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女・その愛のシリーズ #26
#26「あじさい」(1974年・S49・3月27日OA)

荒れ寺横の長屋に住むお君(江波杏子)は枕芸者。現在ホの字の三味線弾きの宗さん(鶴沢宗吉:天知茂)はもとより、寺男の辰ちゃん(辰治:倉岡伸太朗)をも籠絡している移り気な彼女の元へ、かつての主、山崎〆蔵(伊藤雄之助)がやってきた。お君が懇意にしているそば屋の女主人・お六(浦辺粂子)が居場所を教えたのだ。

お前には五百円の貸しがあるから俺のところへ戻れ、と迫る〆蔵とうさんを、3日間だけ待たせることにしたお君は、(彼女と同棲するために)師匠の家を飛び出して来たという宗さんをがっかりさせたくないためか、あるいは元来の性分のためか、「妹の操を守るために五百円必要なの」と嘘をつく。ちょうど宗さんに未練ありありな態度で長屋を訪れた師匠の出戻り娘(弓恵子)が、お君と添い遂げる決心の固い彼にキレて手切れ金三百円を置いていくというグッドタイミングな事が起こり金の問題は解決したかにみえたが、現れた〆蔵がお君の嘘をバラしたせいで宗さん大ショック、三味線抱えて夜の町へ消えてしまう。

なんだかんだいっても宗さんラブのお君は悲しむが、俺のかみさんにしてやるという〆蔵の言葉にほだされ、長屋を出ていくことに。しかしそこへ思わぬ伏兵・純情青年の辰ちゃんが別れに耐え切れず包丁をとりだしお君をグサリ。かくして、あじさいのような女(もちろん好きな花はあじさい)・お君は、頭を冷やしてタイムリーに戻ってきた宗さんの腕の中で、故郷の海を想いながら事切れるのだった(最後は、形見になったあじさいの簪を片手に雨の中をたたずむ宗さんの渋い顔で締め)。

*気がいいだけの二枚目の宗さん、こういうキャラクターをやらせると中途半端に面白くないのが実証されたような作品(ザンギリ頭が似合ってないのもマイナスポイント)。ああいう顔なんだから、原作みたいにお君殺すつもりでメスでも買って悶々とぎらついて欲しかった気がする。

*ただ、お君さんと1本のたばこを交互に吸うシーンはちょっと艶っぽくて良い

*新聞記事はこちら

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| TVドラマ(時代劇)::その他(シリーズ) | 12:18 AM | comments (x) | trackback (x) |
軍兵衛目安箱 #3
#3「脱牢者の待つ道」(1971年・S46・4月21日OA)

評定所の門前に、“尾羽打ち枯らした感じの”(それにしては相対的に体格の良い)浪人風の男・岩田新三郎(天知茂)が現われた。訴えてからもう百日も経つのだがどうなっているのだ、と詰め寄り、再度目安箱に訴状をつっ込んだ彼は、月番老中の名前を聞き出し踵を返す。月番は大久保加賀守(柳生博)、主人公・黒田軍兵衛(片岡千恵蔵)の主だった。

軍兵衛、そして彼を親分と仰ぐ宮田兵助(渡辺篤史)、榊原伝四郎(亀石征一郎)、三浦和馬(倉丘伸太郎)たちレギュラー陣は、越後代官の村上将監(穂積隆信)を斬るつもりである旨が書かれた岩田の訴状に驚き、彼を探すが住所が分からない(訴状に住所が書いてなかったので、評定所でも即ボツにされていた模様)。村上はこの度勘定吟味役に出世し、江戸入りする予定になっていた。

その頃岩田は、貧乏長屋に身を潜める病身の庄兵衛(吉田義夫)に預けてあったモノ(代官の行状を書いた書類か?)を受け取り、打倒村上に向けてその日に備えていた。その彼に涙目で縋るのが庄兵衛の娘おゆみ(御影京子)。どうやら岩田と親娘は過去に何やら曰くがあったらしい。そのあたりがまだよく分からないまま、渡辺岳夫とチェンバリカ・アンサンブルのBGMに乗って二人の逢瀬が展開される。

そして村上一行がまさに江戸入りしようとする橋の袂に姿を現した岩田。しかしそこには、軍兵衛たちも駆け付けていた。風の強い(おまけに撮影は冬っぽい)中、おもむろに(いろいろと微妙な肉付きの)片肌を脱いで背中の鞭の痕を露わにした岩田は、村上一行そっちのけで今までの事情を語り始めた。越後の代官所の手代だった彼は、竿の尺をごまかして年貢を多く取り立てる村上のやり口に反対したせいで牢に入れられ、同じく捕えられた庄兵衛親娘と共に脱牢、江戸で機会を待っていたのだ。

当然のごとく岩田サイドに立った軍兵衛の黙認のお蔭で勝負はあっけなく決まった。勘定吟味役が殺されたとはいえ、部下の気性を知る加賀守の恩情により事件は丸く収められ、軍兵衛の同僚の梅田宗右衛門(大坂志郎)も一安心、岩田と庄兵衛親娘は晴れて自由の身となるのだった。

*脱牢者のくせにやけに堂々と江戸市中を歩いている岩田さん、百日も待ってるあたりからして余裕がありすぎて負ける気がしなかった。そのせいでどんな悲惨な目に遭っているのかが分かりにくい難点が。ここはひとつ、鞭打ち事件などを再現してくれるとよかったのだが(おい)。

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| TVドラマ(時代劇)::その他(ゲスト) | 12:17 AM | comments (x) | trackback (x) |
夏の怪談シリーズ 真夜中の鬼女
真夜中の鬼女(1984年・S59・8月16日OA)

ある夜、一つ家に宿を求めた能面師の七三郎(漢字は当て字・天知茂)は、独り住まいの美しい女性(三ツ矢歌子)とまだタイトルも出ないうちから速攻で理(わり)ない仲になり、渋るのを説き伏せて彼女の能面を彫る。十日ほど経ってようやく完成した時、長居しやがって!(嘘)と鬼に様変わりした女に襲われ、思わずノミで刺し殺してしまったのだが、なぜか彫った小面は恐ろしい形相の般若面に変わっていた。

それから100年後の江戸。雨宿りの際、骨董屋に置かれていた件の般若面に一目ぼれして即ゲットした呉服問屋の白木屋主人が、面を被るなり苦しみ出して死亡。寡婦となったおまつ(三ツ矢歌子・二役)も般若面の毒気に当てられ、遺言で跡取りに定められた実子ではない姉娘のおそで(三原順子)を疎んじ始め、妹娘のおしの(石野真子)や使用人の卯之吉(目黒祐樹)を心配させるのだった。

卯之吉は、本来ならば骨董屋で般若面を買うはずだったが白いさっぱりした着物を汚したくなかったのか出遅れた会津藩お抱え能役者・斎藤宗山(そうざん・天知二役)に相談、面を引き取ってもらおうとするのだが、おまつは拒絶。夜な夜な面をかぶって心臓の悪いおそでを脅かす様子を、おそでに袖にされ出世が途絶えた番頭の平七(西沢利明)が企み顔で盗み見ていた。

七三郎の子孫である宗山は卯之吉と一計を案じ、白木屋の使用人たちを外出させて夜を迎えた。般若面を被り、おそでの寝所へ向かうおまつ。だがそこにいたのはおしのだった。面が取れなくなり狂乱するおまつだが、宗山が「私は七三郎だ」と語りかけ、供養を誓うと、般若面は元の小面となり地面に落ちたのだった(あとはめでたしめでたし)。

*新東宝コンビの仲良し共演。昔から天っちゃんは三ツ矢さんにとってはロクな男ではなかったが、今回も災難だったといえる。鬼を殺すんだもんなあ。それでもって鬼を説教しちゃうんだもんなあ。ダメだよなあ(どっちの味方だ)

*能役者なんだから舞ってくれるのか、と期待したものの、肩書だけでそれらしいことは全くしなかった宗山さんがちと残念。子孫も能面師で良かったんじゃないのか?(能面は少しだけ彫っていた)

*白木屋跡目争いのキーパーソン、番頭の平七の立場が今一つ生かされてなくて、ラストもあんな「へっ、まあいいや」ってな顔で生き残ってていいのか疑問だった。

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| TVドラマ(時代劇)::その他(単発など) | 12:16 AM | comments (x) | trackback (x) |
もぐら横丁
『もぐら横丁』(1953年・S28)

貧乏作家の緒方(佐野周二)と彼を支える大らかな愛妻・芳枝(島崎雪子)は、今まで住んでいた下宿を追われ、お産に乗じて産院に半年ほど居ついていたものの、風当たりがきつくなってきたところに文士仲間の伴克雄(和田孝)が「うちの長屋にきませんか」と有難い助け舟を出してくれた。二人はもぐら横丁の住人になり、周囲との交流を深めてゆく中で、緒方は芥川賞を受賞するのだった。

天知茂のデビュー作として名前が挙がるこの作品で、彼は初めて「光田文雄」という役名付きで出演している。登場するのは緒方夫妻がもぐら横丁に引っ越してきた時(映画開始40分頃)。伴を訪ねてきた緒方に「伴くん、留守ですけど」と応対する詰襟君がそうだ。留守の伴に代わり、大家に無断で部屋を開けてやる親切青年ぶりを披露するのだが、
「僕、中……裏から回って中開けますから」とちょっと焦ったセリフ回しが初々しい(というより、こんなところで噛んでるせいで再びセリフなしの役がしばらく続いたのではないかと邪推したくもなる)。

夫婦にお茶を出してる内に伴くん帰宅、どうやら大家に話を通していなかったせいで空き部屋が借りられず、困った伴くんが同居人の光田青年に一言「お前引っ越せよ」。かくして主人公夫婦の代りに画面から消えてしまう可哀想な光田青年なのであった(後は夜の宴会時に後ろ姿が少し映る程度)。

*フレンドリースマイルの光田青年はこちら(ちと猫背)。

*奥様(森悠子)も出ているようなのだが気づかずじまいだった。

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| 映画::新東宝 | 12:15 AM | comments (x) | trackback (x) |
少女妻 恐るべき十六才
『少女妻 恐るべき十六才』(1960年・S35)

校庭で戯れるセーラー服少女たちが帰った先は盛り場のクラブ。彼女たちの正体は、あてがわれた“亭主”を部屋に残し、マネージャーの指令で夜の街へと散っていくそのスジの商売女だ。その中の一人、ユキ(星輝美)は、組に内緒で客から小遣いをせしめたりしてしたたかに生きている。

しかし、ある日取った客は、カツアゲ要員の並木五郎(鳴門洋二)を軽くあしらう大物だった。通称「殺し屋」、飛んでる鳥の心臓をぶちぬける男・三宅(天知茂)は組が呼んだ新しい用心棒で、近頃流れてきた一匹狼の夜の女・銀子(小畠絹子)とも昔馴染み。神戸にいた頃「ハジキのブラック」に捨てられ、夜の女に身を落とした銀子の元を、三宅の計らいで当のブラック・黒木(宇津井健)が訊ねてくるが、かたぎのボート屋の親爺になったという黒木の今更の援助の手を払いのけてしまう銀子だった。

ユキと五郎はなんだかんだと意気投合し、次第に愛を深めてゆくが、組の掟はそれを許さない。やがて“亭主”が交換され、ユキはマネージャー・井崎(御木本伸介)の女になることが決定、二人は表だって話すことも禁じられてしまう。悩む若い二人にかつての自分を重ねた銀子は、黒木の元へ二人を逃がす。しかし後をつけていた三宅が井崎に報告したせいで居所がバレ、銀子は井崎に射殺された。

河口湖にいる黒木に拳銃を突きつけ、二人を渡せと脅す井崎。だが、三宅の銃弾が井崎を倒した。借りは返したぜ、と言う三宅にほんわかしかける黒木たちだが、多方面に過剰に義理堅い男は、金を貰った以上は、とよせばいいのに黒木に決闘を申し込む。かくして、悔しいが予想通りに地面に倒れる三宅。笑顔で「やっちまったよ」と自首しに向かう爽やか黒木を見守る若い二人でエンド。

*冒頭こそ、恐るべき少女妻たちの実態に驚いたものだが、だんだん若くない人たちの出番が多くなって、結局最後は何が主題だったのかと遠い目をしたくなる作品である。いや、登場シーンから文字通り骨が浮き出るほどスマートな、スターオーラも眩しい(王道の負けっぷりも微笑ましい)天っちゃんが観られたから良いのだが。

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| 映画::新東宝 | 12:14 AM | comments (x) | trackback (x) |
一匹狼(ローンウルフ)#1
#1「復讐のメロディー」(1967年・S42・10月17日OA)

雨の夜、子連れの男がバーを訪れた。彼が子供を残して外へ出た途端に響いた銃声に、バーにいた響裕二(天知茂)は飛び出す。路上に倒れた男の体を探っていた犯人は車で逃走した。やがて到着した刑事(池田駿介)は響を見て懐かしそうに声をかける。「響主任、お久しぶりです!」響は警視庁の元デカ長だった。

遺された子供・ヒロシに懐かれた響は、アパートに連れ帰り、3年前に亡くした我が子に想いを馳せる。仕事に邁進するあまり、妻・冴子(野際陽子)の懇願にも耳を貸さずに危篤状態の息子の元に駆け付けられなかった代償は、冷たくなった息子の骸と冷え切った妻の言葉だった。苦い思い出に耽る彼に、ふらりと姿を見せた元上司の小田切警部(丹波哲郎)が更に衝撃的な事実を告げる。使用された凶器は、かつて響が奪われた拳銃だというのだ。

半年ほど前、徹夜明けで家に戻った響は、中で争う妻と見知らぬ男の姿を目撃、揉みあう内に彼の拳銃が暴発、弾は妻に当たった。直後に頭を殴られ倒れた響が気づいた時には、拳銃は消えており、おまけに病院へ運んだ妻までも「探さないでほしい」との書置きを残して失踪してしまい、この事件が原因で懲戒免職となってしまったのだった。

責任を感じた響は犯人捜しを開始。死んだ男が遺した、政界の汚職事件に関する証拠メモを入手するが、ヒロシを人質に取られ、交換を持ちかけられる。密かにメモの撮影と現像を依頼した妻の妹・節子(城野ゆき)をも拉致した相手を前に苦境に陥る響だったが、黒幕(柳永二郎)の妾になっていたヒロシの実母が子供への愛に目覚めたおかげで危機を脱した。だが彼の拳銃を持つ男は流しの殺し屋で、消息は途絶えてしまった。

節子やヒロシ母子と共に墓地に向かった響は、息子の墓前に供えられた真新しい花を発見、妻が来たことを知る。彼女はなぜ逃げているのか、そして拳銃は今どこに――。生来のデカ根性で、今日も響は夜の街を彷徨うのだった。

*唯一現存しているらしい(東映chより)第1話。新聞のTV欄を寄せ集めた放映リストで大まかなあらすじは掴めたが、響の活躍よりも、奥さん何者なんですかアナタは!と突っ込むことしばしば。

*一攫千金を狙っている、一癖も二癖もありそうな関西弁の弁護士・千石(田武謙三)は準レギュラーのようである。

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| TVドラマ(現代劇)::その他(シリーズ) | 12:13 AM | comments (x) | trackback (x) |
新日本珍道中 西日本の巻
『新日本珍道中 西日本の巻』(1958年・S33)

創立十周年を迎えた新東洋タイムスでは、4人の社員を表日本チームと裏日本チームに分け、美女を探しながらの西日本早がけ競争を企画。表日本担当の黒田忠夫(高島忠夫)と赤川三郎(坊屋三郎)、裏日本担当の宇山健(宇津井健)と鮎沢浩(鮎川浩)は賞金三十万を賭け、鹿児島を出発して東京を目指した――。

新東宝の創立十周年記念映画ゆえ、オールスター・キャストがイーストマンカラーもまぶしく登場。ただしほとんどがチョイ役、さらっと出ては消えていくので、のどかすぎる西日本各地の風景や人々の熱烈歓迎ぶりを楽しみながらも忙しいことこの上ない。

しかし今回は「河鹿荘の番頭」であるというヒントがあったため(しかも58年は既に“仕出し”脱却時期でもあり)、天知探しは余裕を持って進められた。が、出てくるまでが正直長く、裏日本チームが山中温泉の河鹿荘に到着したのはおよそ1時間23分後だった。

無一文なのに芸者とどんちゃん騒ぎした健と浩は翌日、女将に釈明。そこに姿勢良く控えていたのが、番頭の天知茂。女将の後ろで厳しい顔をしていたのが、お調子者の二人をあっさり許してお小遣いまで出す太っ腹女将を呆れたように見る表情がなりきっていて面白い。だがセリフはたった一言「おかみさん、いいんですか?」のみ。こっちがそう言いたい。(そんな扱いで)いいんですか天っちゃん!

*いかにも番頭然としているが、髪の寝癖(?)が微笑ましい番頭さんでもある(こんな感じ

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| 映画::新東宝 | 12:09 AM | comments (x) | trackback (x) |
大岡越前 第1部 #24
「蛇の目傘の女」(1970年・S45・8月24日OA)

大岡越前1−24

2年前に起きた、“さみだれの弥助”一味による強盗事件。小頭の召し取りをきっかけに一網打尽にされた一味だが、牢屋にいた小頭が何者かに毒殺され、隠し金の在り処がうやむやになったままなのを、担当主任・神山左門(天知茂)はいまだに気にかけていた。

そんなある日、当時の牢番の吉蔵(小田部通麿)が江戸に舞い戻っていると聞いた左門さまは、妙に金回りが良くなっている吉蔵に「お前が小頭を毒殺したんじゃないのか!?」と軽くヤキを入れにいく。もみ合っている内にうっかり印籠をもぎ取られてしまった左門さまはそれに気づかずに帰ったのだが、その後吉蔵が印籠を握りしめて死んでいたせいで、北町の同心に呼び出される。驚く左門さまだが、犯行時刻は夕立の後だと聞いてひと安心。なぜならその頃は居酒屋の軒で雨宿り中で、しかも蛇の目傘の女・おみの(大原麗子)の誘いを受けていたからだ。

ところがおみのは「あたし、旦那を知りません」と左門さまと会ったことを完全否定、アリバイが無くなってしまう。「神山を北町には渡さん!」とかばってくれるお奉行様(今回は完全サブ・加藤剛)、無実を疑わず協力してくれる源さん(大坂志郎)や辰(高橋元太郎)などフォロー手厚い南町チームとは裏腹に、北町の岡っ引き・箕輪の軍次(高原駿雄)だけが「旦那は人殺しでぃ!おてんとうさまはお見通しだ!」などとネチネチ絡んできた。その言い様に思わず刀の柄に手をかけた左門さまだったが、軍次の執拗な粘着ぶりと、闇討ちを仕掛けてきた相手の刀が旗本邸からの盗品であったことから、軍次がさみだれ一味の隠し金と何らかの関係があると睨んだものの、確証には至らない。

一方、渡り酌婦で家無しのおみのを懇意の荒物屋夫婦に託した左門さまは、「早いとこしょっぴいて吐かせちまったらいいんだ!」と仏らしからぬ物騒な物言いをする源さん(左門さまが心配というより“若=お奉行”命)をよそに、頑ななおみのの気持ちをゆっくりほぐそうと、十手を返上して力を尽くす。その真摯な優しさに心が揺らぎだすおみのは、実は牢で死んだ小頭の妹。兄を拷問で殺したのは左門さまだと、兄の友人だった軍次にそそのかされ、復讐の一念での行為だった。

2年前の事件を目安箱へチクったのが軍次だと分かれば――。左手で書かれた投げ文の筆跡を再現させようと、酔っ払いに扮して軍次の右手を折る源さんと辰(今回、過激すぎ)。あとは軍次に字を書かせるだけだが、おみのにそれを仄めかし「これっきり会えないかもしれないが、達者でな」とさりげなく去る左門さま。軍次から左門さまは切腹だと聞かされ(切腹シーンを想像したりして)、ショックを受けたおみのは、軍次に字を書かせて番屋へ走るのだった。

*職務に忠実で、心身共にめっぽう強くて人に優しい左門さまが堪能できる回。加えて、そもそも印籠をその場で見つけていればこういう展開にはならなかったような気がするので、案外ウッカリ者な左門さまも堪能できる。

「俺は役人であることをかさにきたことなどない。だが、お前の心の傷が何のためなのか、きっと解いてみせる」とか「死にたきゃ勝手に死ねばいい。お前は俺の生き死にを握っているつもりでいるらしいが、俺はそんなに弱くはない」とかあの顔と声で言われたら、おみのちゃんでなくてもイチコロですわー!

*闇討ちされたときは十手でびしばし、後のVS軍次戦でも峰打ちでびしばし、実に与力らしい左門さまにもイチコロ(オリジナル左門さまは決して「地獄の舞」なんて披露しません)。

*画像はラスト、おみのに会いに行くんでしょ、と言われて照れる左門さま。

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| TVドラマ(時代劇)::大岡越前 | 12:07 AM | comments (x) | trackback (x) |
大奥(1969) #52(終)
#52(終)「華麗なる終焉」(1969年・S44・3月29日OA)

薩長軍が迫る中、江戸城内では夜を徹しての評定が行われていた。戦を避けたい慶喜(天知茂)は、大半の家臣の意見とは逆にただ一人和平を唱える勝安房守(夏目俊二)の真摯な提言に、既に人民の心が幕府から離れていることを悟り、城を明け渡して寛永寺で沙汰を待つと決心した。

――花もまた 哀れと思へ 大方の 春を春とも知らぬ我が身を――

徳川家を自ら売り渡すのかと詰る家臣たちの中、慶喜の苦渋の決断に勝は涙した。

出立前、美賀子(谷口香)に「笑って余を送り出して欲しい」と言う慶喜だが、永遠の別れかもしれぬ上、彼の子を身ごもっている美賀子には難しいことだった(泣き崩れる彼女と抱き合ってる時に「ご出立〜」で上様出番終了)。

*この後柳川(加賀まりこ)が美賀子や西尾(萬代峰子)たちすべての大奥の女たちを退避させ、日誌を焼き捨ててピストル自殺、そして怨霊(&語り手:岸田今日子)のホラーな一人芝居が強烈に印象深い最終回。

*史実では側室も数人いた慶喜だが、本編では正室一筋で、大奥的には非常に面白くない上様だったといえる(カッコいいから許すが)。

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| TVドラマ(時代劇)::大奥(1969) | 12:03 AM | comments (x) | trackback (x) |
大奥(1969) #51
#51「幕末の恋人たち」(1969年・S44・3月22日OA)

将軍となって5年目に初めて江戸入りした(前回の経緯がリピートされる)慶喜(天知茂)だが、薩長軍が迫る中、好戦派の重臣たちに囲まれて苦悩の色は増すばかり。結局、勝安房守(夏目俊二)の言に沿って恭順の意を固めるが、大奥古参の西尾(萬代峰子)はその決断が情けなく、女中たちを薙刀の稽古に打ち込ませる。西尾から上様が腑抜けなのはお前のせいだと暗に詰られて立つ瀬のない正室の美賀子(谷口香)は、「徳川の名を傷つけず、名誉ある休戦に持ち込みたいからだ」とコーヒーを啜りながら彼女にだけ真意を吐露する慶喜に、留守の間ずっと眺めていたという、上様直筆のフランス語が書かれた扇子を取り出しながら「私を徳川家の御台と思って下さいますか」と彼にとっては当然のことを聞かずにはいられなかった。

そんな折、有栖川宮と親交のあった和宮に取り成しをしてもらえまいか、と慶喜に頼まれた美賀子は、柳川(加賀まりこ)を伴って和宮に会いにゆくが、宮様は上様のフランスかぶれが殊の外お嫌いだ、と侍女に拒否される。それでも嵐の中、一晩中部屋の前に座り続ける美賀子。朝になり慶喜の命でようやく戻った彼女は、高熱を発して倒れた。熱に浮かされながらも力不足で申し訳ないと謝る美賀子に、慶喜は自分のふがいなさを責め、涙ながらに許しを請うのだった。

*菊絵(高田美和)が死にに行く近藤数馬(河原崎長一郎)の元へ押しかけて自害する悲恋のくだりは略(って、こっちがたぶんメイン)。

*今回は普通の上様ルック。

*和宮に会見拒否されたのは、和宮役が美空ひばりだったから(#49)というのも大きいと思う。

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| TVドラマ(時代劇)::大奥(1969) | 12:02 AM | comments (x) | trackback (x) |
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