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『毒蛇のお蘭』
『毒蛇のお蘭』(1958年・S33)

京都の料亭「菊水」の一人娘・志乃(小畑絹子)は、掏られた密書入り財布を届けた縁で勤皇の志士・安川(中村竜三郎)とほんのり良い仲に。だが江戸へ行かねばならぬ安川と涙で別れた夜、料亭が新撰組に急襲され両親惨殺。奉公人のお梅(山下明子)と二人で安川を頼って江戸(もう東京)へ向かったはいいが、箱根山中で親切ごかして近づいてきた口元と髪型が胡散臭い色男・ざんぎり源次(天知茂)の毒牙にかかり、お梅は馬車で輪姦、志乃は源次に青姦され隠れ家に連れ去られてしまう。

オレは蛇のような女が好きだから、こいつの体に毒蛇を彫ってくれ、との源次の命を受けた彫辰(沢井三郎)によって、背中一面に“源次の情婦”としての烙印を余儀なくされる志乃。だが泣く泣くそれを承諾した途端、スリ、美人局、賭場荒しなどなど、どこぞのスイッチが入ってしまったかのように「毒蛇のお蘭」として悪事に手を染めてゆく。

警察に追われ、源次と離れ離れになった後も、かつて騙した大館(林寛)の囲い者になり若い書生をたぶらかすなど毒婦ぶりに拍車がかかっていたお蘭は、書生をそそのかして主人と相討ちさせ、金庫の中身をごっそり頂戴しようとしたところでふたたび源次(こちらもちゃっかり後家さんをたぶらかしジゴロ状態)と再会。冷血爬虫類同士で意気投合、大館が保管していた銀座の宝石商のご落胤の証拠品を武器に大金をせしめようと画策する。しかし源次がお蘭とよりを戻した事に激しく嫉妬した後家のお信(若杉嘉津子)が「うらめしや伊右衛門どの〜」と(違)土壇場ですべてを暴露、とうとう源次とお蘭は大乱闘の末、逮捕された。そして取り調べにきた警察署長は、なんとあの愛しの安川だった…。

*可憐な京娘から魔性の姐御に変貌する小畑さんを愉しむ作品。彫辰さんの刺青が凄かったからかもしれないが、よっぽど源次の調教が効いたとみえる。

*いわば色悪版ヒギンズ教授な源次。初めはお蘭に対してクールな態度を崩さなかったものの、思っていた以上の変貌を遂げた彼女に驚き、クライマックスでは「お前だけでも逃げろ!」と命綱の拳銃を手渡してしまったあたりに敗因をみた。生脚をちらつかせて一生懸命抗っていたが、やっぱりあのあと死刑になっちゃうんだろうなあ。

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| 映画::新東宝 | 04:07 PM | comments (x) | trackback (x) |
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