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文五捕物絵図 #12
「武州糸くり唄」 (1967年・S42・6月30日OA)

放送ライブラリ@横浜にて鑑賞(2007年5月5日)。

暑い夏の最中、とある家の様子を何日も見張っている岡っ引きの文五(杉良太郎)と下っぴきの丑吉(露口茂)・矢七(常田富士男)。この家に住む後妻・お冴(岩崎加根子)は、内偵与力を殺めて逃走中の蘭学者・立木仙三(うらぶれた浪人風体の天知茂)の初恋の相手であり、妻に見捨てられ行くあての無い彼が立ち寄る場所はここしかないと文五は睨んでいたのだ。

*殺人の経緯は#11「鴉」に詳しいようだが、残念なことにライブラリにはこの1話しか収録されていない

大店の番頭のくせにドケチな夫や小憎らしい先妻の娘の仕打ちに黙って耐えていたお冴の元に、立木からの文が密かに届けられた。『お冴、…お冴!』立木の悲痛な叫びが聞こえそうな(実際天っちゃんの押し殺した低音ボイスがこだまする)その文を読んだ瞬間、堪えていたものが彼女の胸に一気に突き上げる。

文五たちの眼を盗んで逢瀬の場所へと駆けつけたお冴は、安宿へと立木を誘う。身分の違いを越えられずに彼女を捨てたことを詫びる立木に、初めて会ったときからずっと貴方を待っていました、結婚すると告げられても、自分が嫁ぐことになったときも、理由が分からないまま、ずっと待っていました、そう打ち明けるお冴。鎖国の世に密航を企てる秘密結社にいた(らしい)立木は、彼女を引き寄せ呟く。「(仲間が密航を画策する)部屋の隅でひとり刀を抱きながら、俺は思っていた。エゲレスまで行けなくてもいい、無人島まででいいと…ふたりだけでひっそりと暮らせる島へ行ければそれで十分だと・・・」

しかし、文五や立木の友人の医師・草太郎(和崎俊也)が二人に迫っていた。湯から出たところを捕縛された立木は、番屋への道すがら、草太郎の脇差を奪い自らの腹を突いて果てた。立木のことは忘れるよう文五に説得されたお冴は、翌日から再び貞淑な妻の仮面をまといながらも、放心したように糸を繰るのだった・・・。

*何事も起こらぬまま、夏のうだるような暑さと文五たちの焦りがシンクロしている前半、そして緊張感が一気に高まりクライマックスへとなだれこむ後半のメリハリが素晴らしい。特に立木とお冴の逢瀬シーン、自ら立木の胸に飛び込み彼の指(これがまた長くて白くて繊細でキレイな指なのだ)を咥えるお冴、もう片方の腕で肩を抱き、彼女を愛しそうに、切なそうに見つめ続ける立木の表情は必見(演出:和田勉さん)。前半は、ドタドタとセット内を歩く音が丸聞こえだったりでかなり画像や音の状態が悪いのだが、アップ多様でひたすら男女の機微を魅せてくれる頃になると全く気にならなくなった。

*一緒に無人島へ行こうなんてファンタジックな誘いをかけてくれた男のことを忘れられるはずないだろうなあ。

*さすがの杉さまも当時は若くて(=青くて)初々しい。ちなみに天っちゃんはローン・ウルフの頃だけあってセクシー路線全開である。

(2009.1.22追記)「武州糸くり唄」と前編にあたる「鴉」が収録されている本(「倉本聰コレクション9 文五捕物絵図 (1)」)を読んだ。

母親のスパルタ教育を受けた優等生の立木は、長崎留学枠を巡って草太郎に負けて以来がらっと変貌、妻のお涼(鳳八千代)に暴力を振って追い出し、勉学にもついてゆけず蘭学塾の用心棒になり下がっていて、塾を内偵中の与力を止せというのに殺めたらしい。で、追い出したお涼の家に転がり込んでお互い憎しみ合いながら暮らしていたのだが、殺した与力の目明し・銀次(浜村純)にかぎつけられてしょっぴかれそうになるところを、立木を憎んでいたはずのお涼が銀次を刺して庭に埋め、その屍に鴉が集まってきて発覚、という筋書きが「鴉」。「母の言うなりになってお前(=お涼)なんか嫁に貰わなきゃよかった、俺にはお冴という初恋の人がいたんだ!」とか言ってお涼を虐めるヤな奴だが(マザコンだったようだし)、土壇場でお涼さんにも、友人の草太郎にも助けてもらえる“放っておけないオーラ”が出ているとみた。

「武州…」はほぼ脚本通りにドラマが展開していた(映像の方が立木がいい男に見えるのは贔屓目か)

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| TVドラマ(時代劇)::その他(ゲスト) | 05:37 PM | comments (x) | trackback (x) |
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