする小平太だったが(女間者のことを知らせるつもりで上洛したのではなかったらしい)、ご城代にまで顔色の悪さを指摘され、大事な身体なのだからまあゆっくりしていけと引き止められた。

「どう思う?このような時に人が恋をするということを…」殉死と決まってから祝言を挙げたそちなら分かるのではないか、と主税が恋をしていることを小平太に打ち明けた内蔵助。父として、人間の愛というものがどういうものなのか主税に知らせてやりたいと言う内蔵助の親心に打たれた小平太は、主税の恋人に会ってみることにする。

毛利さんは赤穂藩一の美男子、城下中の女性たちが騒いだそうだから会わせたくなかったんですよ、大丈夫取りはしません、などと和やかに談笑しながら主税と小平太はおぬいと合流。しかし、二人を残して目つきの鋭い小間物売り(=吉良方間者の井上左源太:上杉高也)を追った小平太は、吉良の間者らしき人物がここにいることを不審に思い、ふとおぬいの耳の後ろの黒子を見てハッとなる。彼女こそが、#18で松原多仲と密談していた女間者――。彼の疑念は、おぬいを尾行して左源太の襲撃を受けたことで確信に変わる。

小平太からおぬいの正体を告げられ動揺する主税。最愛の彼女の始末を暗に迫られ「あなたはお艶さんを斬れますか!」と詰め寄る主税に、我ら凡庸の輩が二つを求めるのは夢だと諭す小平太。「我らの死に場所は決まっているのです。父上がこの場におられても、きっとそうおっしゃるでしょう。…主税殿、信じておりますぞ」

走り去った主税を不安気に見送った小平太は、庭先に佇んでいた内蔵助に驚いた。よくぞ主税を信じてくれた、身体をいとえよ、そう声をかけてくれた内蔵助の目が潤んでいることに感極まった小平太は、江戸への帰路についた。

斬ること叶わずおぬいを逃した主税はその場で切腹しかけるが、小平太の先の言葉が(低音ボイスで)頭を過ぎって断念。項垂れて戻った息子を、それで良いのだと内蔵助は慰めた。「小平太は、そなたにとっては唯の同志以上の男。粗末に思うでないぞ」――。

*そんなに大石親子に重宝されていいんですか小平太さん、な回。しかしこの設定がきっと討ち入りの土壇場で効いてくるんだろうなあ。ちなみに脚本の西沢裕子さんは、後にあの「兇悪のおかあさん」なども執筆されている。

*「信じておりますぞ」=おぬいを必ず斬れよ、なのかと最初は思ってしまったが、彼女を斬る・斬らないに関わらず、主税がその場の激情に任せて間違いを犯さぬよう「信じておりますぞ」だったのか、と分かってご城代同様涙目に。

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| TVドラマ(時代劇)::ああ忠臣蔵 | 12:43 AM | comments (x) | trackback (x) |
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