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非情のライセンス 第1シリーズ #6
#6「兇悪の目」(1973年・S48・5月10日OA)

海岸縁を走る男(小池朝雄)。追う会田(天知茂)。
響きわたる銃声。会田の肩口が赤く染まる。
「貴様たちに何が分かる!」
拳銃を手にした男の目には、歪んだ光景が広がっている。
戦車の下敷きになる妻。自分を捕らえ拷問しようと迫る秘密警察。
「畜生、殺してやる…!」
「やめろ!」
再び銃を向けられ、咄嗟に撃ち返す会田。
男の身体は大きくのけぞって――。

男の名前は沢井公平(名前は当て字)。報道カメラマンとしてベトナム戦争の悲惨さを目の当たりにし、自らも負傷して帰国してみると、妻は交通事故死、幼い娘は骨髄性白血病に侵され余命いくばくもなかった。度重なる不幸と戦争の後遺症で狂い始めていた沢井は、戦争犯罪人たちを告発しようとある計画を練る。まずは戦争成金の神崎(竜崎一郎)を脅し、奪った金を新宿のビルの屋上からばら撒く。そして民衆にその札はベトナム戦争の犠牲者のものだと知らせ、糾弾しようと。

しかし奪った金は新聞の束に替わっていた。せっかくの計画が頓挫したことで憤った沢井は、その元凶の刑事(=会田、だけじゃなくて現場には坂井や鈴木さんもいたんだが彼の目にはコワモテのトレンチ男しか目に入っていない)に憎悪を募らせる。

神崎社長と、彼を護衛していた特捜部の北村刑事(内田勝正)の車が崖から転落、運転手ともども命を失った。続いて同じくベトナム特需の社長の射殺体が発見された。狂気を増長させた沢井は、第3の男(=ナパーム弾製造会社社長)を葬るため、会田と親しい竜巻クリーニングの太郎(左とん平)の妹・順子(テレサ野田)を人質に取ると、病床の娘を連れて白浜へと赴く。

順子の機転で社長の別荘へ駆け付けた会田は沢井に対峙した。
――こいつは途方もない責任を、たった一人で背負い込んでしまったようだ……
狂人と化した沢井。しかし、戦争で人の命を弄び私腹を肥やした本当の狂人たちは、ぬくぬくと生を貪っているのだ。

(そして冒頭のシーンへ)
逡巡する会田に対し、狂気の度合を強める沢井。
そして、会田の銃弾で沢井は事切れた。
死期の迫った幼い娘が必死に父を呼ぶ声に胸を引き裂かれながら、会田はその場を後にした。
『あれは…あの戦争はいったい何だったのか!』
(沢井の叫びを噛みしめ、夕陽を見つめる会田で昭和ブルース1番)

*戦争に直接関わった者たち、そして何もしなかった者たちの責任を問いかける重いテーマに、小池さんの暴走演技が拍車をかけるシリアスな展開。ラストで会田のライターまで調子悪くなってしまうくらいの後味の悪さだ(ほんとか)。

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 11:48 PM | comments (x) | trackback (x) |
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