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非情のライセンス 第2シリーズ #21
#73「兇悪の白い花」(1975年・S50・2月20日OA)

「俺は女ってものが信じられないんだ」
テーブルに小さな白い花(クチベニスイセン)が置かれたレストラン。
涙目で縋るカノジョに冷たく言い放って席を立ったのは坂井刑事(宮口二郎)。俺は結婚する気はないから見合いでもなんでも勝手にしろ、とつれないセリフを吐く後輩(=弟子)に苦笑しながら、後ろの席で会田(天知茂)はレアのサーロインをぱくついている。

部長(山村聡)の命令で会田と行動を共にすることになった坂井は、さっきの件があるので会田といるのがちょっと気づまりな雰囲気。今回の任務は、銃を奪って銀行強盗を重ね指名手配中の伊佐山努(吉田次昭)の5年前の恋人・窪川恵子(鮎川いづみ)を24時間監視することなのだが、世の女性全体が信用できない坂井には無駄骨に見えて仕方がない。しかも恵子には結婚間近のフィアンセがいるのだ。だが会田は、恵子が毎夜さびしそうに白い花(クチベニスイセン)に水をやっている姿に、彼女がいまだに努を忘れかねていることを見てとる。

集団就職で苦労を重ねつつ愛を育んできた努と恵子は、恵子の妊娠を機に郷里に帰ろうとした矢先に大規模な学生デモに巻き込まれ、努は誤認逮捕、恵子は流産という不幸に見舞われた。クチベニスイセンは、ふたりの郷里の花でもあるのだ。

「女は、正直なんだよ」
過去など忘れ、今の幸せを享受しているかにみえるそんな女に男がのこのこ会いにくるはずがないと決めつける坂井に、会田は言う。「それなら男は、俺は不正直なのか・・・!」張り込みの最中に件のカノジョと見合相手に出くわし心穏やかでない坂井は、後からわざわざカノジョが届けてくれた手紙とマフラーを捨ててしまう。

しかし努は恵子に接触を図ってきた。会田たちに取り押さえられた努は、恵子に子供の金を渡してやりたかっただけなんだと叫ぶ。彼の気持ちを知り、婚約を解消して努をずっと待ち続けたいと言う恵子を見て、坂井はようやく会田の言葉を理解し、カノジョに会いに行くことを決意。そんな坂井に、会田は取っておいたマフラーを渡してやるのだった(昭和ブルースは1番)

*メインストーリーと併せて坂井刑事の心の葛藤が手に取るようにわかる、味わい深い作品。会田はもっぱら酸いも甘いも噛み分けたフェミニストの先輩に徹しているが、「じゃあなんで会田さんは独身なんですかあ!」とか突っ込まれたりしないあたりがさすがの師弟関係だ(そうなのか)。しかしこんな顔も衣装も目立ちまくっているコワモテふたり(会田&坂井)に張り込み・尾行させるなんて、矢部さんどういうつもりなんだか。

*朝のラッシュ時の駅、夕方の市場など、人がわんさかいる場所でのゲリラ撮影が多く、天っちゃんが至近距離にいるのを見て皆の目が見ひらいたり顔が微妙にへにゃっと歪んだりするのが結構可笑しい。

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 03:38 PM | comments (x) | trackback (x) |
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