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『女吸血鬼』
『女吸血鬼』(1959年・S34)

「女」が付いてますが、ジェントルマンな吸血鬼が天っちゃんです。「彼はどんなことでも照れずにやる」と後に評されるに至ったのはこういう経験があったからでしょう。

[2007.9.1:新文芸坐にて鑑賞]

キリシタン迫害の時代、天草四郎の血を引く勝姫(三原葉子)の重臣・竹中信敬(天知茂)は、姫が城の陥落時に自害した際、愛しさ余って彼女の血を啜ってしまったがために、不老不死の身体を得る。以来彼は、家来のフリークスたちと共に、勝姫の末裔の女性をかっさらっては夜のお供(絵のモデル含む)にし、愛想を尽かす(あるいは尽かされる)とろう人形にして地底城に陳列する、などといったことを繰り返しながら未来永劫の時を生きていた。

ただ、生前から勝姫が嫌っていた月の光、それだけが彼のウィーク・ポイント。月の光を浴びた途端、彼は呪わしい吸血鬼姿に変貌し、手当たり次第に女性に襲いかかる(血を吸う、というよりは噛み付く)、ちょっとばかり美意識に欠けた怪人になってしまうのだ。

20年ほど可愛がっていた勝姫そっくりの末裔・美和子(三原二役)が城を逃げ出したことから、竹中の平穏な生活は急展開を迎える。折しも彼女をモデルにした油絵が特選となりちょこっと得意げなところへ、絵の前で偶然「まあお母様にそっくり」と呟く娘・伊都子(池内淳子)に出会えてさらに気を良くするのだが、おまぬけな手下のせいで月の光を浴びまくり無駄に女性を襲いまくりの失態を重ねる羽目に。

ようやく美和子を奪還、島原の城へ戻るも、20年モノ(=美和子)より若くピチピチな伊都子にちょっぴり触手が動いたせいで家来たちに「親子丼はいけませんぜ〜」とたしなめられムキになっているところを、伊都子のおせっかいなフィアンセ・大木民夫(和田桂之助)らの急襲を受ける。マント&乙女チックなブラウスを翻しながら、ムチやら燭台やらレイピアやらで颯爽と応戦する竹中だったが、ポッと出のコソ泥が城の天井をぶちぬいたおかげで煌々たる月光が身体に突き刺さり、コント紙一重な異様な姿に変化。もはやこれまでと、ちゃっかりろう人形にしておいた美和子に別れを告げた彼は、最後のひと暴れの後で自ら硫酸の池へと身を投じたのだった。

*人間サイドのお気楽ぶり(なかでも和田さんの突き抜けたポジティブさは特筆事項)もなんのその、日本初の吸血鬼役をバタ臭い風貌で熱演。小道具の使い方も堂に入ったもので、ここまでやり切ったらさぞ満足だろうなと、見ていてなにやら痛快な気持ちにもなれる。願わくば普通に血を吸ってほしかったけれど(勝姫以外、だれの血も吸ってないんじゃないのか?)

*新文芸坐のオールナイトで見た際、冒頭の美和子さん受難シーンを「あ、轢いちゃいました」で軽く済ませるタクシー運転手に笑いが漏れていた。同時上映だった「地獄」の同じようなシチュエーションでの四郎(天っちゃん)の苦悩ぶりとのあまりのギャップゆえかも。

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| 映画::新東宝 | 11:19 PM | comments (x) | trackback (x) |
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