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『黒幕』
『黒幕』(1966年・S41:松竹)

おそらく35歳にして初めての、そしてもうあと2~3本ほどしかない単独主演映画をラピュタ阿佐ヶ谷にて鑑賞。(新東宝はアラカンさん以外は主演級は複数クレジットだし、前年の『孤独の賭け』はトメ位置だった)。

東京・赤玉製薬の社長直属の特殊工作員(=プロパー)、利根五郎(天知茂)。他社の製品を倉庫から盗ませ(報酬をケチって喧嘩沙汰になったりしながらも)安く売り飛ばして蹴落としを図る彼は、かつてクラブで用心棒をしていたらしいがバンドをバックにムード歌謡も披露できる、履歴書のない男。ヌケ作の後輩(坂上栄一)や敵か味方かよく分からない“不思議な女(同僚)”・静香(野川由美子)に翻弄されつつ、ライバル社の精力剤(「王精」)をちゃっかり愛飲するような社長にも一宿一飯の恩義とやらでこまめに尽くし、「王精の秘密を探ってこい」「九州で(秘密の材料の)ユリを取ってこい」だのといった厄介払いめいた指令に対しても黙って従う義理堅い奴である。

そんな人柄と切れるルックスに惹かれてかどうか、会社の受付嬢やら事務員さん、オツムの弱い後妻さん(扇町京子)、それから同性の鴨井(@犬シリーズ)チックな運び屋・三次(ハンサムタワーズ:高宮敬二)にまでモテモテの利根。そして、ライバル社の社長(原作者:佐賀潜さん)の囲い者である静香もまた、彼への愛に目覚めてゆくのだった。

あらすじは下記リンクに譲るとして(そもそも天っちゃんが主演というだけで筋なんてどうでもよくなってしまうのがファンの哀しさである)、殴る・蹴る・迫られる・迫る・ヤる・車と格闘する・歌う・ドラム缶に詰められる・などなど、旬ともいえる時期の天知茂プロモーション映像がこれでもかと堪能できるお得な作品であることは間違いない。

ただ、いろんな姿を一度に見られるせいで、意外にセックスアピールに欠ける(恋愛下手である)事実が図らずも露呈。野川さんとのラブシーンはたしかに端麗だったものの、佐賀潜さんに揉まれているときの彼女の方がエロティックだし、扇町さんを愛撫する年長の旦那・殿山泰司さんのテクの巧みさと比べると「兄さん(=利根)、ヨワおますなあ」と扇町さんに言われてしまうのもむべなるかな、であった(“王精”飲まなきゃダメというわけか?)。本人はラブシーンに大いにテレているそうで(「おしゃべりジャーナル」参照)、そのテレが微妙なぎこちなさを生んでいるかにみえた。

ラブシーンよりもむしろ、ドラム缶詰めの直前、後ろ手に縛られ床に転がされながら片膝を立ててキッと相手を睨む表情に強烈な色気を発散させていた天っちゃんは、お色気メインの作品であれなんであれ、常にベストは尽くしていた。その姿は和製ジェームズ・ボンドというよりは、子供向けの特撮ヒーローに近いものがある。スタッフがそれを望んでいたかどうかは別として。

*佐賀潜さんの原作(シリーズになっている模様)はいったいどんな感じなのか、近々読んでみたい。

*そもそも自分は上半身すら脱がないのも色気の無さを助長していたと思う。おっさんになってからの方がしょっちゅう脱いでるってどうなのか。

*殿山さんの息子で「おとうちゃ~ん」とフニャけていたのが左とん平さん。天っちゃんとの絡みはないが、純朴そうな(!)警官を師匠に良く似た真面目っぷりで演じていた宮口二郎さんとのやり取りはあって、のちの右田&坂井両刑事@非ライを想像すると楽しい。

*クレジット時にバックコーラスつきでカッコよく流れる主題歌「影」はファーストLP「昭和ブルース」でも聴ける曲だが、アレンジがかなり違っていた(映画の方が“じっくり聴かせます”系)

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| 映画::松竹・他 | 01:21 PM | comments (x) | trackback (x) |
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