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『陽気な殿様』
『陽気な殿様』(1962年・S37)

名の知れた剣の使い手でありながら、介錯した男の顔が苦痛に満ちていたせいで「生まれたときが悪いのか、それともオレが悪いのか」(違)と己の腕に疑念を抱き、納得いく死に顔に出会えるまで人を斬りまくらずにはおれないという、かなりイッてる素浪人・挙手田(=こてだ)多門(天知茂)。だが自分と同格、あるいは強そうな相手と見るや剣を収めてさっさと通りすぎるあたり、まるっきりの狂人ではないようだ。

国許目指して漫遊中の若殿・隼之介(市川雷蔵)と道中すれ違い、相手の腕を見抜くとあっさり引き下がった多門だが、なぜかストーカーを始めたくなったらしく、隼之介君の行く先々で突如顔を見せ、斬らなくて良い連中を「ここは俺にまかせろ!」と誰も頼んでないのにガシガシ斬って捨てる迷惑千万な行為にはしる。

それもひとつの原因で松平長七郎(宇津井健)の誤解を被り、隼之介は小柄使いの刺客・角右衛門と闘わねばならない羽目に陥る。隼之介に対峙した自信満々の角衛門だが、いきなり呻いて絶命。ススキ野原から現われたのはまたしても多門だった。なんだコイツ、苦しそうな顔も幸せそうな顔もしとらんなーとその場の空気なぞ気にもせず自分の世界に浸っているうちに、とうとうキレた隼之介に決闘を挑まれ、あえなく地に伏し一巻の終わり。どこまでも陽気で軽い作品にシュールな深刻さを振りまき、逆に笑いを誘ってくれた天っちゃんだった。

*原作について
映画ではストーカーじみた狂気の人・挙手田(=こてだ)多門だが、原作では主人公・隼之介君の元・剣術指南の二刀流使い。人斬りオタクな彼をなんとか落ち着かせようと隼之介君が嫁を世話するくだりがあったり(愛する嫁を斬れば狂気が収まるだろう、という鬼畜な理由だが)、多門が隼之介君に忠義を尽くす場面が何度もあったり、得体は知れないがなかなか味のある人物として描かれていた。

映画ほど殿様(=隼之介)や周囲が陽気ではなく、主だった人物がバタバタ死んでいくシリアスな展開。それ故か、多門の存在が大きなウエイトを占めていて読み甲斐があった。が、文章のキレが重いというか、次の行で全く違う話から遠まわしに入っていくような(そういうしているうちにまた違う展開になっていたりもして)まどろっこしい書き方で細切れ時間に読むのは少々ホネだった。

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| 映画::大映with市川雷蔵 | 11:55 PM | comments (x) | trackback (x) |
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