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『座頭市の歌が聞える』
『座頭市の歌が聞える』(1966年・S41)

「先生、お願いします」あまり多くなさそうな前金を受け取って旅姿の男(実はいかさま博打がばれて逃亡中)を斬り捨てた浪人・黒部玄八郎(天知茂)。瀕死の男をなぶりものにする連中には目もくれず、前から来た殺人オーラぷんぷんの座頭(勝新太郎)をも黙ってスルーした黒部は、とある町でようやくお蝶という名の女(小川真由美)を宿場の女郎屋で捜し当てた。

彼女の本名はおしの。飲み屋にいた頃に玄八郎と所帯を持ったらしいのだが、酒癖が悪かった彼の自堕落な暮らしが原因で、今は女郎に身を落とし宿場を転々としていた。その彼女を3年ものあいだ捜し続け、ようやく再会を果たした玄八郎はよりを戻そうと言うのだが、今のあんたには武士の心の欠片もない、と冷たく追い払われてしまった。

それでも諦めきれない玄八郎は、身請け金五十両の調達のために、最近町を牛耳り始めた板鼻の権造(佐藤慶)に自らを売り込む。権造が持ちかけたのは、ショバ代回収の邪魔をする居合いのあんま・座頭市を斬ることだった。さっそく斬りに向かう玄八郎。だが市と一緒にいた琵琶法師(浜村純)の音色に圧されてか、その場は立ち去る(仕込みではなく単なる杖しか持っていなくて内心びびっていた市もひと安心)。

その後ショバ代取り立てで再びひと悶着あり、人一倍敏感な聴覚を祭りの太鼓で撹乱するというクレバーな策を思いついた権造に苦戦するものの連中を蹴散らした市の前に、真打ち(=玄八郎)が現れた。お蝶との経緯を知っているだけになんとか穏便に済ませたそうな市に対しあくまで対決を望んだ結果、主役には勝てるはずもなく散って行った玄八郎。市は黙って、かつてお蝶から貰ったかんざしを骸の上に置いてやるのだった。

(それから権造一家で大暴れした市、ショバ代だけでなくお蝶の身請け金まで受け取ると、玄八郎からだと言って女郎屋に置いてきてエンド)。

*市っつぁんのやさぐれ度も円熟味を増している座頭市シリーズ13作目。冒頭から切れ味鋭い殺陣とクールな風貌をカラーで拝める眼福作品、なのだが、どうしても1作目の平手先生と比べてしまうのでちと分が悪い。前作のように市との友情を育む訳ではないくせに、そこはかとなく善い人的挙動が垣間見える(贔屓目?)せいなのか、“昔は相当ワルくて女房売り飛ばしちゃいました、いまじゃ金のために人斬ってます”な落ちぶれ浪人の殺伐さが消えてしまって、立ち位置が中途半端になっていた気がする。ラストの対決も、市のやる気の無さからすると避けようと思えば避けられた感じがするし、そして何がなんでも身請け金が欲しいんだ、という切羽詰まった必死さが表面に出ないので、たいしたカタルシスもなく終わってしまったような…でもまあカッコいいから許す(特にこの年代)。

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| 映画::大映with勝新太郎 | 11:43 PM | comments (x) | trackback (x) |
『駿河遊侠伝 賭場荒し』
『駿河遊侠伝 賭場荒し』(1964年・S39)

若くヤンチャで太っ腹な清水の次郎(後の次郎長大親分:勝新太郎)と弱気な相棒・髪常(大辻伺郎)が、イカサマ博打の腕を頼りに様々な親分衆のショバを渡り歩き、ひとかどの侠客に成長していく姿を描いたシリーズ第一作。

気ままに旅を続ける次郎だったが、気がかりなのは自分が放蕩しているうちに心無い義母らに売られてしまった初恋の人・おとき(藤村志保)の消息。どうやら“苦味走ったイイ男”に身請けされたらしいと知り心穏やかではない。

そんな折、次郎たちは恩義を受けた治助親分(山本礼三郎)から、弟分である三好村の吉左衛門(須賀不二男)の助っ人を頼まれた。吉左衛門夫妻の傲慢な態度に、どうもイケすかねえなあとぼやきつつ殴りこみに出向いたところ諍い相手は留守、出てきた女房はなんとおとき(藤村志保)だった。偶然の出会いに驚くふたり。今の主人はかけがえのないひとだと言うおときに、次郎は自分が来た目的を伝えられなかった。

翌日、そのまま帰路についた次郎たちは峠の茶屋で一服するなで肩の三度笠男を発見、彼こそが吉左衛門の敵でおときの亭主・岩村の七蔵(天知茂)であることを見抜く(やはりなで肩が決め手か?←おい)。彼らの襲撃を覚悟していた七蔵は静かに笠を取り向き合った。俺はこの道の先輩だから先にドスを抜くわけにはいかないと言う七蔵の善人オーラに気圧された次郎たちは彼を伴って治助親分の元へ戻り、悪いのは七蔵のシマに色気を出した吉左衛門だと知る。

次郎が仲裁役をかって出て、吉左衛門と七蔵の手打ちが無事に成立した。次郎と帰る道すがら、自分には過ぎた女房だとおときを褒め「いずれ足を洗って、百姓でもして静かに暮らすつもりなんだ」としんみり語る七蔵。だが手打ちが面白くない吉左衛門の子分達がわらわらとふたりに襲い掛かってきた。なんとか七蔵を逃がそうとする次郎だが、七蔵はここで逃げては男が廃るとばかりに奮戦。やはりさっきの台詞は死亡フラグだったのか!と緊張が走る中、再三の逃げろコールに応じる気になった七蔵は「次郎さん、それじゃあ」とすたこら退却。残された次郎はおときの幸せを願いながら、敵に突進してゆくのだった。

*死んで欲しくなかったとはいえ、あの状況で本当に逃げ出した七蔵さんには意表を突かれた。まあ、残すのが次郎長でカツシンさんだから大丈夫極まりないんだが。それに前年の『破れ傘長庵』の恨みはこれしきでは消えないというものである。

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| 映画::大映with勝新太郎 | 11:42 PM | comments (x) | trackback (x) |
『座頭市物語』
『座頭市物語』(1962年・S37)

京都文化博物館・映像ホール(映画美術監督内藤昭・追悼特集)にて、当時を懐かしむ年齢層に囲まれての鑑賞。

いつもDVDの“チャプター見”(平手さん集中)をしていたせいで通しで見るのは初めてだったのだが、飯岡・笹川の両親分、それに群がる子分達の外道なふるまいを知るにつけ(笹川の親分が病床の平手さんを訪ねたのは、わざと彼を決闘場へと誘い出すための魂胆があったからと知って今さらながら相当ムカついた)、市っつあんと平手さんの束の間の友情の清らかさが際立って胸が熱くなった。

ルックス的にも状況的にも実に絶妙な時期に平手さんを演じたのだなあと、改めて天っちゃんの薄幸の美人ぶりに感嘆。セリフ回しもギリギリOKだ。

*映像ホール横のギャラリーで、本編をいいとこどりしたダイジェスト映像が見られたのは眼福。
*同じくギャラリーに飾ってあった、口の端に血糊をつけて懐紙片手にこっちを向いてニヤリと笑っている未見のスチール写真(スナップ?)もやたらと眼福。

*原作(ノヴェライズ本)について

座頭市物語

子母澤寛の原作を元にした、映画の座頭市シリーズの第1作目~4作目までのノヴェライズ本。巻頭に第1作目の映画スチール(平手造酒=天知茂のスチールもちゃんと1枚有り←釣りのシーン)と、勝新さんの序文。

子母澤氏の原作自体はとても短く、平手造酒は座頭市と絡むこともなく「出入りで死亡」くらいしか書かれていないが、第1作目の脚本から書き下ろしたらしい「心友を斬る」は、映画の名場面を思い出しつつじっくり味わえた。

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| 映画::大映with勝新太郎 | 11:41 PM | comments (x) | trackback (x) |
『あぶく銭』
『あぶく銭』(1970年・S45)

“ヒゲ松”こと松五郎(勝新太郎)、“爺さま”こと万蔵(藤岡琢也)、“ガキ”こと三郎(酒井修)の悪名高き賭場荒らしトリオは、磯部組と橋本組がシマを張る町へとやってきて、早速ヤーさんの金をかっぱらうなどやりたい放題。

橋本組の若ボンがいじめられているのをたまたま救ったヒゲ松は、代貸・七蔵(高城丈二)の様子から、この組が磯部(成田三樹夫)へ返すための金を何者かに強奪されたことで窮地に陥っていることを知る。実はその金を奪ったのは自分たちであるため、良心の呵責を覚えてそのまま返そうとするのだが、肝心の金は、隠したはずの場所から綺麗さっぱり消えていた。

あわてて賭場で荒らしを試みるも、盗って来たのは札束ではなく領収書。安宿で不貞腐れる三人だが、女に目がないヒゲ松は女中のおしま(水野久美)にひとめ惚れ。病弱の幼い息子を抱えて働くおしまに果敢にアタックするのだが、彼女には忘れられない人(=息子の父親)がいた。

そんな中、食堂をふらりと訪れた着流しに白マフラーの(というより包帯っぽい白布をなびかせた)そのスジの客(天知茂)を見ておしまが声をあげた。「政吉さん…!」彼こそがおしまの想い人だったのだ。彼女に会って驚いた顔をしたものの、俺を追うなといったはずだ、女房にする気はねえ、そりゃほんとに俺の子か? などと実につれない政吉。しかし「だめよ政吉さん、そんな風にわざと言っても」とおしまに図星をつかれて「…おめえにゃかなわねえよ」とのろけモード満開になりかけるのだが、そこへ現われたヒゲ松を見て表情が変わる。

驚いたのはヒゲ松も同じ。この“さむらい政”はかつて彼らに賭場を荒らされメンツを潰されたのを根に持って執念深く自分を付け狙う天敵なのだ。ここで会ったが百年目とばかりにヒゲ松を海岸へ誘いこみ、ドスを抜く政吉。やられたふりをしてハジキを取り出したヒゲ松の前に、追いかけてきたおしまが立ちはだかり、両者はしぶしぶ引き分けた。

一方でなんとか橋本組に金を返したい三人は、磯部の賭場を荒らして金を根こそぎ奪い取り、札束入り鞄を橋本組の玄関に置く。帰宅した七蔵がその鞄を手に取った拍子に磯部組の連中が押しかけてきた。お前があの三人を使って金を奪ったんだろう!とあらぬ疑いをかけられた揚句に集団リンチにかけられ、七蔵はあえなく命を落とす。

さらに、轢死に見せかけようと線路に七蔵の死体を置いている現場を見てしまったおしまも襲われ、政吉の腕の中で犯人の名を告げて息を引き取ってしまった。彼女の亡骸を前にしばし無言のヒゲ松と政吉は、豪雨の中を磯部組へと乗り込み、大乱闘の末に仇を討つのだった。

ひょんなことから最初に奪った事の元凶の金も見つかり(←ヒゲ松なじみの芸者・蝶子:野川由美子がこっそりネコババしていた)、それを持って悠々と引きあげるヒゲ松に政吉は声をかける。「おめぇとの決着がまだ残ってるぜ」渋い顔できびすを返し、政吉の胸元に札束をねじ込むヒゲ松。「残ってるのは、おめぇの子供よ」 それは香典代わりだ、(決闘なら)いつでもヤルぜ。最後にキメて去ってゆくヒゲ松を、政吉は呆れたような、でもホッとしたような、なんとも複雑な表情で見送った…。

*えらく意味深だった白マフラー、ヒゲ松との決闘シーンでおもむろにばっと外してそれから影も形もなくなった。なんだったのか。

*かつて(=松竹下加茂時代)雨の中の撮影で肺炎を起こして生死の境をさまよった天っちゃんだが、20年も経つとすっかり肉も付いて(むしろ付きすぎの感があれど)モロ肌脱いでの立ち回りは見ごたえがあった。こういう乱闘では殺されやしまいかとハラハラするのだが(東映作品なら絶対死んでたと思う)、薄幸な役目をぜんぶ高城さんが担ってくれたおかげで事なきを得たようだ。

*豪雨の中ずぶぬれで歩くヒゲ松の後ろから、赤い番傘&雨よけ付きの下駄で歩く政吉。律儀(デリケート?)な感じがさむらいなのか。

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| 映画::大映with勝新太郎 | 11:39 PM | comments (x) | trackback (x) |
『破れ傘長庵』
『破れ傘長庵』(1963年・S38)

この映画の主人公・長蔵改めモグリ医者の長庵(勝新太郎)は、人間の持つどろどろと醜くヒネた部分を、めいっぱい泥臭く体現してくれる。

サンマを盗み食いしたネコを殺して肉を味噌汁に入れ、主人の娘を犯し、口止め料をせしめ、別の娘を騙して金だけ奪って逃げ・・・最初はデフォルメされたふてぶてしさが微笑ましくもあったが、好みの芸者を身受けする大店の主人憎さと、道端で見初めた人妻欲しさに、彼女の夫であるしがない傘張り浪人をワナに嵌める段になるとあまりの極悪ぶりに怒りがこみ上げた。

いかにも善人ぶって浪人宅に寄り、金を貸し与えたその足で、長庵は大店の主人を絞殺、財布を奪うと、浪人宅から持ち出した印籠を手に握らせるんである。番屋に連行された浪人の前で「家に寄った覚えも金を貸した覚えもない」と平然と証言し、処刑が決まり荒縄で括られ市中を引き回される浪人を見て、いかにも嬉しそうにヘラヘラと笑うんである。その浪人・藤掛道十郎役が天知茂なんである。これが怒らずにおれようか。また天っちゃんは不幸すぎる浪人役(軽く咳き込みながら傘張ってる様子なんてもう)が笑っちゃうほど似合ってるから余計にだ(←笑うのか)

ただ、悪い奴には悲惨な最期が待っていたのが救いといえば救いだった。そうでなくちゃ竹槍でグサグサ突かれて死んだ道十郎さん(*想像)が浮かばれないというものだ。

*道十郎の妻が藤村志保さん(『斬る』の薄幸カップル再びか)。支えあいながらつつましく生きていた夫婦の幸せが踏みにじられる様に涙

*ドロドロ気分(?)を助長してくれる音楽は鏑木創@美女シリーズ

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| 映画::大映with勝新太郎 | 11:38 PM | comments (x) | trackback (x) |
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