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非情のライセンス 第1シリーズ #30
#30「兇悪の青春」(1973年・S48・10月25日OA)

「天地(念のため、読み方は「てんち」)塾」塾長の悠木一心(南原宏治)から、腐った日本を変えるための要人暗殺指令を受けた三人の青少年たち。石油会社社長を刺殺しその場で捕まった勇(舟久保信之)が持っていた鹿島神宮のお守りを見て、若者の個人的な恨みや憎しみからではないと見抜いた会田(天知茂)は、お前はただの人殺しの顔じゃない、と年の功で勇から黒幕の存在を探り出そうとする。

そんな折、竜巻太郎(左とん平)が同じお守り入りの財布を持って特捜部へやってきた。町で偶然ぶつかった青年が落としていったらしい。同じく財布に入っていた電話番号からとあるクラブを太郎と訪れた会田は、(鹿島神宮は茨城県にあるので)“ミス茨城”を指名。やってきたホステスは青年の姉・弘子(中原早苗)だった。弟の哲夫(木下清)とは故郷を出て以来会っていないという弘子に嘘は無さそうだが、念のため坂井(宮口二朗)と鈴木(梅津栄)がアパートに張り込むことになった。

その哲夫は、ターゲットの滝(竜崎一郎)を襲うが一喝され失敗、逃亡の際に太郎にぶつかり、ラーメン屋で財布を無くしたことに初めて気づいていた。しかし偶然となりにいた圭子(佐野厚子)が代金を立て替えてくれたばかりか、文無しと分かると寝床まで提供してくれた。ペアのパジャマを買ったりすっかり同棲気取りの圭子だが、ウブで律儀な哲夫は1週間経っても手さえ触れない。

もう一人の仲間、三郎(渡辺主税)もまた彼女が出来、すっかり腰が引けていた。要人襲撃を諦めて彼女と暮らすという三郎に「お前の分も俺がやる」と揺らぎかけていた決意を新たにした三郎は、圭子の出刃を持ち出し家を出る。姉のアパートに転がり込んだ哲夫を追ってきた圭子に、弘子は辛辣な言葉を浴びせるものの、彼女の純心さに打たれるのだが、弟の決意は固かった。

哲夫がもう一度滝を襲撃しようとしたその時、なんと塾長の悠木が現れ凶器を没収。実は悠木は「アンタこの前死んだ社長みたいに命狙われてますよ、500万ポッキリで私がなんとかしましょう」と滝にかけあい、金をせしめていたのだ。そして「三郎の相手にもコレで手を打ったんだ」とわずかな枚数を哲夫に手渡す悠木。世直しなど真っ赤な嘘、純真な若者たちを利用しての悠木の金儲けを知ってしまった哲夫はショックを受け、「俺が命を懸けて殺すべき男はあんただ!」と悠木の刀で彼を滅多刺しにした。

塾長を殺した哲夫が向かった「終着駅」は圭子の元だった。「君が好きだ、大好きだったんだ!」初めて唇を合わせる二人の元へ、会田が姿を見せた。行かないでと止める圭子を制した会田は、哲夫が一人で俺の方へくれば自首したことになる、と玄関で待つ。自分の純粋さを信じてくれた会田の元へ、哲夫は足を踏み出した(泣き崩れる圭子、公害をまき散らす工場や海のヘドロが映って昭和ブルース1番)

*故郷を公害でめちゃくちゃにされた若者たちを食い物にした悪徳塾長。しかし、よしんば計画が成功したとしても、世界は何も変わらなかっただろうと思うと虚しさが漂う。

*会田の出番は今回も少なめで、あとは坂井&鈴木さんのみ。でもだからって太郎さんに尾行まで任せていいのか特捜部。

*塾長の写真を見た会田が一言「昔の憲兵の顔だな」、ってそれはお互い様

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 12:00 AM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第1シリーズ #29
#29「兇悪の甘い影」(1973年・S48・10月18日OA)

古物商射殺事件を目撃したという女文字の投書が特捜部に舞い込んだ。便箋が特定会社のものだったことから、主婦の中丸悦子(団令子)が浮上するが、彼女は投書には覚えがないと言う。電話に怯える悦子に、会田(天知茂)は彼女が既に犯人に脅迫されていることを見抜く。

会田の読み通り、悦子は射殺犯・西(勝部演之)から、喋れば家族を殺すと脅されていた。不審な電話や警察の訪問を、姑の昌江(原泉)や義理の妹の久美(西尾三枝子)に責められた悦子は、「この先口をつぐんだら、息子に本当の勇気を教えられない」との会田の言葉を思い出し、家族の前で事件のことを打ち明けるのだが、昌江らは、息子の謙二(小塙謙士)は先妻の子だからどうなってもいいんだろう、と警察へ協力するという悦子を詰る。

四方(葉山良二)と坂井(宮口二朗)が電話を逆探知するために中丸宅を訪問するが、夫の信一郎(本郷淳)の困り顔をみて愛が冷めそうな悦子。そこへどうやら家の近くで張っているらしい西から、余計な人間を返せと再び電話がある。

一方、会田は殺された小室(河合絃司)と関係のあった古美術商会の鳴海(野村明司)の元を訪れた。支配人室に隠れていた鳴海は、仏像の中にダイヤを仕込んでの密輸が小室にばれ、強請られたことが原因で刺客を放ったことを吐いたが、忍び込んだ西に殺されてしまう。これで西の犯行を知るものは、悦子一人になった。

中丸宅では、外へ出ようとした悦子が坂井と会田に見つかっていた。犯人と以前からの顔見知りではないのかと突かれた彼女は、何の権利があって家族を壊そうとするのかと激しく否定。だが会田の「過去を振り返って壊れるような家庭には、本当の幸せは無い」に打たれ、夫と知り合う前に西と関係があったことを告白、彼の住所を知らせた。

悦子が喋るわけはないとタカをくくっていた西は、アパートに坂井が来て驚いたものの、彼を撃ち逃走、雄三(久地明)という男と共謀して、中丸宅を張っていた鈴木(梅津栄)を昏倒させて家へ入り込んだ。中には四方がいたが、人質を取られて銃を捨てざるを得ない。絶体絶命の状況で、悦子は家族の前に立ちふさがり自らを銃口にさらした。

間一髪で会田が駆け付け、四方との連携プレーで無事に二人を逮捕。すべてが済んだ後、悦子は黙って出ていこうとするが、それまで懐かなかった謙二が「ママ、行っちゃいや!」と彼女に縋る。そして先刻の捨て身の行為で悦子の愛の深さを知った家族たちも、彼女を受け入れるのだった(昭和ブルースは2番&4番)

*いびられまくっていた悦子さん、非ライには珍しいことにまずまずのハッピーエンドを迎えて何より。

*今回も矢部さん的なまとめ役の会田が美味しい部分をかっさらう回だった。

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 11:59 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第1シリーズ #28
#28「兇悪の欲望」(1973年・S48・10月11日OA)

娘が殺されるかもしれない――。
会田(天知茂)は、病床の根岸仙助(高杉哲平)から娘の優子(岩本多代)の保護を依頼された。婿養子の始(戸浦六宏)は仙助が専務を務める石油会社の部長で、秘書の牧村紀子(珠めぐみ)と関係を持っていた。

その頃、妻とは冷めていながらも煮え切らない始に失望してか、クラブのママ・美江子(原知佐子)の元で酔いつぶれた紀子は、彼女から優子がいかに冷酷な女かを吹きこまれる。かつて、優子が運転していたモーターボートで息子の一郎が事故に遭い、片足が不自由になったという美江子は、「相手は人間じゃないの。けだものよ」と優子を痛烈批判。最近妙な男たちに付きまとわれ、優子の関与を疑い始めた紀子は、美江子の助言通り、殺し屋を雇って優子を消すことを決心した。

優子の静養先、油壺のヨットハーバーで殺し屋と落ち合い、優子をボートにおびき寄せる紀子と美江子。紀子に付きまとう男たちが特捜部の四方(葉山良二)や坂井(宮口二朗)であること、美江子が雇った殺し屋も坂井にすり替わっていることが分かっている我々視聴者は、殺し屋が手を下す前に紀子が優子を刺殺してしまいビックリするのだが、“殺し屋”坂井はさして驚きもせず、死体をロープで縛り海へ投げ捨てた。

翌日、紀子が出社すると始が鈴木刑事(梅津栄)の訪問を受けていた。紀子のアリバイ工作をしてやった始は心置きなく紀子といちゃいちゃ、のはずが、突如現れる優子の亡霊。おびえた紀子は始を避け始めたため、実は美江子ともデキていた始は彼女を家に呼び寄せていちゃいちゃするが、再びハープの音色と共に優子の亡霊が出現。おまけに刑事(=四方)が、遺体が見つかったと報告に来た。

始と美江子は、紀子の始末をつけてしまおうと彼女を廃工場へと呼び出した。しかし盗聴により事情を知った特捜部が駆け付け、始たちは逮捕される。そこへ生きていた優子が姿を見せた。すべての元凶は、舅の病気により出世が見込めなくなった始がライバル会社への移籍に欲を出し、しがらみを断つために美江子と共謀して優子を亡き者にせんと画策したことにあった。ところが道具として選ばれた秘書の紀子は、優子の異母姉妹だったのだ。

ボートで事故に遭った一郎は優子の子供で、加害者は美江子だった事実も判明。パパを呼ぶ子供の声を背に護送される始。
――巨大な企業間の欲望の渦巻の前には、個人の欲望などひとたまりもなく押しつぶされる。
そして残るのは、無残に破壊されて不幸せの海に沈んでゆく、家庭という名の小さな船だ――。

(「だが俺は、その背後でゆったりした椅子に座っている野郎を許すことはできない」としてライバル会社に捜査のメスが入ったことが示されつつ昭和ブルースは4番)

*秘書とクラブのママが共謀して妻をどうにかする話、に見せかけてクライマックスでどんでん返しがあるのだが、秘書の言動(尾行を怖がったり、亡霊に気絶したり)が真に迫っているので、とってつけたような真相に多少の違和感が。姉を救うための演技とはいえ、本当は始を愛していたかもしれない女心の複雑さ、だと思えばいいのか。

*ラストはきちっと締めてくれた会田だが、矢部さんポジションにいるためか出番が少ないのが残念(9月いっぱいやっていた舞台のせい?)

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 11:58 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第1シリーズ #27
#27「兇悪な愛の終り」(1973年・S48・10月4日OA)

岡村千恵(市原悦子)は会長秘書。お手伝いさんに子供たちの世話を任せ、同じ会社に勤める夫・信吉(高津住男)が満員電車に揺られている一方、ベンツの送迎で出勤する彼女をしばし尾行中(当然バレていた)の会田(天知茂)は、ある日彼女をホテルの一室に呼んだ。警察上層部や司法大臣などにも顔が利く会長・大滝和三郎(山形勲)の総裁選挙不正融資の件で証言を得ようとのことだったが、落とす前に会社の榊(川合伸旺)たちに奪い返されてしまう。

千恵は大滝会長の鎌倉の別邸でしばらく身を潜めることになったが、その夜信吉が押しかけ、子供のためにも妻に会社を辞めさせたいと会長に直談判。すべてを知る千恵を手放すわけにはいかない大滝は、こんな男とは別れてしまえと言い放つ。お前はクビだと言われカッとなった信吉は、衝動的に大滝を絞殺してしまった。

ところが千恵は、夫が犯人になるならすべてをぶちまけると、榊たちに会長の死を病死とするように指示。別邸前で張っていた会田と坂井(宮口二朗)は、深夜の車の群れに不審を抱いて中へ押し入り、遺体の首の絞め後を発見して電話で応援を頼んだものの、鎌倉署だけでなく神奈川県警の捜査一課も動こうとはしなかった。

かくなる上は本庁へ、と坂井を残して特捜部に戻った会田だが、既に上層部にストップが。捜査一課の橘(渡辺文雄)が変死体の鑑識の権威である大学教授を呼び寄せ協力してくれるが、パトカーで急行したときには一足遅く、遺体は火葬場で骨になっていた。「お骨になってまで監視されたら会長も浮かばれませんわ」そう言い放つ千恵を前に、会田は拳を握りしめるしかない。

他殺の証拠は消え、千恵は主婦業に専念。だが信吉は良心の呵責に苦しむ毎日を送っており、そこを突いた会田は一日中彼に付きまとう(満員電車は除く)。暴走車に轢かれかけたのをきっかけに、会田にすべて語る決心をした信吉。翌朝、家を訪れた会田に、千恵は「覚悟してたわ」と車に乗り込んだ(車中で煙草を咥えたものの、会田のライターを拒んで口元から離す千恵。すべてぶちまけるわ、と言った彼女のセリフがリフレインして昭和ブルース4番終了)

*いつもは反目しあってる橘さんが会田をナイスフォロー。「負けんなよ」と言われたときの会田の嬉しそうな顔といったらなかった。

*線香の匂いを真っ先に嗅ぎ付けるなど活躍した坂井刑事、会社の連中にボコ殴られてある意味活躍。

*自分ちは危ないからといって、新婚ほやほやの竜巻ランドリーで信吉の話を聞くのはどうなのか会田。

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非情のライセンス 第1シリーズ #26
#26「兇悪の番外地」(1973年・S48・9月27日OA)

網走から出所したばかりの着流しやくざが警視庁にやってきた。名前は渋谷八郎(水原弘)、五年前に当時四課にいた会田(天知茂)があげた男である。すわお礼参りか?と色めき立つ周囲(とBGM)をよそに、二人は和気藹々とディスコで踊ったりおでん屋で「昭和ブルース」歌って飲んだり、親友のように再会を喜び合う。

金を貰うのも借りるのも嫌だという八郎は、ネタを買ってくれと会田に持ちかけた。大規模な賭場や武器密売などの情報を持ち込む八郎に、会田は“取材費”を渡しては領収書を矢部(山村聡)に回す。ただ、かつての愛人が若いツバメと一緒になったと知っても、結局慰謝料も取らずに彼らを許した八郎には、さほど金への執着はなさそうだった。

そんなある日、若い男たちに襲われていた眉子(菊容子)を助けた八郎は、彼女の豪邸に連れて行かれ、娘の無事より外聞を重んずる父親の大曽根(中条静夫)の尊大な態度を前に、自ら彫り物を晒して去る。ところが両親の振る舞いに激怒した眉子は家出、八郎のアパートに転がり込んだ。一方、娘が誘拐されたと警察に連絡した大曽根に会った会田は、犯人が八郎らしいと知り驚いて彼のアパートへ向かったのはいいが、眉子を帰らせるために八郎の兄貴分に扮して一芝居打つ羽目に。会田の新東宝仕込みの強姦魔ぶりとなすがままの八郎にすっかり嫌気がさした眉子は家に戻っていった。

その頃、解散した組の弟分で今は社長に収まっている万藤(北町嘉郎)が、八郎に接触。八郎はサツの情報屋ではないかと疑われ(実際その通りだが)、身の証を立てたいのなら会田をバラせと持ちかけられる。ドスで襲って失敗したら援護してくれと、ハジキで武装した万藤たちを待機させて会田を裏道に誘い込む八郎だったが、バラす気は毛頭なし。会田もまたあうんの呼吸で一味を逮捕した。

ところがただ一人逃走したチンピラの金次(山田喜芳)の手にかかり、八郎はパチンコ屋であえない最期を遂げるのだった(昭和ブルースは1番)

*「黒い花びら」「君こそわが命」(「忍びのテーマ」も好きだったなあ)の水原弘さんがゲスト出演。大変嬉しそうに忠犬ハチ公を演じていた。特に会田との臭すぎるやくざ芝居は出色。

*タイトルを「次回、異色のライセンス」と紹介した予告編では、サラシを巻いたいかにもなやくざスタイルの会田だったが、サラシが無くても十分に兇悪だった(いろいろと)。

*同じく予告編で二人で芸者遊びしてるシーンはカットされた模様(というか、素で宴会してたのか?)

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 11:57 PM | comments (x) | trackback (x) |
非情のライセンス 第1シリーズ #25
#25「兇悪の書斎」(1973年・S48・9月20日OA)

倒産危機の真珠会社社長の宇野(浅野進治郎)が金融会社で猟銃を乱射、社長の潮田(東大二郎)を撃ってその場で自殺した。期限前に手形を流させるなどして会社乗っ取りを背後で画策したのが、矢部警視の死んだ友人の息子で弁護士の真谷(しんたに)吾郎(津川雅彦)だとみる会田(天知茂)は、罪を暴いて弁護士の資格を剥奪してやると本人に宣戦布告。

だが宇野未亡人は自ら真谷に持ちかけ株を処分しており、真谷は尻尾を掴ませない。宇野の息子・圭一(竜村直樹)は暴行事件を起こし2年前に家出、その被害者側の代理として真谷が関与していたことから、会田は真谷の法律事務所に忍び込み、その事件から調べなおす(が、尾行ともども真谷にもろバレ←ワザと証拠を残してたそうだが)。

圭一は茨城県の精神病院にいることが判明したが、暴行した女の幻覚を見て沼で溺死していた。会田は真谷家を訪ね、夫人の陽子(長内美那子)に宇野の息子の件を話す。暴行事件の被害者とは、陽子のことではないのか――。会田の読み通り、動揺する陽子。彼女が圭一に襲われるところを目撃していた真谷は、「女は自殺した」と嘘を言って圭一を家出させ、時折陽子の姿を見せることで彼を発狂に導いていたのだ。圭一が死んだ今、そのからくりを知るのは陽子一人。次に消されるのは陽子だと忠告する会田だが、真谷の母・さかえ(北原文枝)の妨害に遭い、陽子は真谷の電話に誘われて外出してしまう。

真谷は事務所のガス管を開き、室内にわざと置いた車のキーを陽子に取りに来させる電話をかけた上で自分はアリバイ作りのために帰宅。会田の糾弾に「私は法を犯してはいない」とうそぶく真谷は、母親をも「(親子の関係は)読み捨てた本と同じで、何の役にも立っちゃいないんだ」と切り捨てた。ショックを受けたさかえは会田と真谷がいる書斎の防火用扉を閉じ、仏壇に遺書を置いて毒薬入りのコップに手を伸ばす。おふくろに詫びろと真谷をボコ殴る会田だが、密室から出ることは不可能かと思われたとき、駆け付けた矢部(山村聡)がさかえを止めてくれたおかげで事なきを得た。

密室で母から受けたスパルタ教育がトラウマになっている真谷は、自分が自殺を強要したわけではない、母が勝手にやったことだと冷たい態度を崩さない。そこへ、幸いにも無事だった陽子(何の罪もない水道工事の2名がガス爆発に巻き込まれてはいる)が坂井(宮口二朗)に伴われて帰宅、「あなたは人の愛を信じられない可哀想な人です」と涙ながらに夫を迫る。それでも「妻の夫に対する不利益な証言は無効である」という法律を持ち出し、最後までふてぶてしい態度のまま、真谷は矢部の手錠を受けるのだった。

――法律を武器にしてきた男は、やがてその法律によって裁かれるだろう。
あの男の言うように、法律とは確かに、扱うものによっては恐ろしい武器になる。
そしてその壁には、人の愛のかけらさえ見当たらない。
俺は今更ながら、そんな法律の中に生きていることが、うんざりするほど嫌になっている。
……だが、俺はまた、明日も、俺の信ずる法律のために、命を懸ける。

(仏壇に手を合わせる矢部さん、泣くおふくろさん、気持ちが変わるまで義母と共に真谷を待つという陽子夫人、そして会田の渋い独白のバックに昭和ブルース4番)

*津川さん扮する人間失格エリート弁護士、夜泣きの半次@『女賭博師 花の切り札』に匹敵する嫌味っぷりがかえって潔い。

*いくらはみだし刑事だからってピッキングで不法侵入はいかんだろう、会田。

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非情のライセンス 第1シリーズ #24
#24「兇悪の回路」(1973年・S48・9月13日OA)

――“ボンバー”が生きていた。
「キャリオカ」のママ・河村志津(村松英子)の付き合いで着物の新作発表会場にいた会田(天知茂)は、矢部警視(山村聡)からの電話に驚いた。
1年半前、あさま山荘6人目の男として浮上したその人物を追い、クラブ「るーかす」のママ・佳子(白石奈緒美)が女に化けた本人であると断定した瞬間、鉄パイプ爆弾を取り出し自爆したはずのボンバー。彼(女)はボンバーではなかったのだ。

「ボンバーは都内に潜入している」と言い残し、鉄パイプ爆弾の巻き添えで刑事が死亡した。どうやらボンバーは同志たちに、逮捕に来た刑事を道連れに自爆しろ、と命じているらしい。会田は喉を傷めて引退したという「るーかす」のトランペット奏者・根岸(地井武夫)を訪ね、当時のバーテン・滝本(広田正光)の居場所を聞く。田舎に籠った滝本は崖の上でいきなり会田に襲いかかり、弾みで落下して魔法瓶に仕込んであった爆弾で死亡。果たして彼がボンバーだったのか?

非番で再び志津とデート中、ジャズ喫茶のマスター・時岡(江幡高志)から「シカゴで根岸そっくりのペット奏者を見た」と聞かされた会田は、根岸の2人1役に気づく。ボンバーの肉声テープのバックに流れていたトランペット、それは根岸ではなく、彼の双子の兄弟の演奏だったのだ。

根岸=ボンバーを今度こそ確信した会田は彼のアパートへ出向き、トランペットを持って出てきた同志の京子(土井かつえ)を問い詰めるが、彼女は舌を噛み切り自殺。トランペットには爆弾が仕込まれていた。「自ら信ずるもののために、かくも見事に死んでいける人間がいたという事実に、私はたわいもなく感動させられてしまっているんですよ…」会田は、ボンバーが指導者として恥じない見事な自爆を遂げるなら、甘んじて道連れになると矢部に告げる。

矢部の心配り(「キャリオカ」での特別上等なディナー)を受け、翌朝、矢部や警官隊の見守る中、単身ボンバーのアパートへ乗り込む会田。

――おそらくボンバーは逮捕される瞬間、自爆するだろう。俺を道連れにして。
なのに俺は、むしろそれを望んでいる。
所詮俺は、死に場所を求めて生きてきた男なんだ。


「同じことなら、大勢の前で道連れにしてやる」そう言って外に出たボンバーだが、さあ殺せとばかりに無言で詰め寄る会田の迫力に気圧されたのか、爆弾トランペットを放り出して逃走。足を撃たれ「待て、撃つな、撃たないでくれ!」と泣き喚くボンバーの情けない様子に、恰好の死に場所を台無しにされて目が殺気立っている会田の銃を持つ手に力がこもる。しかし間一髪で矢部の止めが入った。それでも気持ちが収まらない会田の飛び蹴りやボコ殴りを受けたボンバーは、這いながら愛器に近づき、一人で自爆するのだった。
(目が虚ろな会田の肩にぐっと手を置いて励ます矢部さんのバックに昭和ブルース1番)

*「見くびって油断するなよ」「それは私に対するご忠告でしょうか、命を大切にしろという」「馬鹿、大事に使えばまだまだ当分はこきつかえると思ってるからだよ」だの、「カッコいいこと(前述の道連れ上等発言)言って。もうそろそろ俺にこきつかわれるのが厭になったんだろう」「もちろん。それが一番の理由ですよ」「この野郎!(笑い)」だの、「もっと怒鳴ってくださいよ。地獄へ行ってしまったら、そういう優しい声は、もう到底聞けないでしょうからね」「憎まれ口を叩きやがって。おめおめ生き残ったりしたら、ただじゃおかないからな」だの、会田と矢部さんの互いを思い遣りながらの大人のやり取りが印象的。しかし矢部さん、非番時でさえ居場所を把握してるとは、ほんとに会田が好きなんだな!

*クラブ「るーかす」で会田が接触したホステス・千草役に天地総子さん。「ベベ(=ブリジッド・バルドー)の足にも触ったことあるんだけど、君の足はそれ以上だな」「声だけはまるでヘップバーンみたいって言われるの」など、アマチつながりで軽妙トークを展開していた。

*伊村刑事(滝波錦司)という地味な同僚(?)が地味に登場。

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非情のライセンス 第1シリーズ #23
#23「兇悪のシャンソン」(1973年・S48・9月6日OA)

坂井刑事(宮口二朗)と共に一課の応援にいやいや出向く途中、会田(天知茂)は前方の車から投げ出された女性(長谷川稀世)を救助、ショックで記憶を失った彼女を引き取ることになった。会田宅の絵画(ムンクの「春」)に興味を示し、フランス語が読めた彼女が口ずさんだ歌が、竜巻太郎(左とん平)が前の夜にクラブで聞いてきた“今パリで流行っている日本の歌”と同じだったことから、会田はそのクラブ「シャンソン」に出向く。

クラブで妖しく歌っていたのはサリー丸山(特別出演:美輪明宏)。冒頭から件の彼女をずっとマークしており、会田のマンションに彼女を狙った銃弾が撃ち込まれた際にもさりげなく現れたハンチングの妖しいオーラの青年に良く似ている(というか同一人物)。

いまだ記憶が戻らない女性は、自分が組織の人間で犯罪を手を染めているのではないか、それで会田に迷惑がかかる(嫌われる)のではないかとの恐れから、医師が勧めるショック療法に消極的だった。「あたしがどんなに酷い女だったとしても、怒らないで下さいますか…?」不安気な彼女に会田は、誰でも忘れたい過去はあるが、忘れる代わりにわざと思い出すようにしている、今日一日を精一杯生きるためにと励まし、ショック療法を受けることを決意させた。

一方、坂井がサリーから手渡されたライターは、偽作の疑いで捜索されたフランスの画廊のものと判明。その画商・吉谷(植田灯孝)はクラブ「シャンソン」のオーナーだった。そして記憶を完全に取り戻した女性・外川恵美は、自分がパリで絵を学んでおり、勉強のための模写が贋作に使われていると知って帰国したのだと会田に告白した。贋作売買がばれるのを恐れた吉谷が、クラブの支配人・丸岡(五味竜太郎)とその手下A・B・C(山口暁・桐島好夫・畠山麦)を使って恵美を消そうとしたのだ。

実はICPOのはぐれ刑事(本名・丸山明男←名は当て字)だったサリーの活躍もあって一味は無事逮捕。別れを悲しがる恵美を「あんたとおれは住む世界が違う」と宥めた会田は、サリーと共に証言のためパリへ発つ(そしておそらく二度と戻ってこないであろう)彼女を空港で見送るのだった。
(昭和ブルースは4番)

*特別出演の美輪さんは衣装も特別(協力:君島一郎オート・クチュール)。ドレス姿は見慣れているせいか、男の恰好が印象的だった。

*坂井さんは読めないけど原書での画集の蒐集が趣味らしい。

*恵美がフランス語を解せることに驚いていた会田だが、ライターの件をフランス語で現地に問い合わせていた会田にこそ驚いた。

*ライダーマンになる前の山口さんとキレンジャーになる前の麦さんが会田たちにどつかれてるのはちと複雑。

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非情のライセンス 第1シリーズ #22
#22「兇悪の芽」(1973年・S48・8月30日OA)

逃亡を続ける金庫破りの四人組。会田(天知茂)はその中の一人、清水信治(佐々木剛)の恋人をマークする。信治は野中妙子(夏純子)に会うためだけに鑑別所を逃走した過去があり、今回も必ず接触を図ると踏んだのだ。

そのうち四人組は仲間割れして阿野(高品正弘)が死亡、信治が金を持ち逃げしたとの報せが入った。残りの二人の魔手が妙子にも迫っていることを警告する会田だが、社長令嬢で家出中という経歴を持つ“いまどきの女の子”の妙子は、おっさん(=会田)の言うことなどまるで聞こうとしない。信ちゃんに殺された人(襲われた警備員)は運が悪かった、大人たちが悪いんであって信ちゃんは悪くない! 悪びれずそう言い放つ妙子を「殺された人の遺族のことを考えたことがあるのか!」と会田は一喝した。

信治が牛乳配達に化けて妙子のアパートを訪ねた姿を、鈴木刑事(梅津栄)が目撃した。彼が遺したメモの内容について頑なに口を閉ざす妙子の部屋に泊まりこむ会田。朝こっそり出かけようとした妙子は会田に気づかれ、好きなようにしてとおもむろに服を脱ぎだした。信ちゃんが鑑別所を出たら好きなことをやって、そして二人で死のうと約束していた、誰にも迷惑かけないから見逃してと足に縋って泣く妙子。
「君たちには、火花を散らして一気に燃え尽きても悔いのない青春がある。だから…だから、許すわけにはいかない」
夢も希望も持てない世の中でも、その気持ちだけはいつまでも持ち続けろと諭す会田だが、やってきた仲間割れの二人組を鈴木と追ううちに妙子の姿は消えた。

だが会田には妙子の行き先が分かっていた。会田が付き合った際「二人でデートしたことがある」と彼女が呟いた遊園地(後楽園)の観覧車――果たして信治は現れた。妙子の家の運転手の息子で、彼女のためになさぬ仲の義母を刺したこともある彼は、今回も彼女との約束のために金を盗み、阿野が持ち逃げしようとしたので殺したのだと妙子に打ち明けた。観覧車の上で北海道へ行って散財する夢を語り合う二人。束の間の夢を見せてやった会田が降車後の二人に近づくが、彼らはさらにジェットコースターに飛び乗った。
――お願い刑事さん、信ちゃんを見逃して!
(無駄なあがきと知りながら絶叫する妙子に被って昭和ブルースは1番)

*実に味のあるセリフを放つほか、たこ焼きを買って張り込む会田、とか観覧車やコーヒーカップで回る会田、とか満員の園内で疾走する会田、とか見どころ(?)多し。こんなロケ見られていいなあ後楽園のちびっこたち。しかも逃げてるのは一文字隼人だ!

*見どころ、といえば夏さんの盲腸らしき傷跡がリアル(凝視してすみません)

*鈴木さんはドンチャックの中の人になって活躍。

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非情のライセンス 第1シリーズ #21
#21「兇悪のメロディー」(1973年・S48・8月23日OA)

会田(天知茂)が尾行中だった、汚職容疑の一流商社の部長代理・佐田(永谷悟一)が自宅マンションのエレベーター内で刺殺された。一課にヤマをさらわれて面白くない会田だが、ちょうど犯人と鉢合わせたクラブのピアニスト・矢島伸子(佐藤友美)の証言により前科者の川辺昭雄(山下洵一郎)がスピード逮捕。事件は解決したかに見えたが、後日伸子が目撃証言を撤回、振り出しに戻ってしまう。

会田や橘(渡辺文雄)の読み通り、黒幕に脅されている伸子は身代わりでOLが刺されたことで余計に口を閉ざす。あくまで彼女から真実を引き出したい橘に対し、会田は川辺の釈放を要求。態度とは裏腹に会田に非常に甘い矢部が、捜査一課長(岡田英次)に自腹でフルコースをふるまってくれたおかげで川辺は釈放されることになった。

川辺を尾行して案の定すぐばれた会田だが、自宅マンションに連れ込みよろしくやっている(=張り倒している)最中、伸子からSOS電話が。その人を逃がしてくれという頼みを承知せざるを得なかったものの、伸子は自宅で無事、川辺は何も吐かぬまま殺されてしまう。

容疑者に死なれた橘は怒り心頭。責任を感じ辞表を提出する会田だが、矢部は「こんなものは特捜部には通用せん!」と破り捨て、自ら一課へ「部下のエラーは私の責任」と挨拶に出向く。その愛に打たれた(かどうかは不明だが)会田は再び伸子に接触、フランス留学が決まったと晴れやかにピアノに向かう伸子に、金を出したのは事件の黒幕だと詰め寄った。

これまでも身体で代償を支払ってきたという彼女は本性を現したように色仕掛けで迫ってくる。
「あたし、なんにも悪いことしてないのに」
うそぶく伸子に、あんたは殺しの黒幕と承知で金で買われた、汚いチャンスを自分で選んだんだと会田は一喝した。

会田に連れられて伸子は出頭。手柄を一課に譲った形だが、真摯に証言する彼女の姿に満足げな会田だった(昭和ブルースは4番)

*部長の会田愛が感じられる一作。本人の前では鷹揚に構えながら、陰でなにかと尽力している様子がたまりません部長。

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