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『あぶく銭』
『あぶく銭』(1970年・S45)

“ヒゲ松”こと松五郎(勝新太郎)、“爺さま”こと万蔵(藤岡琢也)、“ガキ”こと三郎(酒井修)の悪名高き賭場荒らしトリオは、磯部組と橋本組がシマを張る町へとやってきて、早速ヤーさんの金をかっぱらうなどやりたい放題。

橋本組の若ボンがいじめられているのをたまたま救ったヒゲ松は、代貸・七蔵(高城丈二)の様子から、この組が磯部(成田三樹夫)へ返すための金を何者かに強奪されたことで窮地に陥っていることを知る。実はその金を奪ったのは自分たちであるため、良心の呵責を覚えてそのまま返そうとするのだが、肝心の金は、隠したはずの場所から綺麗さっぱり消えていた。

あわてて賭場で荒らしを試みるも、盗って来たのは札束ではなく領収書。安宿で不貞腐れる三人だが、女に目がないヒゲ松は女中のおしま(水野久美)にひとめ惚れ。病弱の幼い息子を抱えて働くおしまに果敢にアタックするのだが、彼女には忘れられない人(=息子の父親)がいた。

そんな中、食堂をふらりと訪れた着流しに白マフラーの(というより包帯っぽい白布をなびかせた)そのスジの客(天知茂)を見ておしまが声をあげた。「政吉さん…!」彼こそがおしまの想い人だったのだ。彼女に会って驚いた顔をしたものの、俺を追うなといったはずだ、女房にする気はねえ、そりゃほんとに俺の子か? などと実につれない政吉。しかし「だめよ政吉さん、そんな風にわざと言っても」とおしまに図星をつかれて「…おめえにゃかなわねえよ」とのろけモード満開になりかけるのだが、そこへ現われたヒゲ松を見て表情が変わる。

驚いたのはヒゲ松も同じ。この“さむらい政”はかつて彼らに賭場を荒らされメンツを潰されたのを根に持って執念深く自分を付け狙う天敵なのだ。ここで会ったが百年目とばかりにヒゲ松を海岸へ誘いこみ、ドスを抜く政吉。やられたふりをしてハジキを取り出したヒゲ松の前に、追いかけてきたおしまが立ちはだかり、両者はしぶしぶ引き分けた。

一方でなんとか橋本組に金を返したい三人は、磯部の賭場を荒らして金を根こそぎ奪い取り、札束入り鞄を橋本組の玄関に置く。帰宅した七蔵がその鞄を手に取った拍子に磯部組の連中が押しかけてきた。お前があの三人を使って金を奪ったんだろう!とあらぬ疑いをかけられた揚句に集団リンチにかけられ、七蔵はあえなく命を落とす。

さらに、轢死に見せかけようと線路に七蔵の死体を置いている現場を見てしまったおしまも襲われ、政吉の腕の中で犯人の名を告げて息を引き取ってしまった。彼女の亡骸を前にしばし無言のヒゲ松と政吉は、豪雨の中を磯部組へと乗り込み、大乱闘の末に仇を討つのだった。

ひょんなことから最初に奪った事の元凶の金も見つかり(←ヒゲ松なじみの芸者・蝶子:野川由美子がこっそりネコババしていた)、それを持って悠々と引きあげるヒゲ松に政吉は声をかける。「おめぇとの決着がまだ残ってるぜ」渋い顔できびすを返し、政吉の胸元に札束をねじ込むヒゲ松。「残ってるのは、おめぇの子供よ」 それは香典代わりだ、(決闘なら)いつでもヤルぜ。最後にキメて去ってゆくヒゲ松を、政吉は呆れたような、でもホッとしたような、なんとも複雑な表情で見送った…。

*えらく意味深だった白マフラー、ヒゲ松との決闘シーンでおもむろにばっと外してそれから影も形もなくなった。なんだったのか。

*かつて(=松竹下加茂時代)雨の中の撮影で肺炎を起こして生死の境をさまよった天っちゃんだが、20年も経つとすっかり肉も付いて(むしろ付きすぎの感があれど)モロ肌脱いでの立ち回りは見ごたえがあった。こういう乱闘では殺されやしまいかとハラハラするのだが(東映作品なら絶対死んでたと思う)、薄幸な役目をぜんぶ高城さんが担ってくれたおかげで事なきを得たようだ。

*豪雨の中ずぶぬれで歩くヒゲ松の後ろから、赤い番傘&雨よけ付きの下駄で歩く政吉。律儀(デリケート?)な感じがさむらいなのか。

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| 映画::大映with勝新太郎 | 11:39 PM | comments (x) | trackback (x) |
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