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怪談シリーズ #1
「四谷怪談」(1972年・S47・7月21日OA)

浪人だがこざっぱりした色男・民谷伊右衛門(天知茂)は、友人の秋山長兵衛(戸浦六宏)の勧めで伊藤家のお梅(吉岡ゆり)と対面する。食事も喉を通らぬほど伊右衛門に恋い焦がれているお梅のために、乳母のお槇(高森和子)が長兵衛と図ったのだ。

按摩の宅悦(殿山泰司)の口添えで雇った小者の小平(北町嘉朗)は民谷家伝来の印籠をちょろまかすわ、男の子を産んだ妻のお岩(円山理映子)は産後の肥立ちが悪いわ赤ん坊は泣きわめくわ、おまけに借金取りの茂助(鮎川浩)は金を催促しに来るわで、伊右衛門の不快指数は上昇の一途。と、そこへ現れたお槇が金を用立ててくれたばかりか、お岩に伊藤家伝来の秘薬まで持ってきてくれた。この“秘薬”がまさか物騒なシロモノだとは全く知らない伊右衛門は丁寧に礼を述べ、お岩も「伊藤様のお宅へお礼に行ってねアナタ」と夫を快く送り出す。

ところが長兵衛と共に伊藤宅に向かうと、お梅の父・喜兵衛(見明凡太朗)が「どうか娘を貰ってはくれまいか」と切り出すではないか。願ってもない話とはいえ、妻子ある身故さすがにそれは…と固辞する伊右衛門だったが、さっきのあの薬は奥方の容貌を変えちゃう毒だから、これを機に追い出してしまえと唆されたうえ、お梅が失恋ショックで自害しかけたこともあって、自分と長兵衛の仕官を条件に、つい承諾してしまう。

帰宅すると、お岩の顔は無残に崩れ始めていた。一瞬驚いたものの、すぐに冷酷な表情になり「金が要る」とお岩の着物をくるくる剥ぎ、蚊帳と一緒に質屋へ持って行く伊右衛門。そしてその後入ってきた宅悦に事の真相を知らされてお岩は逆上、柱に刺さった刀ではずみで喉を切ってしまい、「恨めしや伊右衛門どの〜」と呪詛を吐いて事切れた。まもなく帰ってきた伊右衛門は、お岩の死にびっくりするが、これ幸いとばかりに、(納戸へ縛っておいた)小平を斬り捨て、不義密通の事実をでっち上げて戸板にくくりつけるのだった。

そして祝言の夜、お岩&小平の活躍(?)で伊藤家の面々は伊右衛門の手に掛かり皆殺し。赤ん坊の声が耳について離れない伊右衛門は悪夢に苛まれ、浄念(明石潮)の寺に駆け込んだ。浄念は、宅悦が連れて逃げた伊右衛門の子が寺にいることを告げ、子供に会いたいという彼の願いを却下、お前はもう死んだのだ、かくなるうえは頭を丸めて菩提を弔えと、庭の真ん中にどーんと置いてある「俗名 民谷伊右衛門」と記された墓を指さす。

だが、そんな都合の良い展開は許さないわよッ!と再び現れたお岩の亡霊を追い払っている内に、役人を引き連れた長兵衛が寺にやってくる。狂乱の内に長兵衛と相討ちになり、自分の墓の前で伊右衛門は絶命した。「お岩…許せ…」と呟きながら。

*脚本は宮川一郎さん、監督は山田達雄さん(新東宝な方々)。「伊右衛門は薬の中身を知らなかった」「致死性の毒ではなかったが、お岩さんは自分で死んだ」など、鶴屋南北の原作に沿ったつくりになっているのだが、中川信夫監督のあの傑作と比べてしまうと少々物足りなさを感じてしまった。伊右衛門がどっしり構えすぎていて(←いろんな意味でどっしり)、お岩さんへの罪の意識などが希薄だったように思う。ただ、崩れ顔のお岩さんを初めて見るシーン、あっと驚いた後にだんだんクールな三白眼になっていく表情の変化は、色悪の面目躍如といった感じで絶品。

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| TVドラマ(時代劇)::その他(単発など) | 12:09 PM | comments (x) | trackback (x) |
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